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● オレゴン・コンベンションセンター:レインガーデン

 

 


CONVENTION CENTER  Downtown Portland, OR

都市の雨の庭:ダウンタウンポートランド, オレゴン州 

オレゴン・コンベンションセンターは、5.5エーカーの屋根面積から1,000立方フィートもの雨水流出(約7,500ガロン)を集める「雨の庭」という機能を持っている。
この雨の庭は、玄武岩の柱を持ち、湿地に生える植物、在来植物、芝などが植えられた、谷川に似せた318フィートの長いチャンネル(流路)の形状をしている。流露は、水の流れをゆっくりとしたものにし、沈殿物をろ過し、水が地中へ浸透するのにかかる時間を増加させるように、丸石で覆われた沈砂池となっている。流路の底は、正確には、12トンのアイアンマウンテンフラッグストーン(板石)と90トンの川岩(丸石)とに覆われ、コモンラッシュ、コリヤナギ、ハナミズキ、スゲ、アイリス(黄)、イリスシビリカ、水生アイリスなどが脇に植栽されている。これらの植物は、汚染物質をろ過し土壌を安定させるのに役立つだけでなく降雨流出量全体を縮小するのにも役立っている。そして、雨の庭は、コンベンション・センターの外見に魅力を添えるだけでなく、水がそこに入ってきたときよりもきれいにして市の下水管へと送り出す水域の役目も果たしている。

  

 

CONVENTION CENTER  Downtown Portland, OR

オレゴン・コンベンション・センターの雨の庭は、そこを訪れる訪問客を惹きつけるだけでなく、雨水ろ過の庭を美的な都市のデモンストレーションへと統合したものである。それは降雨流出水がウィラメット川へ放たれる前にその水を保持し浄化してくれる。この構造はナチュラル・プロセスを模倣して作り上げられている。

 

●シアトルSEA ストリート(SEA STREET: street-edge-alternative) 

プログラム:自然排水シアトル公益局、ワシントン州シアトル北西部


800,000ドルを費やしたSEAプロジェクト。その概略は、自動車の通る曲折した幅14フィートの道路、低湿地、追加された樹木、氏草花など植物、および鋭角的な駐車域などからなる。

 

SEAストリート(SEA Streets)は、シアトル北西部にあるシアトル公益局による自然排水プロジェクトである。この場所に最初に出会ったのは1997年8月のワシントン大学の夏季セミナーであった。その後その製作過程を追うように季節と共に検証を繰り返した場所である。今思えばここは、シアトル市の低影響開発の実践としての最初の大きな試みでもあった。
ここは、ナチュラル・プロセスを模倣する自然排水と浸透を供給するように計画されたプロトタイプ・プロジェクトである。SEAストリートは、連続縁石、曲線路、開放型ドレナージ付低湿地、かなり多様な植物、在来の植物などを用いて、150年もの間、慣習的に行われていたそれまでの標準的な街路設計の殻を破ったものとなった。
ここの雨の庭は、地域社会を、視覚的、環境的、社会的に結合して、住居と地区を統合するように街路に面している。


バイオ低湿地は、雨水からの汚染物質をろ過する芝とスゲとラッシュを植えた場所で、道路の両脇に沿って広がっている。
設計者は、この地域の気候下でほとんどメンテナンスがなくても生存でき、かつ、侵略的にならない種類の植物を選択したが、それは、「適切な植物を適切な場所に」という概念に従った結果である。
樹木は、根系の小さい種類を選んでいるため、道路の脇に容易に収めることができた。そして、湿地で生長する植物は、降雨の流れ込むこの低湿地と池の中でも、より低くて湿った場所に配置されている。さらに道路では交通往来を低速化し、道路の不浸透性表面を削減するために、道路自体を曲折して狭くなるように設計したが、それにより、道路の不浸透性面は11%縮小した。


 

● 住宅の雨の庭

雨の庭は、敷地で降雨を管理しつつ美的にも優れたランドスケープ機能を作り出す。それは簡単で楽しい作業である。その庭は、家や周囲のランドスケープからの余剰的な雨水流出が流れ込むように設計されて植栽されたくぼ地であり、植物はスゲやラッシュ、シダ、低木、樹木の中から余剰水を吸収し、蒸散というプロセスを経て水を大気へ還元するのに適した種類が選択された。

雨の庭が優れているのには、多くの理由がある。
まず、乾燥を弱め、降雨流出から汚染物質を取り除き、舗装面をより魅力的に見せてくれる。
また、面白い植物を植えられる機会ともなる。
ここでは、ワイルドフラワーや生物多様性を満たすような植栽が勧められるが、それは、我々に影響を与える環境問題の負荷を取り除くのに著しい貢献をするもので、魅力的かつ環境優位性があり、建物と環境を結び付けてくれる植栽となる。
雨の庭は、どんな雨でも最大限に利用し、灌水の需要を減らす。そして、公共の降雨管を煩わせることなく、余剰の降雨を住宅でも扱えるようにさせてくれる。


宅地のくぼみにある雨の庭; photo/design credit: Mike Broili

 

タスマニアン・レインガーデン

フィラデルフィアの雨の庭は、エドガー・デイビッドによって設計された。雨水は家の屋根から石で出来た貯水タンクへと流れ込み、それは林床植物のコレクションを模倣した場所に向けられる灌水として使用されている。

 

●公立学校の雨の庭

グレンコエ小学校
ポートランド環境サービス局 ポートランド、オレゴン州

グレンコエ小学校は、オレゴングリーンスクールプログラムの一部である。それは皆の認識を高め、資源を保全し、創造的かつ教育的な方法を持って、環境に学校が与える影響を減らすことを目的としている。
グレンコエ小学校の雨の庭は多機能である。それは、隣接する道路からの雨水流出を集め、下水道システムへと流れ込む水を減らし、地域の地下室などが冠水する被害を防ぎ、合流式下水道からのオーバーフローを防ぐ。降雨が植栽を通じてろ過され、庭の中を移動するうちに地中への浸透がゆっくりとしたものになり、基底流へと浸出する、これは自然の水サイクルの状態を模したものである。また、雨の庭は、キャンパスの美化に一役買うだけでなく、屋外における教育的な資源としても重宝されている。

 

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