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●2005, NO.7

 

小規模公園の民間レポートカード

情報源 アン・シュワルツ 2003年5月 掲載日20005.8.12

 

『ニューヨーカーズ・フォー・パーク』という民間非営利団体が最近発表した「レポートカード」には、ニューヨーク市内の近隣公園の状態は、その差が場所によって非常に大きいと記述されている。評価の対象となっているのは、小規模公園や運動場のほかに、お年寄りがベンチで休んだり、人々がチェスを楽しんだりできるような、緑の生い茂った小空間などである。

 

全般的に見て、公園局が近年民間投資を取り込もうとしている場所では、運動場、休憩所、園内通路、舗道などの設備を含め、公園の状態は非常に良いということが明らかになっている。市内全域にわたってこうした場所は、80〜83%のスコア(得点)を獲得している。一方で、改善が必要な点としては、レクレーションエリア、トイレ、水飲み場などがあげられており、トイレに関しての評価点数は48%に留まっている。多くの場合、既存のトイレは鍵がかけられているか、メンテナンスや備品供給に問題があると、同レポートの編者は語っている。このレポートのたたき台となっている調査は、2002年の夏に行われたものであるが、市内にある220カ所の公園のうちの181カ所を網羅しており、その大きさは1エーカー(約4,000�F)から20エーカー(約8ha)までまちまちである。(調査対象からはずれたのは、改修のために閉鎖されていたり、この調査項目に該当する要素がそもそもない場所などである。)このプログラムでは、必要な研修を受けた『ニューヨーカーズ・フォー・パーク』のメンバーが、清掃、メンテナンス、安全性、主要サービスエリアの構造的完成度について格付けをしている。主要サービスエリアは全部で8つあり、それはアクティブ・レクレーションエリア、パッシブ・レクレーションエリア、運動場、休憩所、トイレ、舗道、道路、園内通路のことを指す。また、公園が周辺の環境からどれだけ隔絶されているかも評価対象になる。彼らは、自治会のメンバーや公園管理の専門家たちとともに、利用者の視点からの公園評価システムを作り上げている。

 

公園評価システムには、それとは別に公園局が主催する「公園調査プログラム」もあり、こちらは公園管理の改善と、資源としての公園の有効活用を目的としている。基準はやや異なり、いくつかの民間レポートカードが出してくる結果とは評価が分かれるケースも数カ所で見られる。公園局の調査は、200カ所の公園を週に一回手分けして回り、年間5000回に及ぶ調査を実施するのであるが、それによれば、85〜90%については大きな問題はないとの評価をしている。公園局のウェブサイトでは、市内全域の公園について評価結果を公表しており、この夏には公園ごとのデータも開示する予定である。公園局のスポークスマンによれば、公園内アメニティーに関しては、改善されつつある点や、てこ入れが必要な点についての民間団体の評価が、公園局のそれと一致すると認めている。運営コミッショナー補佐のリアム・カバナフ氏から渡された文書には以下のように記述されている。

「厳格な調査プログラムと実地の経験に基づいて、市内の公園の状態は良好なものと公園局では認識している。『ニューヨーカーズ・フォー・パーク』がレポートカードの調査対象としている、8つの主要サービスエリアについては、今後対応できるように現在新たなプログラムを構築中である。その新プログラムでは、人工芝を持つ球技場の改修についても対象とする計画で、21カ所が既に調査対象として選定され、現在建築中の11カ所、計画中の17カ所についても今後調査対象に組み入れていく予定である。」

 

エイドリアン・ベネッペ公園局長は、ガーデニングの基礎を習得した公園管理スタッフの養成を図るような、大規模な園芸プログラムも立ち上げると発表した。「運営てこ入れプログラム」では、(噴水式の)水飲み場にまず焦点を当てて修理を行い、正常に稼動するようにしたいとも語っている。『ニューヨーカーズ・フォー・パーク』では、市の財政予算に依存しているような小規模であまり目立たない公園の状態を、定量的に評価していく方針である。同グループのスポークスマンであるロウェナ・デイリーは、自分たちのゴールは、まず我々の近隣公園のうちのどこがダメになりつつあり、公、民間を問わず資金支援を必要としているかについて理解することである、と言っている。

 

 

アン・シュワルツ:環境問題に特化したフリーの記者で、過去にナショナル・オウデュボン・ソサイエティーの環境活動に関する出版部門の編集者、ニューヨーク・ボタニカル・ガーデンの編集者などを遍歴。

INDEX
フロントヤード(前庭)に対するイギリスの新しい基準
食物のためのデザイン
公園を通じたコミュニティーの再発見(1) (2) (3) (4)
良い公共空間を作るための4つのポイント
危機に瀕する5つの公共空間
不動産開発業者による公園用地取得資金負担制度
世界で最も過大評価されている5つの場所
何が成功した場所を作るのか(1)
近隣公園のレポートカード
●小規模公園の民間レポートカード
民間による公園のための資金調達
シアトルは、開発者が公園の代価を払うことを望む
あなたの都市はどう格付けされているか
ニューヨーク市の失われゆく公園
地球温暖化:暖まる
地球温暖化:明確なゴールを定める時期
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