ランドスケープアーキテクチャーに雨水管理を統合するという意識改革

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屋根に降った雨は樋へと集まり、滑り流れ、地面に到着して外へと流れ出す。道路の傾斜に沿って水は流れ、屋根から噴出した雨はそこここで一緒になり、雨水管や下水管へと流れ込む。その途中で、道路にあった汚れや油、ごみは雨によって掃除されるが、これらも一緒に下水管の中へと押し流される。そして管を通った雨は、近くの水路か湖へと吐き出される。これが雨の旅である。そして、一方でその間に我々は、潅水用の水道代やエアコンの電気代などの高額な光熱費を支払っている。とある日に短時間の豪雨があったとすると、このシナリオが何千という米国の道路で繰り返されているのである。

 

もし我々がこのシナリオの小さな部分であっても変えることができるならば――例えば、雨水を敷地内で維持することができるとするならば――あなたはどうするであろうか? 高額な光熱費の請求書をもらわずにすむとしたら? そして、もし敷地内での雨水管理を地域の各オフィスビルや住居にまで拡大して当てはめることができるとしたら、地域コミュニティにはどのような変化が訪れるのだろうか。

 

従来とは違う、まったく新しいシナリオが、実は我々の手の届くところにあると、グリーンビルディングという「持続可能なビル」のコンセプトの提唱者は言う。 持続可能な開発を用いることで、地域コミュニティは、「管の末端」である構造物から敷地内での雨水処理に至るまで、雨水を管理することができるようになるのだと言う。これにかかる費用は多くの場合従来の雨水管理方法にかかっていた費用よりも安く、また、その結果も従来よりも安全な水となり、雨水が管理された環境はより清潔な環境となるのだそうだ。長い間伝統的であった雨水管理の方法から低影響開発の手法へ、雨水管理におけるパラダイム・シフトが、現在起こっている。それを動かしている要因はいくつかあった。

 

米国においてその要因(きっかけ)のひとつは国家汚染物質排出防止システム(NATIONAL POLLUTANT DISCHARGE ELIMINATION SYSTEM(NPDES)であった。地域の水域をこのシステムのフェーズ(段階)2の規定に合致させることは、多くのコミュニティに対して、雨水の流れを従来と異なる方法で処理するよう研究することを、強いた。また、同時期に利用可能な土地が減少し、合わせて水域の水質が低下していたこともある。この2つの要因は地域の住民たちに、価値ある資源である土地や水を利用する際に、改善策を考慮させるようになった。ところが、予算には限りがあるものだ。あくまで現状の範囲での処理が求められ、また、市単位でも多くのプロジェクトに費やせる長期資金の量は減ってしまっていた。したがって、もしある一群の技術と方法論がNPDESの規則に対応しており、かつ調節池や処理場に土地を割くことなしに水質を向上させることができるのならば、人々はそれらを率先して用いようと自発的にならないはずはなかったのである。

 

ある一群の技術と方法論、それが低影響開発による雨水管理の方法である。

 

一方で「持続可能性」を追求しようとする時代の流れもあった。

 

持続可能な開発とはサスティナブル・ディベロップメントというものであるが、実際には複数の名称で呼ばれ、また、複数の方法がある。そんな中、全米緑の建築審議会(グリーンビルディングカウンシル USGBC:US GREEN BUILDIGN COUNCIL)は、環境の健全性を評価する基準を導入した。この団体は、異なる産業の指導者からなる米国内の団体であるが、彼らはいわゆるLEED(LEADERSHIP IN ENERGY AND ENVIRONMENTAL DESIGN)というグリーンビルディングの格付制度を編纂したのである。この格付と認証システムは、持続可能な開発ならば満たしていなければならない特定の指標の概略を定めたもので、この認証を申請した建物は、いくつかのカテゴリーで(LEEDの基準を満たせば)それぞれのポイントを得られるようになっている。その中には、雨水の部門がある。雨水管理についてLEEDビルディングと認定されるには、汚染物質の量を制限し、雨水の流出率と流出量を管理しなければならない。

 

雨水の部門においてLEEDの基準を満たすために必要な技術は、開発計画に屋上緑化や雨の庭TMなどを組み込むこと、低湿地と湿地を構築すること、透水性アスファルトで駐車場を舗装すること、雨水を貯めて灌漑として再使用することなどである。ここでは雨水を汚染公害と見なすのではなく、資源と見なして処理しなければならない。そのためには最新の展望が必要である。すなわち低影響開発である。この、まさにLEEDのためにあるかのような低影響開発のコンセプトは、新規設計や新規施工だけでなく、既存開発地域の改装や埋め立てにおいても利用することができる。