編・文　小出兼久　2008.09.05

 

 

生態学者のジャック・クストーがかつて言ったことがある。

「我々は時々、水のサイクルと生命のサイクルが同じものであることを忘れてしまう」

彼が言いたいのは、地球上の生命は人間だけでなく全てが、完全に水に依存しているということである。そして、我々の現代世界は、エネルギーを使用することによって動かされている。我々は、食物を作るためにも、清浄な水自体を得るためにも、そして、家や会社など家庭から産業界まで必要な電気のために、さらには、輸送のためにも、エネルギーが必要であり、そのために水を必要としている。

しかし、皆さんは、エネルギーを作ること自体が水に依存していることを知っているだろうか？今のエネルギーや電力を生産する方法は、大量の水を必要としている。発電所ひとつを取ってみても、例えば、石炭の燃焼によって発生する汚染物質を洗浄したり、巨大なタービンとジェネレーターを回すのに必要な蒸気を沢山生産するために、水が必要である。代替エネルギーの中にさえ、多量の水を必要とするものがある。例えばエタノールや水素である。我々の電気需要はますます上昇するだろう。それは、おそらく今後25年のうちに、今の需要の50パーセント程の割合で増加すると考えられている。

 

水の計算

それでは、一体どれくらいの水が、各種のエネルギー生産に使われているのだろうか？一貫した単位で多様な技術における水利用を図示するために、下の表を例に挙げる。

エネルギー資源の利水効率

発電	水使用(ローエンド） gallons/millionBtu	ハイエンド水使用(gallons/millionBtu)
天然ガス	3	N/A
石炭	41	164
水素	143	243
液体天然ガス	145	N/A
石油	1,200	2,420
燃料エタノール	2,510	29,100
バイオディーゼル	14,000	75,000
水力発電	20	N/A
地熱	130	N/A
ソーラー発電	230	270
化石燃料	1,100	2,200
核燃料	2,400	5,800

出典：Energy Information Administration
*N/A .....利用できない

この表は、熱として純粋なエネルギーを示す英熱単位（英国熱量単位）に使われる水ガロンによって、水使用を示す。英国熱量単位は、どのようなエネルギー生産と電力生産に適用できる。表を見ると、燃料生産に関して最も水効率の悪いのは、大豆を元に作られるバイオディーゼル燃料で、次に、コーンで作られるエタノールが続くことが分かる。天然ガスは、最も効率の良いものである。

発電に関して言えば、水力発電が最も水効率のよいシステムである一方、原子力エネルギーは最も水効率の悪いシステムである。普通の白熱球を例に考えてみよう。我々が家庭で60ワット電球1つを12時間ともすと仮定すると、それは最高で0.72キロワット時になる。この電球が火力発電所（アメリカ合衆国で使う電気のほとんどがこの生産設備で作られる）から、電気によって動力を供給されるならば、それは10,022Btus／キロワット時に変換される。（いろいろな燃料源または電力の生産方法のBtusへのキロワット時の転換率は、効率または熱率に依存する。）それゆえ、1つの電球は、1日におよそ7,200Btusを消費することになる。

この表を見れば、火力発電所は、電力を作るために、100万Btusにつき1,100～2,200水ガロンの単位で水を利用すると見積られる。これは、60ワットの電球1つを12時間付け放しにするのに、8～16水ガロンが必要だということと同等である！そして、これを1年継続すると仮定とすると、この1つの白熱の電球は、およそ3,000～6,300水ガロンを消費することになる。
現在アメリカ合衆国には、およそ1億1100万棟の居住住宅があると推定されている。各住宅が1日につき12時間1つの電球だけを燃やすならば、1年経つと、それは、合計で3000～6500億水ガロンになるだろう。

 

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