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ランドスケープアーキテクチュアの考察
第6回:
ネポンセットの新しい光
ボストン近郊における公共と民間のパートナーシップによる「デイライツ」川の拡張 下

翻訳:小出兼久 2007.12.18
Photograph&(c): Landscape Architecture 4/2003

 



スタジアムの敷地からの降雨は、隣接した駐車場内に位置する植栽された低湿地において前処理の後、たくさんの地点から川の回廊へと注ぐ。このBMP機能は、全スタジアム・プロジェクトの大規模降雨管理計画の一部である。ここに含まれている水関連の新機軸は、最新技術の下水収集と現場での水処置システムである。それは、処理済みの廃水をスタジアムの敷地内でランドスケープエリアの潅漑のような、特定の非移動式の機能に再生利用させるものである。そして、川の水路に関しては、回廊を通して幅、深さ、速度が変化する池の浅瀬システムが設計された。浅く水の動きが速い場所はしぶきがあがり、それにより、通気を提供する。深い池の静かな水は、魚や他の水生生物の隠れ家や休息の場となり、また、浮遊物質を沈殿させる。川の曲がりくねった進路は、川が再配置された現場の上流と下流に見いだされた既存の領域を模倣してつくったものである。曲がりの変化と縦断面深さの変化は、浮遊物質のろ過のような水質利益と多様な水生生息地を提供する。丸くなった砂利は、自然な外見と安定した川底を提供するために底面支持層として選ばれた。水生生物が隠れ家とするような、角や割れ目などの欠点が設計で取り入れられ、最終的に水路堤防に沿って造られた。

 

 

 

水路と斜面安定化の生物工学テクニックは、木質の護岸のような特徴を含んだ。日陰に野生生物のための避難所域をつくりながら、スタジアム現場の建設地から回収された木と根の小さいかたまり(倒木を掘った土)は、堤防に対してかかる流れの力を分散させる目的で、水路に沿って重要な地点に固定された。ココナツ繊維の巻いたものが捨て石基礎と組み合わせて設置された。それは一般的に、堤防の先の部分とほとんど水のしみ出ない箇所に限られていた。広範囲に自生の湿地種の種がまかれ、新しく造られた川岸の湿地域は、生物分解可能なマットで固定された後、自生の湿地ハーブ、潅木と樹木種が植えられた。ハナミズキ、ヤナギ、アローウッド、ニワトコなどを含む自生の湿地潅木種から切り取った枝ー生の支柱も、水路の堤防に沿って立てられ、経済的で速いカバーと安定化を提供した。高台の脇の斜面も、同様の処理を受けた。つまりこちらは、ワイルドフラワーの畑のような高台にあう(乾燥に強い)種で設計された。ここの斜面は、大きい丸石がごろごろおかれた眺めで、腰をかける場所にもなり、砂だらけで亀が巣を作る場所にもなっている。

 

 

 

下流から上流の終わりまで川の回廊の掘削は、約44000立方ヤードの土材料を以前の駐車場と競技場から生んだ。掘削の深さは、新しい水路の深い池の範囲では、既存勾配より15フィート下に近づいた。掘り出された土の多くは、スタジアム敷地内の高台エリアを作るための盛土として再利用された。タイミングは、駐車の即時ニーズと、それに関連して既存の水路から新しい水路へと川の流れを迂回させるために、特に重要だった。さらに、指定された多くの植物にとって好ましい設置時期は、成長期の始まりの頃であった。回廊の掘削は2001年4月から始まった。そしてすぐに、水路の多くの掘削と最初の安定化が続いた。生物工学的な作業と植栽は、ほとんどが2001年7月までに完工され、ネポンセット川の新しい水路への迂回は、7月遅くにできあがった。ちょうど迂回させる前に、専門調査委員会のメンバーとコミュニティの人々、その子供達は、腕まくりをすると野生生物の救出作戦を実施するために川に入った。雑魚、カエル、カメ、蝶とザリガニの多数が、すぐにそこに落ちつくことを希望されつつ、新しい川の現場である、上流に再配置された。

 

2001年と2002年の両成長期に干ばつが発生したにも関わらず、そして、2001年の盛んな潅漑だけで、植物は急速に回廊に定着した。植物が繁茂したので、水生の野生生物、鳥と哺乳類は、新しいネポンセット川の水路に気がつき始めた。2002年の成長期には、カメ、カエル、ザリガニ、魚などが、新しい河川水路の至る所で多数観察され、そして、草は丈も高くなり、昆虫で賑わっていた。回廊は、ネポンセット川の上流がどうにか再び完全であるという印象を残している。2002年5月に、ジレットスタジアムプロジェクトは、河川の回復と他の環境保護意識の高い改良が示す環境への遂行に対し、EPAから環境の功績賞を受け取った。

 

コンセプトから実現までちょうど1年という。模範的な公共と個人の協力努力へ感謝し、ネポンセット回廊の再配置と再接続は、首都ボストンの重要な川と流域の1つに、新しい生命をもたらしたのである。

 

INDEX
 
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ボストン近郊における公共と民間のパートナーシップによる「デイライツ」川の拡張 下
 
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