水は身のまわりに実は十分にある

「我々は生きるのに十分なほどの水を持っているが、無駄にするのに十分なほどの水は持っていない」

 

 

 

 

ロサンゼルスでHeal the Bayという海岸を護る団体を設立した。ドロシー・グリーンはそう述べた。彼らの団体は沿岸の清掃から始まり、地域の多くのコミュニティを巻き込んで海岸線を保護し、都市の水路を活性化させる運動を展開し、ロサンゼルスがスマートウォーターな政策をとることを目指している。

 

 

以下はドロシーの言葉である。

 

 

 

カリフォルニアは史上最もひどい乾燥期の真っ只中だというのに、人々が水を無駄にあつかう様子を見るとがっかりさせられる。なるほど無駄使いは魅力的なのだろう。なぜなら、ある問題の解決が困難に思える時、その問題は実は大したものではないのだ、だから解決できなくてもかまわないんだ、と偽って自身を納得させようとするのは、非常によくある話であるからだ。しかし、私たちは、そのように問題を過小評価や無視する代わりに、行動するための情報を得て、自身に力を与えることもできる。私をクレイジーだと揶揄する人もいるかもしれないが、私は座って傍観するよりも、戦うために外へ出て行くことを選ぶ人間である。

 

 

とはいえ、チキン・リトルになって空が落ちてくると叫びまわりたいと思う者はどこにもいないだろう。問題は今になっても雨がまったく降っていないということだ。水には代替品がないというのは単純な事実であり、つまり私たちはなにも手にいれることができなくなっている。

 

 

それなのに、だ。水を集めて貯めることもせず、私たちは空から降るほんの少しの雨さえ無駄にしてきた。そして、コロラド川のような遠い水源から何トンもの水を輸入し続けている。ロサンゼルスは自身の水供給の実に88%を遠方の水源地(なんと444マイルも遠方の地!)に頼っており、それを実現するために多くのエネルギーを費やしている。カリフォルニア州だけで、水の輸送や必要な処理と州全体に水を提供するために、全電気使用量の15〜20%を消費する。また、カリフォルニア水道橋として知られている州の水プロジェクトは、カリフォルニア州における電力の最大の消費者である。

 

 

どのような場合に雨の貯水をするのだろうか? どのような場合に、芝生をやめてより乾燥に強く、水をあまり要求しない植物に植え替えるのだろうか。私たちが現在、景観用として使っている植物たちは、カリフォルニアの住宅用水収支の約50%を占めている。つまり、庭は貯水を開始するには最適な場所だと言えるのである。それまでの生活スタイルに多少の変更を追加することにより、私たちは環境に対して巨大な影響を与えることができるのだ。――例えば、オーストラリアにおける雨水の貯水は、干ばつの緩和に役立ち、成功をおさめている。

 

※チキン・リトル:頭に空から落ちて来た木が当たったために、つぎは空が落ちてくるのではないかと悲観したヒヨコについてのイギリスの寓話。これが転じて悲観論者(ペシミスト)を指す慣用句となる。

 

 

雨水タンクに雨を集めることを試すべきではないのか?
 
雨が屋根に落ちると、それは側溝や道路、雨水排水システムへ流入し、最終的には海へ流れ込む。こうした雨水を都市の排水システムへではなく、雨水タンクへと逸らすには、屋根は理想的な集水流域である。

 

 

しかし、少し待ってほしい。雨水タンクとは正確にはどのようなものなのか?
 
雨水タンクとは雨水を保持するための大きな容器である。これには何百という既製品のほかにも、食品保存用のコンテナや洗練されたモジュラー壁ユニット、またはテラコッタの壷などを再利用してあてることもできる。

 

 

どこに置けばいいのか?
 
雨水タンクを置くのに最適な場所は、縦樋の下である。雨樋がない場合には、建物の屋根ラインより内側の少しくぼんだ場所に配置すると良い。

 

 

雨水タンクに集めた水でなにができるのか
 
ホースあるいはジョウロ、またはドリップ潅水を用いて、雨水タンクの水を庭に利用することができる。雨水タンクの設置は、重力で庭に水を移動させることができるよう、地面から約45cm以上高く設置すべきである。

 

 

蚊や地震の対策は必要か
 
どちらの懸念も払しょくできるように、次の簡単な手順を実行する。
雨水タンクには、メッシュのスクリーンなどのスクリーニング(ろ過)機能が内部についている蓋をかぶせる。また、雨水を貯めたのちも、1か月そのままにすることのないように、適時使用し、適時掃除をして空にする。そして最後に、所定の位置にレイントラップをつける。

 

 

初心者が始めるべき雨水タンクの大きさは?
 
100〜300リットルの容量の雨水タンクを使うのが最初としては素晴らしいスタートである。これなら1万円台から既製品もある。さらに、雨水タンクの設置前に地元にて雨水タンクに関連する助成金がないか調べておく。必要ならば書類申請を行う。