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リッドによる敷地デザインの主要目的は、一つに、敷地の開発前の水文学を模倣するように、開発後の敷地中至る所での降雨の表面流出を一様に最小限にし、引き留め、保持することにある。もともとバイオレテンションセルは、表面流出水の水質を管理する目的で設計されるものだが、同時に量の制御も達成する。バイオレテンションセルは、そこに表面流出を浸透させて一時的に蓄えることにより、敷地全体の表面流出量を減らし、現地の開発前のピーク降雨排出率とタイミングを保持しようとするものである。自然の流域状況を模写するためにどのくらいの表面流出量を制御しなければならないのかは、敷地の曲線番号(CN)への開発の影響を論拠として、各敷地に応じて変化する。

 

バイオレテンションセルの大きさを決定するツールは、表面流出量の効果的制御に必要なセル特性を決定する際にも使うことができる。暗渠を使用すれば、ある種の浸透装置よりもずっと、バイオレテンションセルを降雨排水システムへと処理水を放出するフィルタのようにすることができる。いずれにせよこのセルの水を溜める力は、降雨排水システムへの即時の量負荷を減らし、ピーク時の放出率を減らしてくれる。

 

現場の土壌の浸透率が、暗渠の使用を妨げるほど十分に高い(少なくとも1時間1インチ程度の)ところでは、バイオレテンションセルを使うことで、結果として地下水の涵養も促進する。もしこの目的のためにセルを使うのであれば、気がかりなのは、涵養地域の性質と、また、システムに入り込む汚染物質をどう処理するかということであろう。そのため土壌調査や汚染物質調査は欠かせないものとなる。さらに、バイオレテンションセルの補足的な利点、すなわち水文学的な利益として、熱汚染の縮小が挙げられる。不浸透性地表からの熱された表面流出水は、バイオレテンション設備を通してろ過されると、同時に、冷やされる。ある研究では、設備に流入する水と処理後、設備から流出した水との間には、12度の温度差が観測されたと言う。この意味ではやりようによっては、都市のヒートアイランド現象への興味深い対策となる可能性がある。
バイオレテンションセルのこの機能は、ことさら、冷水(寒流)による漁場が重要である地域では、その維持に役立っている。