低影響開発の実践的な手法:その分類と評価

公開日 2011年1月21日 最終更新日 2016年5月2日

低影響開発の現場実践には次のようなものがある。いずれも単独で行うことも可能な実践であるが、複数の実践を組み合わせることで、より効果的な目標達成を実現することができる。下の青字の項目をクリックしてそれぞれの実践の概要を知ろう。(青字クリック→PDFファイルが開く)

※尚、米国で実際に行われている実践を元に説明しているため、単位は米国のままである(例:ドル、ガロン、フィート)

 

縦樋の分断
屋根から続く縦樋を下水管と分断し、屋根から表面流出した雨水を浸透可能な地表面へと導く。

 

雨水樽
屋根からの流出水を50から100ガロンの樽に集水する。そしてランドスケープ領域へと補完的に放出する。

 

雨水タンク
屋根からの流出水を地上あるいは地下の貯留タンクに貯める。容量の規模は、数百から1万ガロンまでさまざまである。貯留した水は、トイレや洗濯、芝生への潅水などに使われる。

 

雨の庭(レインガーデン)
(数百平方フィート程度の)小さな植栽された窪地が、降雨流出を捉え、浸透させて、また、植栽からの蒸発散を促進するために使われる。

 

グリーンルーフ
従来の平屋根あるいはわずかに傾斜した屋根の頂上に、土壌と植栽を用いて設置される。完全なグリーンルーフシステムは、防水層、保護層、灌水システム、排水システム、フィルター層および土壌と植栽を含んでいる。

 

屋根貯留
雨水の表面流出した分を平屋根で一時的に貯蔵をし、流量の制限されたルーフドレイン流入口を通りながら徐々にそれを排出する。

 

緑化した駐車スペース
駐車スペースの不浸透性の領域を効果的に減らし、浸透や蒸発散(あるいはその両方を)を促進するために、各種の方法が使われている。

 

降雨流のための樹木
降雨を遮断し蒸発散を提供するために、樹木のキャノピーによる被覆率を増加させることは、生物的な利益をももたらしてくれる。

 

多孔質舗装
多孔質アスファルトやコンクリート、あるいはモジュラーブロックシステム、芝舗装、砂利舗装などの使用は、降雨を[舗装]を通して地中へと浸透させる。

 

インレットレストリクター(流入制御器具)と舗装貯留
フロー(流れ)を制御する器具を使うことで街路や駐車場などに一時的に降雨を貯留することができる。

 

バイオレテンション
グラス類や低木、樹木などがランドスケープされた滞留池のことを言う。砂や砂利の暗渠、マルチ、土壌改良材も共によく使われる材料である。

 

現場でのろ過浸透実践
砂や土、砂利、ピート、堆肥などの浸透性の材料を使って、降雨の舗装面などからの表面流出を減らし汚染物質を除去する、サンドフィルターやバイオレテンション施設、湿地、浸透性植栽地などによる、地中への浸透実践のことを言う。

 

ポケット湿地
降雨流出のピークフローを減らし、流量をも減らす小さな人工的な湿地である。その生物的構造を通して、汚染物質も除去される。

 

フレンチドレインとドライウェル
砂利の詰まったトレンチ(フレンチドレイン:それが水平に造られたもの、ドライウェル:それが垂直に造られたもの)は、屋根からの流出水を捉まえて土壌へと浸透させるために使われる。※トレンチは溝。

 

浸透性マス(穴)
地面の下に穿孔のある筒型のコンクリート構造物を作り、そこへ降雨を集めて土壌へ浸透させる。

 

土壌改良材
土壌に混ぜられた腐植性の有機物は土壌の浸透性能を改善し、植栽の生長をよりよくする。

 

再開発政策
土地の開発と降雨管理評価、条件について政策を立てる。

 

※では、次のページでこれらの実践の評価について述べる。