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ランドスケープアーキテクチュアの考察
第4回:
都市計画は「緑」だけが問題ではない!!ランドスケープの計画に水問題の視点をあてるべきである 訳・文:小出 兼久 2007.08.28
地球上で、現実に海面が上昇し、氷河が溶解し、洪水やハリケーンが多発する現象を引き起こす地球温暖化は、都市計画(ランドスケープ)の根本的な再考を求めている。ストックホルム水協会(Stockholm International Water Institute、SIWI)が主催し、8月13日〜18日まで開かれた、世界水週間(World Water Week)会議においても、変動する世界の持続性を求めて努力することが議論されている。
この会議は、140ヶ国の専門家が、水と発生への国際的なプロセスおよびプログラムの実施についての能力構築、パートナーシップ構築およびフォローアップのためにストックホルムで開催された。
会議には、世界の約2500人の専門家が参加し、気候変動問題を中心に水管理の問題を話し合った。 世界人口の8割は、海岸線から50キロ以内に住んでおり、海面の上昇を主要な特徴とする地球温暖化によって深刻な影響を受けることが、SIWIによって会議で指摘された。
SIWIは、海洋が熱によって膨張し氷河・氷床が溶ければ、きちんとした対応手段をとらないかぎり海岸近くの低地にある都市が危機にさらされると主張する。
実際、6月以来、インド、ネパール、バングラデシュで発生した洪水は、住民数百万人に影響を及ぼし、1900人が死亡している。そして現在も、日本の隣国でも、集中豪雨による洪水が発生している。気候変動が人口の増加、都市の拡大と結合すると、大災害がきわめておこりやすい状況が生まれるとSIWIは指摘する。
また、その点で「世界水週間」のJohan Kuylenstierna理事は、米国の保険会社が水害危険地区に建てられた住宅には保険加入を認めないとした決定を歓迎すると語った。人々に生活様式を変えさせることは難しいが、そういうときには「金がものを言う」と理事は指摘している。
「国家による都市計画には気候変動の要素を盛り込む必要がある。どこが水害にあいやすいか地図を作り、対策をたてることが求められる」とKuylenstierna理事は会議で主張した。
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ストックホルム水協会(Stockholm International Water Institute、SIWI)が主催し、8月13日〜18日まで開かれた、世界水週間(World Water Week)会議では、このような意見が相次いで出された。
日本においての取り組みも、温暖化を抑制するために、屋上緑化が話題になるが、その屋上に緑を植えるために水が必要になる。また、雨水利用や集中豪雨に対する試みも十分には程遠い。住宅、商業施設、あるいは公共施設を考える際に、特に、最近の大雨の状況を考えると、水の問題もしっかりと考えなくてはいけないことがたくさんある。諸外国の都市計画では水問題について官民一体の取り組みが行われているが、そのことが緑や環境にとってだけでなく経済にさえも重要な意味を持つということに、日本のランドスケープは気づいていない。真剣に取り組み学ぶことをしない。日本の都市計画における水問題の視点は、官民ともにあまりにもずれていることに驚かされる。あなたならどう行動するだろうか?
世界水週間会議の行われているさなか、気象庁の発表によると16日午後、多治見市(岐阜県)で40.9度を記録し、観測史上の最高気温を更新したニュースが伝わってきた。これまでの記録は1933年に山形市で観測された40.8度だった。猛暑が続く中、この週だけで全国で13人が熱中症により死亡している。このほか、暑さに関連した症状や傷害で数百人が病院に搬送されているという。
田畑やダム、農水や山水の異変に気づかされながら、温暖化が信州の山々まで影響を及ぼしつつあることを肌で感じ取っている。何ができるかではなく、今すぐに何をはじめられるかを模索しながら自然と向き合うのであるが、一人の力でできるものは限られているだろう。しかし、この豊かな自然から今再び多くを学べるということは確かなようだ。都市計画に対する水問題の視点を改めて感じさせる信州である。
蛍が消えハエが消えた村。あなたは何が問題だったかわかるだろうか?
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