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John Everett Millais ジョン・エヴァレット・ミレイ
秋の葉 Autumn Leaves, (1856年)
104.3 x 74 cm; oil on canvas
ミレイは、赤、オレンジ、茶色、黄色といった鮮やかな色づかいと共に、秋季を呼び起こしてくれる。
中央の少女は、焚き火で落ち葉を燃やし、彼女たちがそろって赤ら顔なのは、炎の熱と照り返しによるようだ。落ち葉、煙、太陽、すべて秋季にふさわしい描かれ方で、すべてはかなさを表しているようで、それは、人間さえも例外でないことを、我々に気づかせてくれる。様々な年代の少女たちが、その青春時代を描かれているにもかかわらず、やがては死ぬことに、私は思い至らされる。

春Spring (リンゴの花 Apple Blossoms)1859年
113 x 176.3 cm; oil on canvas
この春という絵画は、リンゴの花ざかりが描かれたもので、一見普通に美しく見えながら、秋の葉同様、彼の絵画が象徴主義と見られる理由となっている。ミレイは、この絵が「その荘重さによって最も深く宗教的な非難を目覚めさせる」ことを望んだと何かに書いていた。リンゴの花の咲いた樹冠の下に少女が集まり、ある者は髪に花を飾り、ある者はチーズやクリームに夢中になってくつろぐ様子が描かれている。彼女たちは、花として、青春として、誰もが生き生きとした顔で美しいほどに存在している、しかし、どこか厳粛な面もちである。
それもそのはず、右側では死神の象徴である大鎌の通過する時間が存在する。
ミレイは、ここで、この美しきもの皆が過ぎ去ると暗示する。新しい草は切り取られ、花はしおれる。そして、少女は年を取り、死に絶えてしまう。
●John Everett Millais(1829-1896)●
ジョン・エヴァレット・ミレイは、英国イングランド南部のササンプトンの出身の、イギリス・ラファエル前派を代表するイギリスの画家である。彼は、11歳の時に史上最年少の画家として、RA(ロイヤル・アカデミースクール)に入学し、17歳のときに出展した、Pizarro Seizing the Inca of Peru で、歴史画家として知られるようになる。
1848年には、ロッセティ、ハントと共に、ラファエル前派というグループをつくった。
ミレイの最初のラファエル前派としての作品は、1849年のthe scene Lorenzo and Isabella である。これは、ラファエル以前のフランドルやイタリア絵画を思わせる作品であった。以後、さまざまな賞を受賞。ラファエル前派の創立メンバーとして、歴史的・文学的主題を、写実に基づく明るい色調と細密な手法で、1850年代後半に同派が解散するまで描いた。その後、風俗的主題や肖像を通俗的に描き、イギリス人画家として富や栄誉、地位を不動のものとした。1863年には、出身校であるRAの会員となり、死去する半年前には、同会の会長に就任している。
1870年代初め頃から、イギリスの有名人の肖像画を多く描いているが、彼は絵画の細かな部分にまで神経をくばり、並外れた構成とその明晰さにおいて、厳格な画家であった。後期はヴィクトリア朝の味わいと、シェイクスピアの物語など、逸話の絵画を描いた。享年67歳。
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