低影響開発の実践的な手法:その分類と評価

公開日 2011年1月21日 最終更新日 2016年5月2日

降雨流管理に対する統合的な手法は、多くの新しい概念と実践について考えさせる。しかしながら、この新しい実践と従来の工学的な排水システムとの間には、性能や費用の直接比較など、注意して扱うべき問題が沢山ある。 例えば次のようなことが問題である。

 

  1. 降雨流管理実践は地域や状況によって適用する形が異なる。また、雨水樽を初めとする幾つかのものは住宅地にのみに適用するが、屋根貯留のように大規模商業地や工業地、研究機関の建物のみで実施するものもあり、また、インレットレストリクターのように舗装エリアに設置するものもある。 物それぞれであり、それゆえ性能基準(制御する水量も含む)の許容範囲も幅広い。
  2. 敷地における降雨流削減実践は、降雨流削減以外にも、水質利益や地下水の涵養、野生生物生息地の改良、教育的価値などの幅広い分野で各種の利益をあたえてくれる。
  3. 統合的な手法には、小規模だが貢献する実践―すなわち結果を蓄積し、いつもではないが工学的な解決よりは効率的で、しかし、しばしば、改良された利益と増加する参与と長期的に実施されるーというものもある。
  4. グリーンインフラストラクチャー、持続可能な開発、改良された敷地設計などの概念は、構造的に、非構造的に、組織的に、教育的に、各々の要素を組み合わせることを必要とする。これらの要素の実施には、パートナーシップを増やさなければならなくなる。住民にとって魅力的な現場実践とは、コミュニティと近隣グループ、特に関心のあるガーデンクラブなどのグループと自治体とを結び付けるパートナーシップを提供するものである。そして、研究機関や商業用地のオーナーにとってより適切な実践とは、多くの所有地をもつ既存の学校管区や銀行、開発業者などの団体と連携する機会を提供するものである。
  5. 現場での実践は、公衆に対して降雨流と水域の健康と保全について啓発する素晴らしい機会となる。住宅地での降雨流出削減に関するプログラムは、住宅所有者の降雨流問題に対する理解を深めることになるだろう。雨の庭や縦樋の分断といった実践は大変現実的であり、理解が容易な概念である。研究機関による実践は、サービス団体や所有地のテナントといった人々の集まった大きな集団において降雨管理への認識を高めさせる。ルーフガーデンのような実践は、学校管区と連携すると、学校の子供たちとその親たちのために教育的プログラムを作るチャンスを貰うことになる。住民や研究機関のための降雨流削減実践における評価プログラムの中には、広報やメディア報道を通して追加的な教育/気づきの機会を提供するものもある。