連載第1回 陸上植生による地球規模の炭素吸収力は、最適な土地管理によって大幅に向上させることができる

公開日 2022年6月16日 最終更新日 2022年6月29日

連載第1回

 

陸上植生による地球規模の炭素吸収力は、最適な土地管理によって大幅に向上させることができる

 

 

 

 

大気中の二酸化炭素濃度の上昇や地球温暖化は、二酸化炭素を主成分とする温室効果ガスの過剰排出が主な原因であると考えられている。陸上植物は、毎年112-169PgC(1PgC=1015gの炭素)を吸収し、地球上の炭素循環に重要な役割を果たしている。植生の炭素貯留量は、土地管理によって異なる。本文では、最適な土地管理を行った場合に、植生がどれだけ多くの炭素を吸収できるかを評価する統合的な方法を提案する。提案手法は、リモートセンシングした純一次生産性の時系列データ、景観・植生・土壌の区分け、および距離制約付きゾーン解析を組み合わせたものである。その結果、場所ごとに最適な土地管理を行えば、世界の陸上植生は年間13.74PgCを余分に吸収し、その半分は植生域の15%に集中することがわかった。この結果は、土地管理を最適化することが気候変動を緩和する有望な方法であることを示唆している。