都市環境でリビングウォールはどのように役立つのか

リビングウォール=壁面緑化はなんのために行うのでしょうか。
都市環境においてリビングウォールが果たす役割には次のようなものがあります。

 

 

1.建物全体の温度を下げる

 

リビングウォールは、植物によって建物全体の温度を下げようとする際の利用に適しています。都市に熱が蓄積される原因は主に、日射、道路や建物による日射の吸収、建築材料による熱の蓄積とその後の再放射などですが、リビングウォールを用いた場所では、植物による蒸散の結果として、その周囲温度は4〜5°C以上上昇することはなく、時には上昇せずに低温になります。

 

 

2.雨水や中水の再利用手段として

 

リビングウォールは、集めた雨水や中水の利用先としても有望です。今雨水管理で一番問題となっているのが、地中浸透できずに硬質舗装面や芝生の上を流れて下水道へ流れ込む雨水の量と質です。質については、この雨水にはリン酸などの栄養素や農薬、重金属・油などの汚染物質が含まれている場合があるから問題となっているのですが、一般的に植物は、水に溶けている栄養素を吸収することにより、こうした汚染された水を浄化し、バクテリアは有機成分を無機化する働きがあります。例えば、また、植物による吸着効果も見逃せません。したがって、リビングウォールと雨の庭TMとを連動させることは、これからの庭づくりの鍵になります。

 

 

3.垂直空間の効率的な利用

 

リビングウォールが都市に適しているのは、元からある建物や塀などの垂直な表面領域をうまく利用できるからです。この領域を上手く使うと緑化率が上がるだけでなく、気候変動対策やヒートアイランド現象の低減にも効果を与えることができます。

 

 

4.都市のガーデニング・農業・アートとして利用する

 

リビングウォールは、都市の農業、都市のガーデニングにうってつけのツールであり、その美しさはアート作品としてみとめられる余地があります。また、リビングウォールは、シックハウス症候群を緩和するために屋内に設けられることもあり、そうした状況を鑑みつつも、リビングウォールの副次的メリットとしての生産性は、人々の楽しみや癒しなどにもつながる効果で、無視できないものです。

 

 

リビングウォールは、ゆっくりとですが、着実に都市での地位を築き始めています。