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●2005, NO.9

事例:パイオニア・コートハウス・スクェア, ポートランド オレゴン州 掲載日:2005.9.9

ダウンタウンの中心部に位置し、“ポートランドのリビングルーム”を呼ばれるその場所は、市民の憩いの場として非常に上手く機能している。そのモダンなデザインの中には、大衆芸術、アメニティー、花、樹木、壁、座れるように設計された階段などが含まれている。頻繁にイベントが行われるその場所には、コーヒーショップ、軽食販売所の他に、当スクェア(広場)再開発の中心的存在であり、バスやライトレイルシステムという交通網を運行させている、ポートランド地区交通局トライメットのハブ機能やインフォメーションセンターなどがある。
パイオニア・コートハウス・スクェアは、最近作られ始めたパブリック・スクェアのはしりの一つである。単に漫然とした緑地ではなく、市民によって活発に利用されるようにプログラムされており、そのためのインフラストラクチャーが配備され、また、継続的かつ効率的な利用がされることに責任を持つマネジメント・チームも組織されている。公開討論、資金調達、開園に至るまでのパイオニア・コートハウス・スクェア建設のプロセスは、住民参加の形で実行された。トライメットの構想や資金調達などの諸計画は全て、ダウンタウンの住民とスクェアを結びつけることを目的としていた。
効果的なマネジメント組織が存在することで、スクェアはあらゆるコミュニティー活動の中心となり、また市の誇るべき場所となっている。ダウンタウンの活性化は、スクェアがポートランド全体の住環境へ及ぼした好影響の大きさを示す良い証拠であろう。
歴史と背景
多くの人々に愛されるこのスクェアの創出に関して、市の交通機関を運営するトライメットが果たした重要な役割抜きに語ることはできない。パイオニア・スクェアは、1950年代にMAXライトレイルシステムという新交通網が最初に企画されたときに、同時に発案されたものであった。その当時まだそこは駐車場だった。トライメットは、全体の資金調達計画の中にスクェアを発着場兼インフォメーションセンターとして活用することを盛り込んだのである。その後、建設に必要な資金の一部が住民から拠出されるなど、広く市民からの支持を得て、過去10年以上にわたり数え切れないほどのコミュニティーイベントが常に開催され、ハブとしての機能を越えて現在に至るまで、「ポートランドのリビングルーム」として市民に幅広く利用されている。
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