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John Constable ジョン・コンスタブル

雲のある風景(1821-22年)
47.5 x 57.5 cm; oil on canvas National Gallery, London
この絵には、暗くなった景色の上を躍動的に流れる荒れた空模様が描かれている。コンスタブルは、ハムステッド・ヒースの雲の研究を基に絵を描いたと考えられる。しかし、天候条件を記録したメモはない。彼は絵に対しては、情緒を表すための試みというよりも、「科学的な勉強」という意識で興味を持っていたと言われている。記憶からも絵を描いたのかもしれない。コンスタブルは自然主義の風景画家である。彼の描く風景は、父親の出身地であるイギリス東部のサフォーク州、コンスタブルの生まれ故郷周辺が中心で、ただイギリスの田舎の風景を描きつづけた。コンスタブルのような森や木、川の風景画を描いた画家は、いない。コンスタブルの絵には、特に風景に流れている雲が特徴的である。決して空が大きく描かれているわけではないが、風の流れによって形が変わっていく雲、さまざまな雲の姿が、それぞれ違う画の中に見られて興味深い。

牧草地から見たソールズベリー大聖堂(1831年)
151.8 x 189.9 cm oil on canvas National Gallery, London
コンスタブルはソールズベリー大聖堂を何度も描いている。そのどれもが、大聖堂は中心ではなく、景色の中の一つとして描かれている。この絵の大聖堂は、荒れる空と共に描かれている。降雨は印象的で劇的であり、画面を暗くしている。彼の妻の死の直後に描かれたもので、豪雨とそれが過ぎ去った後にのぞく虹、教会の尖塔(明るい空へ届く雲を越えて突き進むように見える)・・・過ぎ去ったすべてを見つめ、そして、希望をくれるコンスタブルの信仰の強さが伺い知れる。
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