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樹木の選択

 

植物の選択は樹木から始まる。なぜなら、一番大きくて、他に与える影響が一番大きくなる可能性を秘めているからである。

 

敷地に合う植物選びは、まず、樹木から始めよう。敷地にどのくらいの大きさの木を植えることができるのか、何本植えられるのか、大きい物から先に決めていかなければ、後悔することになる。樹木を植えればその下が陰地となり、下草に植えられる植物も変わってくる。また、太陽が動くにつれて移動する木の陰や、木陰を吹き抜ける涼風など、樹木は、敷地の環境をがらりと変える力を持っている。さらに、敷地や家の印象をそれ1本で変えてしまうほど、我が家や地域の顔として、デザイン的にも大変重要である。

 


選択の基準

低木も含めた樹木類は、ランドスケープを構成する主要な要素であり、言ってみれば長期投資である。投資には慎重になるべきで、ましてすぐに結果が出ないのであるから、よけいに注意を払わなければならない。樹木を選ぶ際には、植えようとする場所の、日当たりや風という露出環境灌水の有無、そして美的価値と樹木を植えることにより、変わる周辺環境について考える必要がある。

 

樹木を植えようとする場所は・・・・

 

□ 日当たりが      良い・悪い

□ 風通しが       良い・悪い

□ 灌水が        必要・不要

□ 土壌の水はけは    良い・悪い

□ 見た目はどうか

□ 樹木の役割は何か(緑陰・遮蔽・風を招くなど)
  −周辺環境に何か影響を与えるか−−

 

 

重粘土の土壌

もし土壌が重粘土の土壌ならば、排水が悪い。例えば、地表から水がなかなか中に浸透しないときは、重粘土の土壌が疑われるが、こうした土壌では、表面に少しでも傾斜があれば、地表の水はそちらに流れていってしまう。また、南または西向きの場所の表土が重粘土の場合は、乾燥するのが早く、地表に縮みやひび割れが見られ、常習的な水やりが必要となる。極端な粘土質土壌では酸素濃度が低く、植物の生育に向いていない。乾燥にかなり耐える植物は、水の少ない環境には耐えるが、酸素の少ない土壌に耐える植物はない。従って、重粘土の土壌は改良が必要で、粘土質の土壌も程度によっては、改良が必要である。植栽に先だって、堆肥などの有機土壌改良材を加えながら土壌をよく整えるほど、植物がよく育つ。

もし下層土の排水の改良が実現不可能な重粘土の場合、排水のよいローム質の客土でバーム(マウンド)を作り、そこに樹木や低木を植えるのが最も良い植え方である。このとき、バームは少なくとも60cmの高さが必要である。

また、この手法は、排水のよい土壌を好む樹木にも有効である。

 

北側の土地では、陰に耐える植物を選ぶ。北側では、日向に向く種類よりも選択肢が少なくなる。植物の多くは、日当たりのよい露出面で最も生長するからである。日陰に耐える植物は、日向の植物よりも多くの水を必要とするが、ウッドチップのような有機マルチを使うことで、多少相殺できる。

 

では、どのように選んだらよいのであろうか。
やはり、ゼリスケープという観点から樹木を選びたい。 ゼリスケープは、地域にあった植物を選択できる絶好の機会である。もちろんゼリスケープでなくとも、ガーデニングに関するどのような書籍も、また、古今東西の多くの専門家たちも、口をそろえて「地域や環境にあった植物を選択すべき」だと言っている。この原則は基本中の基本でしごくあたりまえのことなのであるが、ただゼリスケープは、何故そうすべきなのかについて、省資源、水保全の理由を付けたしてくれるものである。樹木は、植えようとする敷地の土壌・排水・日照・灌漑の方法によって、

樹木は、灌水されている芝生から離して植えるようにする。

 

 

 


樹木への水やりは必要

樹木にも水やりが必要な時期がある。もうひとつは、移植して活着するまでの間、もうひとつは、活着後でも、干ばつや降雨不足の気象下のときである。この原則はすべての樹木いやすべての植物に当てはまるものである。

