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堆肥づくり

 

堆肥、それは持続する循環社会の糧である

 

 

ゴミを堆肥に

日本では現在1年間に5000万トン以上の一般廃棄物が排出されている。そのうちのおよそ3割ほどは生ゴミが占めている。生ゴミの半分は家庭から排出される。単純な話、生ゴミの量を減らせば、ゴミ全体の量も減る。しかし、さてではどうやってそれを減らすか?と考えたときに、生ゴミによる堆肥づくりは、そのひとつの方法になると思われる。

 

生ゴミには庭からでるゴミと食物残飯があり、いずれも堆肥の材料となる。しかし、現実では、その多くが有益で環境に優しい堆肥となる代わりに、焼却場や埋立地へと送られている。

生ゴミを堆肥にすることは、そうしなければ埋め立てられていたはずの有機ゴミから役に立つ生成物を生み出すことである。社会を構成する部品や製品について、環境に配慮することが多くなってきた現代の社会では、循環社会を推奨する立場からも資源効率の点からも、ゴミを資源とする視点は、しごく当然なものである。

 


堆肥の有益性

 

堆肥はどんなところが良いのだろうか。ゴミで作った堆肥ならば、ゴミの量を減らすが、それ以外に、どんな利点があるのだろうか。

 

●環境有益性

どのようにして作った堆肥でも、堆肥の利用は、土壌や植物へ利益をもたらす。そしてまた、堆肥化のプロセスそのものも環境浄化に貢献する。

1・植物生育/栽培環境の改善 堆肥は土壌を豊かにする

堆肥は痩せた土壌を再生するのを助けてくれる。堆肥が土中に混ざれば、堆肥を分解するために、有用微生物(真菌類・バクテリア)が集まり、増加し、土中の養分は植物が利用できる形に変えられる。そして、植物が利用できる栄養分が増加する。腐植土が混じる土壌は、土壌の養分含有率が増えるだけでなく、保水力も向上する。ここで植物は、病虫害に強くなり、化学肥料の需要も減りつつ、結果として、収穫量も増やし、農業生産高も上がることになる。


堆肥の効果

・ 植物の病虫害を抑える。(有用微生物のおかげ)
・ 化学肥料の需要を抑える。(土壌が豊かなのでそれほど要らない)
・ 農作物の収穫高を上げる。(土壌が豊かなので植物が良く育つ)
・ 圧密土壌や汚染土壌、不毛土壌を改良し、森林の再生や湿地の復原、
  生息地の再生に務める。(土壌の緩衝能を向上させる)

 

 

2-1・汚染解決策 堆肥は汚染土壌の浄化を助ける

堆肥化(堆肥が分解する過程)では、臭気や加熱燃料、多環芳香族、炭化水素などの半揮発性または揮発性有機化合物を吸収することがアメリカの実験で示されている。また、重金属を吸着するため、それが水源へと移動したり植物に吸収されることを防ぐのも示されている。堆肥化は、汚染土壌された土壌に堆肥を入れることにより、農薬、木材用防腐剤、殺虫剤、塩素、塩素殺菌されなかった炭化水素などを弱めたり、場合によっては完全にゼロにすることができる。

 

2-2・汚染防止策 堆肥は汚染を防止するのに役立つ

メタンガスの発生を少なくする:有機ゴミを埋立地へと運搬せずに堆肥にすれば、埋立地でメタンガスを生成させずに済む。メタンガスは、沼沢地のような湿気のある土中で、動植物が腐敗(嫌気性発酵)したときに発生するガスで、温室効果ガスのひとつである。これが大気中へと放出されれば温暖化が進むことになる。堆肥も有機物の腐敗であるから、堆肥化でもメタンは発生する。しかし我々が推奨する堆肥は腐植土と言い換えても良く、緑のゴミを原料に有用微生物による好気性発酵での堆肥化を経た堆肥ならば、有用微生物はメタンガスや硫化水素などの発生を抑制することが知られている。植物性ゴミだけでも、それを埋立地に放置してそのまま腐敗を進行させるよりも、それで堆肥をつくるほうが、環境に負荷をかけずにすむのである。

汚染物質の吸着:堆肥を土壌に混ぜることで、雨水流出により汚染物質が水源へと達する危険を回避することができる。また同時に、土壌の浸食を防ぎ、用水や湖、河川と平行に走っている堤防が沈泥でふさがれることも防止し、路傍や斜面、競技場、ゴルフコースなどの浸食や芝生の喪失を防止することになる。

堆肥による汚染浄化

・ 有害廃棄物によって汚染された土壌をコスト効率よく治癒する
  従来の土壌や水、大気の汚染改善技術に比べ、50%以上のコスト削減をする
・ 豪雨流出に含まれる固体汚染物質、油、油脂および重金属を取り除く
・ 大気中の揮発性有機化合物(VOC)の99.6%を捕え破壊する

 

 

●経済有益性

1・堆肥は経済的な恩恵をもたらす

堆肥の使用は、水、肥料、殺虫剤の需要を減らす。堆肥は市場性のある商品であり、埋立地のカバーマルチ(発酵を抑止したり悪臭防止のために敷くもの)や人工土壌改良材の廉価な代替品となる。堆肥づくりを促進すれば、有機ゴミを埋立地へと運搬する政策を転換させることになり、都市の埋立地の寿命を延ばすだけでなく、従来の方法ほど高価でなく、汚染土壌を浄化できる代案ともなる。

堆肥の経済的効果

・必要水量を減らす → 水道代・インフラコスト削減
・肥料を減らす → コスト削減
・殺虫剤を減らす → コスト削減
・埋立地のカバー → コスト削減
・土壌浄化剤及び土壌浄化システムの一要素としての発展 → 浄化コスト削減

 

 

環境にも経済にも有益な堆肥を私たちの手で作れば、無駄な出費をしないですむ。確かに、店舗で購入するよりも手間はかかる。しかし、買う以上に多くのことを私たちに教えてくれる。

 


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