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人工衛星は気候に対する都市の影響を証明する文:小出兼久 05.9.10
石油などの化石燃料に対する我々の欲求が、地球の気候に強い影響を及ぼしていることは一般に認められている。しかし、市街地における人間の集中はどうであろうか?今日、世界の人口の50%は地球表面の約1%の上に住んでいる。この非常な集中は、我々の気候・天候に別の影響を及ぼすような要因と結びつく場合があるのだろうか? 実は「人工衛星と都市」によって、その答えを示すのを助けることができるといわれている。衛星データと増強されたモデルを使用すれば、都市化が10〜25年、あるいは100年間の気象変動にどのように影響を与えるかについて、批評や質問に答えることができる時代が来ている。これは、都市が次の数10年間の間、急速に成長するだろうということを意味する新しい取り組みでもある。都市が気候に影響を与えるという証拠は今後ますます増加する。
J.マーシャル・シェパード(世界的な自然科学者)と共同執筆者Menglinジン(メリーランド大学カレッジパーク校の研究者)は、人工衛星にて観察された都市の情報が、気候モデルの中で都市の成長結果をシミュレートする能力を高めるのに、非常に役立つと示唆している。彼らは、衛星データが世界規模の都市表面と地球表面、草木と大気汚染物質に伴って変動する気候拡張を表すための唯一の実現可能な方法であると提案している。
8月末から9月初旬にかけて、我々は米国のハリケーンや日本の台風に大きな関心をもった。しかし一方で、実は、報道されない中国北部の洪水やインド南西部における異常サイクロンによる都市水害、ヨーロッパでの連続した複数都市における寒波や暴風といった被害が拡大している。手元の資料内容によれば、2005年の1月1日から現在までに起きた気象に関する災害の件数は198件以上にもなる。これらの数字が多いか少ないかではなく「自然の災害」だけでは片付けられない「不自然な都市災害」が増え始めているともいえる。そこで先に記したように、気象衛星を活用しながら分析を行い、監視していくことが重要となってくる。そしてこのことは、今回のハリケーンの破壊力に対する教訓とも受け取れる。今回のハリケーンは、世界で最も大きな暴風と呼ばれるものに成長した。このハリケーン「カトリーナ」は、毎時155マイル(毎時約288km:最大瞬間風速 80m/s)以上の持続する風を備え、強烈な降雨と高潮で沿岸地区とその周辺範囲を全滅させた。実際、その活動の間中、このハリケーンは10,000発の原子爆弾に匹敵する多量のエネルギーを費やすほどのものであり、その規模は気象衛星による予想をはるかに超えていた。現在では自然気象は時に人工衛星の分析を越えたものであるが、しかし一方で、これを契機にこうした研究がより盛んになることは間違いない。我々がどのような気象環境に直面しているのか、より分かりやすく明らかにされつつあるということである。
米国で毎年起こるハリケーンの数値は、海洋から海洋へ広く変化する。全体で約80個の熱帯低気圧が毎年起こり、その1/3がハリケーンになる。最も多く発生する地域は西太平洋であるが、これは、広い範囲で暖かい海洋水を含んでいることにある。対称的に、大西洋では平均約10個程度の暴風しか発生しない、しかし時に、これらもハリケーンに成長する。太平洋と比較すると大西洋ははるかに小さな範囲であるが、暖かい海洋水が低気圧の拡張を支援している。そして、ハリケーンの頻発は年々著しく増加し続けている。日本の台風も同様である。 一方で自然科学者は、ハリケーンの頻発とエル・ニーニョの間の相互作用を調査し続けている。彼らは、太平洋の赤道付近域の海洋表面温度が正常とされる温度(平年温度)より暖かくなりそれが1年以上続く状態がエル・ニーニョ現象であると話す。一般的にエル・ニーニョ現象は、大西洋、メキシコ湾とカリブ海および東太平洋でのハリケーン活動の増減によって特徴づけられる。エル・ニーニョが発生した年は、カリブ海・大西洋上では、鉛直の風の回数が増加し、風のパターンが活性化する。この増加した風の回数は、熱帯性低気圧がハリケーンへ発展するのを防ぐのを助けるが、反対に、東太平洋では、大気の中で風の回数が増加すると、その風のパターンは暴風となりやすい。 地球気象の変化はランドスケープにおいても重要な役割を示し始めている。我々は今回のハリケーンを対岸の火事とはとらずに、より注視し教訓としつつ、日々の仕事に生かす工夫が必要であろう。
解説:ハリケーンという言葉は、中央アメリカ古代の原住民であるタイノー族の言葉「悪の神」に由来するもので、世界の他の地域では、ハリケーンは異なる名前で呼ばれている。太平洋と中国海域西部では、ハリケーンは広東語のtai-fungを意味する大きな風から「台風:日本」として識別されている。バングラデッシュ、パキスタン、インドとオーストラリアでは「サイクロン」として知られている。また、フィリピンでは「バギオ」として知られている。 さらにハリケーン・台風情報について詳しく知りたい人はこちらを参照>デジタル台風:リンク集
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