たとえ、ゼリスケープに適した樹木、つまり、補完的な水やりをあまり必要としない樹木であっても、水やりが全く要らないわけではなく、活着するまでのおよそ2年くらい、他の植物と同じように水やりが必要である。しかし、活着したら、徐々に灌漑の頻度を減らす。水やりの基本は、どのような植物でも根域じゅうに水が行き渡るようにたっぷりと与えることである。少量で回数の多い「浅い」灌水をすると、植物は浅い根を促進してしまう。これはゼリスケープの「水の有効活用」という目的にそわない。浅い根をもつ植物は、乾燥に弱く、倒れやすいなどの欠点を持つからである。

 

 

 

 


ゼリスケープ植物

注意深く選択をすれば、魅力的でローメンテナンスな植物なのにもかかわらず、色彩もテクスチャも様々な植物を混合することができる。ゼリスケープ植物というと、ただ砂漠のような乾燥地の植物というイメージがあり、限られた植物しか思い浮かべない人も多いが、地域には地域ごとのゼリスケープがある。つまり、地域ごとに地域にあったゼリスケープ植物は異なるわけで、もちろん重複する物はあったとしても、形状だけでなく茂みの密度や色彩、テクスチャ、いずれも、ゼリスケープ植物には、幅広い範囲がある。

あるものは、ラビットブッシュやアパッチプラムのように、小さな葉を持ち、細かい質感を印象づける。他のものは、セージのように灰色や銀色がかった茂みをもっている。また、ユッカのようにとげだらけで硬い外見のものもある。見慣れないものもあるかもしれないが、計画さえ正しければ、庭の快適さや美を損なうことなく隣人のものよりも興味深いランドスケープを作ることができるのである。植物の代わりにプラスチックシートと砂利によって節水をしても、ランドスケープに楽しみは加わらないし、家の価値も上がらない。

ゼリスケープ植物を今まで使ってきた伝統的な植物と同じように使おう。マツや直立性のビャクシンは、例えば、灌水も少なくてすみ、優れたスクリーン植栽を作る。エゾマツは、極度に灌水された敷地でも、中程度でも、低灌水でも、どの水状況でもよく使われる。ゼリスケープ植物はまた、暑い南や西に露出した険しい土手への群植にも優れている。パティオや住宅の南露面むけの緑陰樹は、枝垂れカバノキ、ポプラ、ハコヤナギ、ウラジロサトウカエデよりもむしろ、エノキ、アメリカサイカチ、バーオークなどがいい。樹木と低木は、もし芝生も同様に水要求度が低い種類を使っているのでなければ、芝生から離れた花壇や植栽地に植えなければならない。

 

 

 


植物の活着・樹木の活着

植物が耐乾性を持っているかどうかにかかわらず、植物が活着するまでは、移植した苗の根鉢の土が乾燥しきってしまうことのないように、自然降雨だけでなく、ときには人工的な水やりが必要なのである。植物の活着とは、新しい環境になれて新しい根が出ることをいうが、ほとんどの木本類は、土壌整備の程度にもよるが、活着のために少なくとも2つの生長時期がかかる。草花の苗が2週間ほどで活着することを考えれば、長い時間である。この間、植え放しにせずに、時々チェックしながら見守りたい。

ひとたび植物が活着したならば、水やりを徐々に減らす。しかし、やはり頻繁な浅い水やりは避ける。いつも地表近くまでしか水が浸透しないのならば、浅い根の発達を促してしまう。そのため、ゼリスケープの目標を破ってしまう。少しの水ぎれや、乾燥に弱くなってしまうのである。

 


樹木と潅木選択のための参考リスト

完全なリストではないが、次の表はゼリスケープに適した樹木と低木のリストである。中には、珍しいものももあるが、卸の供給者のところでは、購入できる場合がある。地元のナーサリーを通して注文をするとよいだろう。


