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第1回:気候変化の危険ー洪水ー

文:小出 兼久 06.01.13 写真:AP通信
出展:過去5〜6年前からの災害の新聞報道や気象観測学の分析により、気候変化におけるコラムをまとめた。

 




    洪水の中で彼の親と姉を失った          洪水の中で遊ぶ子供

 


地球温暖化は、数百万の人々の家を滅ぼし、何百万人もの生活を奪う。2000年8月6日ーそれはインドで発生した洪水の一部分から始まった。ブラマプートラ(Brahmaputra)川とその支流の住宅地の堤防が決壊した。この壊滅的な洪水は、激しいモンスーン雨季がきっかけとなって起きた。つまり、大きいサイクロン(台風)がオリッサ東部の州を襲った後30,000人が被災し、そして、ここ数年(2000年前後)のうちインド東部において2番目に大きい洪水を起こしたのである。

 

この災害の2ヶ月前には、中国、ブラジル、ロシアでさらに致命的な洪水が起こっている。そして新世紀を迎えた2000年初めにも、モザンビークで何十万人の人々が洪水によって被災しどうすることもできなかった。同時に、アフリカとエチオピア東部はここ数年間ひどい干ばつで苦しんでいる。この過去2年前後の世界的に奇妙な気象は、地球温暖化が地球の気候を不安定にし始めたという推測をあおり始めた。

 


モザンビークの洪水


ブータンとインドのアッサムと西ベンガル近隣の州で、地滑りと洪水によって1,000人以上が2日間で壊滅した。そして、インド北部とビハール州東部を含む全体の報告書には、8,400万ルピー(188万ドル)と見積もられる作物が被害を受け、なお約3,000以上の民家と公共施設が破壊された。鉄道や道路が寸断され、町自体が水の下に埋もれている。
当時、国連環境計画による報告書は、気候変化が自然災害を生む原因となる可能性はわずかしかないと述べていたが、事実、原因は他にあった。一つは、エルニーニョ現象の影響が世界のある地域の暑く乾燥した気象に結びつき、周期的な気象障害と激しい大雨により洪水をもたらすこと、二つめは、世界の多くの地域の中で洪水の傾向のある地域は、大規模な森林破壊や埋め立てによって人間の新しい定住を目的とした開発が行われた地域だったことである。つまりこれは人間による気象災害であった。

  


国際赤十字社の支援機関は、このインドでの2000年8月6日の被害、この年の洪水の原因について、全原因の組み合わせの結果かもしれないと受け止めているが、彼らも、変化する気象に備えるために各政府がさらに多くの整備をする必要があると述べている。しかし今回、整備を行う前にそれは起こってしまった。であるなら、これらの洪水を単に地球温暖化のせいにして済ませられないのもまた、真実である。

 



研究者の中には、過去のデータを観てもなお、人間の活動が迅速な気候変化を引き起こしているのかどうか疑っている人もいる。しかし過去のデータのうち温度表で矛盾を強調するデータは、地球表面で得られたもので、最近20年間の人工衛星などからの観測によってもたらされたデータは、温暖化を証明している。しかし、これらは低層の対流圏(地球表面から約8km以内を拡張する大気層)における温暖化でそれ以上は説明しない。

気候モデルは一般に、表面と同様に高層大気も気温が上昇するはずだと予測するならば、温室効果ガスの濃度を増加させた原因となる。表面で見る温暖化のことである。

・・次回は「地球温暖化、心配されたよりも悪化!!」

 

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過去と未来の気候と緑
第15回(最終回)地球温暖化 深刻に考える時期
第14回 2007年の警告 エルニーニョ現象は気候変動の引き金となる
第13回 植物の「ノアの箱船」は用意されている
第12回 生物燃料はグリーンエネルギーか死神か
第11回 次世代燃料のもたらす未来
第10回 水の乱用は地球を犠牲にする
第9回 2006年夏、中国の気象危機
第8回 非常な気象ー気候変動は我々に責任があるか?
第7回 気候変化による危険:自然は凶器
第6回 英国を襲う渇水の恐怖
第5回 地球観測衛星隊ーNASAのA列車ー
第4回 気候変化のB面
第3回 地球温暖化で急速に広がる伝染病からの警告
第2回 気候からの冷酷な警告
第1回 気候変化の危険ー洪水ー
 
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