公開日 2009年1月6日 最終更新日 2016年5月2日
雨水の敷地からの流出を抑制する方法のひとつに、浸透性プランターがある。浸透性プランターというのは、フィルター機能を持ったプランターのことで、イメージとしては、底の抜けたプランターを地面に設置した感じである。植栽地でなく植栽マスの類で、三方あるいは周囲を縁取った花壇形とするので、便宜上プランターと呼ぶ。壁の材質が透水性なのではなく、その空間全体に、水を浸透させてろ過をするフィルターの役目を持たせたものを言う。
浸透性プランターの平面図
浸透性プランターと低湿地(Swale)
浸透性プランターと低湿地は似ているが、それぞれの設置状況は異なっている。どちらも、敷地内に降った雨の流出を抑制する目的のために設置するものであるが、基本的に低湿地が舗装面から集めた水を利用する装置なのに対して、浸透性プランターは建物屋根からの集水を利用するものである。建物屋根からの集水を低湿地に流入させてもよいのだが、通常、建物屋根からの集水は舗装面のそれよりも集約的で、また建物にも近接するため、豪雨対策からフィルター構造(浸透トレンチ)をとる必要がある(低湿地は、通常、浸透させて終わりという仕組みである)また、低湿地からオーバーフローする水を次の場所へ送り込む排水管をさらに設ける場合は、チャネル(水路)と呼ばれる機能の設計が必要である。
浸透性プランターの特長
- 建物屋根からの雨水を導く
- 縦樋や縦樋からの送水管の水が浸透する
- 豪雨に備えてオーバーフロー管を付ける
- 必ず浸透トレンチ式にして流出管も付ける(それでも雨水流出は抑制可能)
- 三方または四方を縁取りされ、底がないか一部の底が浸透トレンチとなる
- 建物に隣接して配置する
- 低湿地に比べると、建物基礎の防水や浸透トレンチなどやや手間がかかる
浸透性プランターの利点(まとめ)
- 屋根からの雨水流出を抑制する(都市型洪水の緩和)
- 雨水の敷地内浸透を促進する(地下水の涵養)
- 雨水の汚染を抑制する(水質浄化)
- 植物の水供給を助け、緑化の維持管理に役立つ(景観維持)
- ローコストで設置できる
浸透性プランターのデザイン例
従来の植栽マスを浸透性フィルターへ改修した。
玄関アプローチの両脇に設置してもよいし、バックヤードのテラスに隣接する形で設置することもできる。破線で示しているように、建物屋根からの集水管をプランターまで引き込むことが肝心なため、建物に近接して設置するのが一般的である。
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