表1:ゼリスケープに適した樹木

植物名
 学名
樹高
m

m
コメント
オオキレハカエデ
Acer grandidentatum
7.5-9
6-7.5
生長は遅い。秋に赤黄色になる
ニワウルシ
Ailanthus altissima
12-15
10-12
赤い実と葉の形状、紅葉が魅力的である
ハナキササゲ
Catalpa speciosa
12-15
6-9
初夏に白く目立つ花をつけ、秋に葉巻の様な鞘をつける
エノキ
Celtis occidentalis 
7.5-13
9-12
直立性で、花瓶型の樹形となる。樹皮はコルクのようで魅力的である
ビロウドトネリコ
Fraxinus pennsylvanica
12-13
10-12
光沢のある暗緑色の葉をつける
トゲナシアメリカサイカチ
Gleditsia triancanthos inermis
9-18
7.5-15
数種類の品種が手に入る。灌漑をしない敷地では、'サンバースト'は避ける
ケンタッキーコーヒーツリー
Gymnocladus dioicus
15-21
10-15
生長は遅い。雌の木は厚い鞘をつけ、雄の木につく花には芳香がある
コロラドビャクシン
Juniperus scopulorum
7.5-9
4.5-6
多くの変種が利用できる
モクゲンジ
Koelreuteria paniculata
6-10
3-7.5
7月に黄色の花つけ、晩夏にランタンのような鞘をつける。塩類に耐性がある
ヒッコリーマツ
Pinus aristata
4.5-12
4.5-7.5
暗緑色の葉をつける。良い排水が必要
ピニョンマツ
Pinus edulis
4.5-7.5
4.5-6
排水がよくなければならない
ポンデローサマツ
Pinus ponderosa
13-15
10-12
排水がよくなければならない
シラカシ
Quercus macrocarpa
21-24
15-24
品があり、長命で、アルカリ性土壌にも適応する
ニセアカシア
Robinia neomexicana
3-6
3-6
6月に香りのあるピンクの花をつける。根から萌芽し、たいてい叢状になる
エンジュ
Sophora japonica
12-18
13.5-21
アルカリ性土壌や塩分を含む土壌でも生育する。初夏にクリーム色の花をつける
シベリアニレ
Ulmus pumila
15-18
13.5-15 
折れやすい木なので、建物から離して植える

    
   
 表2:ゼリスケープに適した潅木   
    

植物名
 学名
樹高
m

m
コメント
アモルファ・カネスケンス
Amorpha canescens 
0.6-0.9
0.9-1.2
銀灰色の茂みとなる、夏に紫色の花をつける。Amorpha fruticosaは緑色の葉群を持ち、3mにもなる
アルテミシア
Artemisia spp.
様々
-
多くは木質化する。灰緑色から銀色の茂みとなる。常緑のものもある
メギ
Berberis thunbergii 
0.9-1.8
0.9-1.5
緑、黄色、紫色の葉の品種があり、共に小型の茂みになる。日陰に耐える
ムレスズメ
Caragana spp.
0.9-4.5
-
形状にはいくつかのタイプがある。C.microphyllus C.pygmaea は、矮性種でC.arborescens は高性種である。
クリサンセマム
Chrysothamnus spp
0.6-1.5
-
白っぽい緑の茎に黄色や白の花を夏につける。塩類を含む土壌に耐性がある
コトネアスター
Cotoneaster spp.
0.15-3
-
多くの品種があり形状や樹高は品種によって変わる。ほとんどは光沢のある小さな葉を持ち、赤または黒い果実をつける
ヒッポファエ・ラムノイデス(サジー)
Hippohae rhamnoides
0.9-1.5
1.8-2.4
灰色がかった葉群。雌株は魅力的な赤からオレンジの実をつける
セイヨウビャクシン
Juniperus spp. 
0.15-3
-
さまざまな高さ、茂みの色、質感の品種がある。いずれも排水の良い土壌が適している
キジムシロ
Potentilla fruticosa
0.3-1.2
夏に白または黄色の目立つ花をつける。良い花を咲かせたい時は、十分な日照が必要である
ヒコザクラ
Prunus besseyi 
0.9-1.2
1.2-1.5
芳香のある白い花をつけ、黒い実は食用になる。排水の良い土壌のみ適している
バッファローベリー
Shepherdia argentea 
3-4.5
2.4-3
銀色の葉 深紅色の実
ユッカ
Yucca spp.
0.15-0.9
0.3-0.9
剣のような葉群とクリーム色の穂先に目立つピンクがかった花をつける。Y.baccata は大型で、広幅の緑葉をつけ、Y.glauca は、青みを帯びた葉をつける。Y.harrimaniae は矮性種である

 


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