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生物燃料の光と陰翻って、生物燃料には、主にバイオエタノールとバイオディーゼルがある。これは、穀物、大豆、菜種油、サトウキビ、パーム油のような作物から作られる。単純に考えて、こうした植物を生産し生物燃料が得られるのならば時間はあまりかからなさそうであり、燃料としてC02を放出しても、植物の成長時にC02は植物体に吸収されるのだから、炭素循環は理想的な形で行われるようである。ゆえに、生物燃料のほうが環境に負担をかけないのだろう、と考えられる。
イギリス政府のレポートを読むと、多くの人は、低炭素というのが温暖化抑制のための将来のキーを握っているようだと思っているようで、それにより起こりうる可能性のある、望まれない結果についての関心もある、と書かれている。
生物燃料推進に伴う望まれない結果とはなんなのかというと、例えば、生物燃料を作るために、その材料の耕作地を設けようと熱帯雨林のような価値のある生態系を圧迫したり、生物燃料用の植物生産が増すことで、食物生産に影響を及ぼして、例えば、途上国の得られる食物の量や範囲が減少する・・というようなことである。ジェレミー・トム・キムソンシ氏(UK National Non-Food Crop Centre (NNFCC) の最高経営責任者)は、これらの悪影響を指摘している。 たしかに、パーム油を作るためにパームヤシを育て、そのために熱帯雨林をどんどん伐採してしまうのならば、差し引いたら環境的に良いパーム油とは言えないのではないか。
第二世代(次世代)生物燃料生物燃料自体も従来の燃料に対する第二世代であり、汎用化もまだの中、キムソンシ氏がはや「第二世代」と呼ぶ生物燃料は、ガソリンの代替でリグノセルロースの利用である。このリグノセルロース系バイオマス(生物資源)についての研究が、第二世代の生物燃料としての賢明な技術の方向であるという。リグノセルロースは、土地から出て来るものすべてを意味している*。ジェレミー・トム・キムソンシ氏は、それが収量を2倍にするだろうとも話している。
「小麦などの穀物を単に得る代わりに、デンプン、グルテンだけを得る。または、単にデンプンを取り除くことができるよう、つまり、我々は作物全体を利用できるようにするつもりである」という。
トム・キムソンシ氏は、「我々は、小麦を栽培する若者に栄養価値を得るために栽培しろと言うことができる。そして、また、燃料と化学薬品や製薬の原料としての栽培という前途有望なもう一つの分野を持たせることもできる。」と提言する。「とにかくまずはいろいろと試し、糖を切り開くことから、本当にエネルギー作物となり得る作物とは何か、全く新しい植物の範疇を知ることができる。」と。そして続けて、「今の時点では、エネルギー作物としての可能性があるのは、ヒマワリと飼料用トウモロコシだ」と書いている。実際に彼の言葉を裏付けるように、英国の大手石油会社ブリティッシュ・ペトローリアムは、「エネルギー・バイオサイエンス研究所」に5億ドルを投資している。 「食物の生産が大きく変わろうとしている。農業に植物の自然科学を適用することによって、生産性が上がり新たな報酬をもたらす。」と同会社のスポークスマン、デービッド・ニコラスは述べている。そして、「とはいえ、現実的に、エネルギー作物の収量のための自然科学の適用は、まだまだこれからである。」と付け加えていた。ブリティッシュ・ペトローリアムは、上とは別に、インドにおける研究へもお金を与えている。それは、食用作物の生産には適さない土壤でも成長できる植物から、バイオディーゼルを作り出すことができるかどうかという研究でである。「生物燃料というのは現実問題として、これからの産業の躍進する追加分野となるだろう。しかし、我々は、最も効果的で高収の生物燃料であろうとする(生物燃料の発達段階としては)初期の段階に留まっている」とニコラス氏は言う。
しかしながら、第二世代生物燃料が利用できる未来出現の前に、解決しておかなければならない、大きな障壁がある。それはテクノロジーおよびコストである。
「現行の生産方式も技術もまだまだ断然複雑である」とトム・キムソンシ氏が答えている。「植物毎に異なる[糖]はすべて、それを取るために自分自身の消化を必要とする。企業の多くは、我々が消化手段を取り除き、リグノセルロース上へそれを放射することを可能にし、全てのものを発酵させる「容器に使用するセルロース」と呼ばれるものを見ている」と彼が説明する。 私には、上記の説明は少々難解で理解できない部分もあるが、NNFCCは、英国がバイオマス(BTL)からの液体処理工場を持つことができるならば、より適当なBLTである植物を見つけ出すべき研究も行え、燃料を生み出すことができるという。彼は、そのためには、甚大な出資が必要であろうと見ている。世界のあちこちでBTL植物について、一単位およそ3億7500万ドル(440億円)の投資がされているが、現在、250,000トンのバイオディーゼル植物は900万ドルのコストで、その結果同量の燃料が求められるので大きな差がある。しかし、トム・キムソンシ氏は、環境によいという点で、BTLは本当にそうなので、ヨーロッパ中の政治がこの技術に対して細心の注意を払っていると答えている。
このレポートを読んで、これからの穀物の生産方法あるいは穀物そのものについて、地域ごとに大きな変化が生まれようとしている予感がした。考えても見て欲しい。かなり極端な話をすれば、それまで捨てていた剪定枝から、落ち葉から、あるいは無駄だと思われる雑草からも、さまざまな植物に含まれるリグノセルロースから生物燃料が生成できるようになるのではないか? それは、すごい未来を手にするかもしれないということではないだろうか。我々の生活に新たな問題を引き起こすことだろう。私は最近「緑のゴミを堆肥に」というスローガンで、上述の落ち葉などをもとにした堆肥づくりを実践している。が、まさに、それ以上のことが起ころうとしている。 大ざっぱで楽観的すぎる見方かもしれないが、「存在するすべてのものにはまったく無駄がない」という一昔まえならば金言ですまされるべき言葉を、体感し実証される世界がひらけつつあるのでないか・・・と強く思う次第である。
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