![]()
低影響開発の実践には、現場実践には次のようなものがある。
いずれも単独での実践が可能ではあるが、複数を組み合わせることで、より効果的な目標達成を実現することができる。下の項目をクリックしてそれぞれの実践の概要を知ろう。
尚、米国で実際に行われている実践を説明にしているので、単位は米国のままである(例:ドル、ガロン、フィート)
● 縦樋の分断
屋根から続く縦樋を下水と分断し、屋根からの流出を浸透する地表面へと導く。
● 雨水樽
屋根からの流出を50から100ガロンの樽に集水する。そしてランドスケープ域へと補完的に放出する。
● タンク
屋根からの流出を地上あるいは地下の貯留タンクに貯める。容量の範囲は、数百から1
万ガロンまである。貯留した水は、トイレや洗濯、芝生への水やりなどに使われる。
● レインガーデン
小さな(数百平方フィート)の植栽された窪地は、降雨流出を捉え、浸透させ蒸発散を促進するために使われる。
● グリーンルーフ
土壌と植生は従来の平屋根あるいはわずかに傾斜した屋根の頂上に設置される。完全なグリーンルーフシステムは、防水層、保護層、灌水システム、排水システム、フィルターそう、土壌と植栽を含んでいる。
● 屋根貯留
雨水流出を平屋根で一時的に貯蔵をし、制限されたルーフドレイン流入口を通りながら徐々に排出する。
● 緑化した駐車スペース
駐車スペースの不浸透性エリアを効果的に減らし、浸透や蒸発散(あるいはその両方を)を促進するために、各種の方法が使われている。
● 降雨流のための樹木
降雨を遮断し蒸発散を提供するために、樹木のキャノピーによる被覆率を増加させることは、生物的な利益ももたらす。
● 多孔質舗装
多孔質アスファルトやコンクリート、あるいはモジュラーブロックシステム、芝舗装、砂利舗装などの使用は、降雨を[舗装]を通して浸透させる。
● インレットレストリクター(流入制御器具)と舗装貯留
フロー(流れ)に関連する器具を使うことで街路や駐車場などに一時的に降雨を貯留することができる。
● バイオレテンション
グラス類や低木、樹木などがランドスケープされた滞留池。砂や砂利の暗渠、マルチ、土壌改良材も共によく使われる材料である。
● 現場でのろ過浸透実践
砂や土、砂利、ピート、堆肥などの浸透性の材料を使って、降雨の流出を減らし、汚染物質を除去するサンドフィルターやバイオレテンション装置、湿地、浸透性植栽地などの実践を言う。
● ポケット湿地
降雨流出のピークフローを減らし、流量をも減らす小さな人工的な湿地。その生物的構造を通して、汚染物質も除去される。
● フレンチドレインと乾燥井戸
砂利の詰まったトレンチ(フレンチドレイン:それが水平なもの、乾燥井戸:それが垂直なもの)は、屋根からの流出を捉まえて土壌へと浸透させるために使われる。
● 浸透性マス(穴)
地面の下に穿孔のある筒状コンクリートの構造物を作り、降雨を集めて土壌へと浸透させる。
● 土壌改良材
土壌に混ぜられた腐植有機物は浸透性能を改善し、植栽の育成をよりよくする。
● 再開発政策
土地の開発と降雨管理評価、条件について。
降雨流管理に対する統合的な手法は、多くの新しい概念と実践について考えさせるものである。
しかしながら、この新しい実践と従来の工学的な排水システムとの性能と費用の直接比較など、注意して扱うべき問題が沢山ある。 例えば次のようなことが問題である。
1. 実践は地域や状況によって適用する形が異なる。また、雨水樽を初めとする幾つかのものは、住宅地にのみに適用するが、屋根貯留のように大規模商業地や工業地、研究機関の建物のみで実施するものもあり、インレットレストリクターのように舗装エリアに設置するものもある。 物それぞれであり、また、性能基準(制御する水量も含む)の許容範囲も、幅広い。
2. 敷地における降雨流削減実践は、降雨流削減以外にも、水質上の利益や地下水の涵養、野生生物生息地の改良、教育的価値などの幅広い分野で各種の利益をあたえてくれる。
3. 統合的な手法には、小規模だが貢献する実践―すなわち結果を蓄積し、いつもではないが工学的な解決よりは効率的で、しかし、しばしば、改良された利益と増加する参与と長期的に実施されるーというものもある。
4. グリーンインフラストラクチャー、持続可能な開発、改良された敷地設計などの概念は、構造的に、非構造的に、組織的に、教育的といった、各々の要素を組み合わせて必要とする。これらの要素の実施には、パートナーシップを増やさなければならなくなる。住民にとって魅力的な現場実践は、コミュニティと近隣グループ、特に関心のあるガーデンクラブなどのグループと自治体とを結び付けるパートナーシップを提供するものである。研究機関や商業用地のオーナーにとってより適切な実践は、多くの所有地をもつ既存の学校管区や銀行、開発業者などの団体と連携する機会を提供することである。
