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●2005, NO.5

シアトル市長は、開発に伴う環境に対する課金制度(環境インパクト・フィー)を提案。徴収された資金を公園維持管理に当てる考え。 情報源:By Felix Sukhenko, PLANETIZEN 2005.8.4(Seattle Times Aug03, 2005)掲載日2005.8.8
シアトル市のグレッグ・ニケルス市長が昨日発表した提案によれば、今後開発業者は、公園や公のオープンスペースのための資金拠出を求められることになりそうである。ニケルス市長は、ワシントン州の他市で既に採用されている環境インパクト・フィーを、成長に成長の代価を支払わせる方法として導入したい考えであると、市スポークスマンのマーティー・マッコンバー氏が発表した。
市長の計画は、市の最も込み合った居住区についてのみインパクト・フィーを適用するものである。それは、市のリーダーたちが拡大発展的な将来成長の希望を抱いている、市内に指定された6カ所の都心で、ニケルスの開発アジェンダのバランスを保とうとするものである。ニケルス氏は今年任期満了に伴う再選を控えており、年内に市議会へ法案提出する考えはないようだが、インパクト・フィーは、都心内あるいは隣接する居住区により高い建築物を許可するという、彼の「市中心部開発構想」に関連しているため、話し合い自体は始めたい意向を示している。
開発業者は現在、新しいプロジェクトの中にオープンスペースを確保することが条件になっているが、それは現場でビル入居者用のものであり、往々にして屋上のデッキやプラザという形であることが多く、広く公に開放されたものではない。マッコンバー氏が伝えるところの現在のニケルス市長の草案では、新しいプロジェクトについて1平方フィート当り1ドルから2ドルの課金をし、その資金を用いて新たな公園用地の取得と建設に当てようというものである。市の都市計画担当者によれば、2024年までの人口増加に対応するためには、市の中心にある居住区には、12.3エーカー(約5ha)のオープンスペースが必要になってくるという。
環境インパクト・フィーは、シアトル市の6つの都心に建設される、住居用、商業施設、オフィスビル全てに適用される。6つの都心とは次のとおり:サウスレイク・ユニオン、ダウンタウン、キャピトル・ヒル/ファースト・ヒル、ユニバーシティー地区、ノースゲート
市議会議員のスタインブリュック氏は、ニケルス市長による同構想の発表のタイミングについて、「興味深い」とコメントした上で、彼は土地利用委員会の長であるが、カナダのB.C.州バンクーバーの開発計画を一部参考にしているニケルス市長の市中心部開発計画に対して、疑問を投げかけた。
スタインブリュック市議は、市長の計画を分析するために、バンクーバーの都市計画者二人をコンサルタントとして採用した。そのコンサルタントによる推奨案は、月曜日の会議で発表される予定であるが、既にダウンタウンにおけるオープンスペースの不足について指摘しているという。「彼らの考え方が、既に影響力を持ち始めたのは嬉しい限りである。」とスタインブリュック市議はコメントしている。
マッコンバー・スポークスマンはそれには賛同せず、「これはスタインブリュック市議のコメントに対する反論ではない」と断りながらも、「この計画はこれから時間をかけて審議していくことになる。」と語り、さらに以下のコメントを続けた。
「市長は、環境インパクト・フィーを通じて、57百万ドル(約63億円)を調達することを希望している。それだけあれば必要とするオープンスペース面積の約半分を買い付けることができるからで、そして市のリーダーたちは、残りの半分を買い、すべてのスペースを維持管理していくのに必要な資金をどのように調達するのか考えなければならないだろう。」
シアトル市は近年、公園の維持管理予算の確保に苦労している。スタインブリュック市議は、2000年に承認された制度によって、現在198百万ドル(約218億円)を徴収している公園維持管理費用の料率を改定し、残りの半分の土地確保に充てることになるかもしれないと言っている。
昨日の市長の提案に、まだ気がついていない大手の開発業者もあるようだ。サウスレイク・ユニオンに60エーカー(約24ha)の所有地を持つバルカン社のヴァイスプレジデント、リン・タンジェン氏は、より詳しいことがわかるまでは何も言えないとしてコメントを差し控えた。
オープンスペースの確保を主張する市民団体の1人である、ジョン・バーバー氏は次のように語る。
「この話はずい分長いこと議論されてきている。新しい提案は、正しい方向性を持つものであるとは思うが、詳細がわからないため、それが居住区がすでにオープンスペースとして指定したプロジェクトに沿うものなのかどうかまだわからない。
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