低影響開発の鍵となる戦略

公開日 2012年1月21日 最終更新日 2016年5月2日

低影響開発を実践するにあたり開発の中で実現するべき事柄は、次の4つの点である。

 

1)植生と土壌を保全・再生

2)不浸透地表面を最小にする敷地設計

3)降雨地付近での雨水管理

4)維持管理及び教育プログラム

 

低影響開発の最大の目的は雨水管理にあるが、それは1)や2)と密接に結びついており、また、4)については、少なくとも維持管理プログラムを念頭におきながら計画を進めることが必要である。そして設計者は、あらゆる機会がいつでも教育機会として提供できることを忘れずに、設計に望まなければならない。

 

1)植生と土壌を保全・再生する

  • 未開発地の在来林や植生のエリアはできるだけ残す。開発地では在来の植生を回復させるよう植物を選ぶ。植物は降水を捕らえ、浸透させ、蒸散することで周囲を冷却する。
  • 排水の良い在来土壤ならば保存する。工事によって圧縮された土壤の健康を回復させるには堆肥を利用する。健全な土壤ならば降水を浸透させ、蓄え、潅水をあまり必要としない健全な草木を育てることができるため、土壌の重要性を認識しなければならない。
  • 敷地の既存地形を利用して降雨の表面流出を遅らせ、降雨が浸透し地下水として蓄えられるように考えて敷地を整備する。
  • 自然排水機能と地勢を維持したまま、新しい敷地設計の中へ組み込む。

 

2)不浸透地表面を最小にする敷地設計する

次のような設計をするために、敷地設計者、プランナー、エンジニア、ランドスケープアーキテクト、建築家は、共に働き、共通の価値あるいはコンセンサスを持っていなければならない。

 

  • 屋根、道路、駐車場などの不浸透地表面の面積を最小にする。降雨が表面流出して河川へと直接流れ込んだり、他の表流水と一緒になったりしないように、不浸透性地表面をできるだけ少なくする。建物は従来のアスファルト屋根に代えて、グリーンルーフ(緑化屋根)を造る。舗装する場合でも可能ならば不浸透性舗装に代えて、浸透性舗装にする。
  • 家、その他の構造物、道路、駐車場は、雨水管理上重要な場所や浸透のよすぎる土壌からは遠ざけて設置する。

 

3)降雨地付近で降水を管理する

  • 大きな貯水池を一つ作るというのではなく、ミニスケールで、低湿地、透水性舗装、緑化屋根などを組み合わせた統合的雨水管理を行う。ここでいうミニスケールという意味は、降雨処理装置をひとつにまとめてそれに大面積を割くのではなく、小規模でいいから、降雨の近くで(送水管で遠方に運ぶということをせずに本当に降ったままの場所で)降雨処理をするということである。
  • 降雨流出を遅らせるように、また、敷地内に滞留する雨水の単位時間量を増加させるようにランドスケープ設計をする。低影響開発は、森林地に特有の水のゆっくりした動きを模倣しようとするものである。
  • 低湿地、透水性舗装、グリーンルーフ・・など複合的に装置を造ることが、降水管理システムの信頼度を増やし、失敗の可能性を減らす。
  • 雨水管理機能は、魅力的で環境を保全するランドスケープを造るために、ひとつの敷地設計の中に統合する。それは近隣を美化する庭であり、降水管理の装置である、というようにするのだ。
  • 従来の雨水管理に使用していた、雨水管と下水管、池などへの依存度を減らす。

 

4)維持管理と教育を提供する

  • 明確で実施可能なガイドラインに沿った長期的な保守計画を開発する。
  • 低影響開発装置の適切な維持管理ができるように、住宅所有者やビル所有者、造園家を育成する。
  • 設計者は、啓発的で教育の解答となるような設計を心がける。

 

資料) (C)PUGET SOUND ACTION TEAM, OFFICE OF THE GOVEMOR , STATE OF WATHINGOTON.