5. 現場での実践は、公衆に対して降雨流と水域の健康と保全について啓発する素晴らしい機会となる。住宅地での降雨流出削減に関するプログラムは、ホームオーナーの降雨流問題に対する理解を深めることになるだろう。レインガーデンや縦樋の分断といった実践は、大変現実的であり、理解が容易な概念である。研究機関による実践は、サービス団体や所有地のテナントといった人々の集まった大きな集団での降雨管理への認識を高めさせる。ルーフガーデンのような実践は、学校管区と連携すると、学校の子供たちとその親たちのために教育的プログラムを作るチャンスを貰うことになる。住民や研究機関のための降雨流削減実践における評価プログラムの中には、広報やメディア報道を通して追加的な教育/気づきの機会を提供するものもある。
降雨流を減らす実践の特性と限界を評価し、これらの実践が最良を遂行するための状況を理解することは有益である。それぞれの実践に対して、表1(PDF)は、フローの有益な点、環境的な機能、実施可能性、機能、運用、メンテナンスの必要性、環境認識を促進するための潜在性などを概括する。
評価指標は次のとおりである。
- すべての実践は降雨流において何らかの削減を実現する一方で、もちろん表の中には含まれないが水文倫理/水力性能は幅広く変化する。
- 実践の四分の三は、潜在的に設計に依存するが、「激しい(1インチ以上の)」降雨ならば、少なくとも周辺利益を提供する。
-
2つの実践以外は全て汚染物資除去と水質的利益が期待される。
-
多くの実践が、公衆が受け入れることは可能だと信じられている一方で、かなりの集中的な公衆に対する啓発プログラムが、実施の成功には必要とされる。
-
実践の四分の三以上が、パートナーシップの機会を提供するものである。
-
実践の約65%は植栽を使うものであり、82%は浸透を増加させ、そして、53%は降雨貯留を内容に含んでいる。
-
実践の半分以上は、環境的な責任能力と認識を促進するのに役立つ「良い」あるいは「非常に良い」程度の潜在力を秘めている。
-
フレンチドレイン、乾燥井戸、浸透穴といった幾つかの実践は、ウィスコンシン州南部のような敷地の特殊な土壌調査が必要なところでは限界がある。
-
上にある表2(pdf版はこちら)は、実践の費用効率を表す。初期費用と不浸透性エリアに対して費やされた費用。降雨流の削減量はいろいろである。つまり、雨水樽ならば、屋根からの流出を僅か1/4インチしか溜められないが、グリーンルーフならば2インチ以上の降雨を収容する。費用効率はこうした性能の多様化には影響しないと予測される。
統合された管理戦略計画は、実践の性能をより詳細に評価することになる。
不浸透性エリア1エーカーに費やす費用は1,000ドル以下から、653,400ドルまで幅広い。費用の中央地は、およそ不浸透エリア1エーカーにつき16,000ドルである。戦略的な計画
統合的降雨流管理は次のようなものである。・ システムと環境における降雨流出の有害な影響を描写する。
・ 目的を打ち立てる 。
・ 幅広い代替案を開発して評価する。
・ 降雨流削減のために統合された手法を推進する計画を勧める 。
・ 計画を最善の形で実施するために必要な段階を見極める 。
・ 実施プログラムは、降雨流削減プログラム段階2の下に進められる。
・ 実施プログラムは、潜在的なパートナーと参加者を結びつけ、実施戦略を形にし、批評と評価を概略化し、長期的なプロジェクトとプログラムを立てるように行われるべきである。

![]()
![]()
![]()
- はじめに
- 降雨流出削減実践の分類とその説明
- BMP&低影響開発(LID)のアメリカ・グリーンシティの格付け
- 報告書(持続可能な敷地イニシアチブ)
- 低影響開発国際会議2008のお知らせ(英文)
- 低影響開発における都市+住宅の雨の庭
- 低影響開発とは何か
- なぜ低影響開発が必要なのか
- ランドスケープにおける低影響開発の意味
- 低影響開発のキー戦略
- 低影響開発の実践的手法
- 低影響開発の仕組み
- ワシントン州の事例
- 低影響開発の事例:ペンスウッドビレッジ
- ランドスケープ的バイオレメディエーションの研究
- 低影響開発のバイオ処理機能
- バイオレテンションの設計指針
- バイオレテンションによる都市緑化
- バイオレテンション技術の流域に対する利益
- 表面流出量とタイミング
- 持続可能な米国の再考
- ネポンセットの新しい光



