グリーンインフラは常に進化している。その最新のトレンドの1つにグリーンファサードハイブリッドがある。
代表的なグリーンファサードハイブリッドの例。平面としての植栽面積は少ないが圧倒的な高さで立ち上がる垂直面が緑空間を印象付ける。©tensile
グリーンファサードハイブリッドとは、グリーンウォールとグリーンファサードを組み合わせたもののことである。複合型グリーンインフラと呼んでもよい。グリーンファサードとグリーンウォー、実はこの二つは互いに類似しているため、両者は非常にうまく連携できるのである。平面での植栽面積を十分に採れないときに利用するには、グリーンファサードハイブリッドは大変効果的である。
グリーンウォール 対 グリーンファサード
グリーンウォールあるいは垂直庭園と呼ばれる構造は通常、壁に取り付けられるようになっている構造体のことで、フレーム構造物に草本や木本(灌木)などのコンテナ容器で栽培できる植物を植え込んだり、這わせたりしたものである。グリーンウォールと呼ばれる構造体は、一般的に言って、ファサードよりも植物密度が高く、より多くの植物を含んでいる。
ファサードとは建物の正面のことを指す言葉である。元々はフランス語である。大辞林には「建物の正面。また、建物の外観を構成する主要な立面をもいう」とある。我々が普段目にする街並み。この街並みは建物のファサードによって形成されている。ある意味その建物の「顔」ともいうべきものであり、それゆえファサードは非常に重要で、ファサードの設計は細心の注意を以って行われる。では、ファサードの植栽はどうだろうか。その植栽は一般的に、メンテナンス頻度が低くても常時緑を保つことのできるような常緑の低木や丈夫な草本類が好まれる。
他方、最近「グリーンファサード」と呼ばれるファサードの緑化が、オーストラリアをはじめとした海外のランドスケープアーキテクチャーシーンにおいて流行の兆しを見せている。この場合、グリーンファサードとは、スチール製の柱とワイヤーロープまたはメッシュからなる構造上で成長するつる性植物によって緑のファサードを演出することを指している。
実は、グリーンウォールもグリーンファサードもどちらのシステムも緑陰を生み出し、蒸発散、微風などによって建物や周囲を冷却する効果を持っている。総じて都市のヒートアイランド現象が及ぼす影響の低減を実現してくれるもので、また、都市の美観を向上させるものである。
グリーンファサードとグリーンウォール、この二つを一緒にすることで双方の良いとこどりが可能になる。この複合型ファサードのことをハイブリッドファサードと呼ぶ。ハイブリッドとは良い交雑種の意味で使われる。これは、グリーンファサードとグリーンウォール双方の利点を兼ね備えたリビングストラクチャーを作り出す1つの方法である。
ハイブリッドファサードの利点とはなにか
- コスト効率が良い。
- 時間の経過とともに持続可能な成長をする一方で、短期的にも良い影響を周辺の環境に及ぼす。
- 非常に自然に見える外観を提供する。
- 完全にグリーンウォールにするよりもメンテナンス頻度は低くてすむ。
ハイブリッドファサードは、パネルとつる性植物を混在させて設置する。こうすることで、1つのタイプのシステムだけでは不可能な広範囲の植物による被覆とその効果を提供することが可能になる。または、低い位置にグリーンウォールを設けることも可能である。その場合、ファサードは建物内部へのフィルタリングされた光を許容するためにより高くなる。
ハイブリッドファサードとは、グリーンウォールとグリーンファサードシステムの双方の利点を提供しながら人工的な環境を美しくする、垂直なリビンググリーンシステムにおける真の革新的なアプローチである。
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