
庭でいかに中水を用いるか?
*中水とは、上下水道に対する中水道という意味である。原語はGreywaterで、汚水とまではならないが、生活雑水の中で、洗濯水、風呂の水などを指す。トイレの水は含まれない。こうした水を潅水に用いることがアメリカ(特に西部と南西部)では行われているが、今回はその現状を探る。日本では一般になじみのないことであるが、渇水が引き起こす未来の代替戦略としては、見過ごすことのできないものである。
水環境研究財団(Water Environment Research Foundation: WERF)によれば、ランドスケープ潅水のための中水利用は、増加していると言う。
しかし、作物に対してはどうだろうか?
テキサスの中水研究の事例から
テキサスA&Mエルパソ・リサーチセンターによってもたらされた、この種のものとして初めての研究は、中水による潅水は塩気のある水を使う潅水と比較して、野菜や綿作物の収穫量が多くなるという、中水使用の効果を述べたものであった。しかしこの研究は、中水で食用作物を潅水することによる我々の健康への影響については調べていない。
中水による潅水は、何のために行われるのだろうか?
それは、水保全のためである。限りある天然資源である水を保全するために、再利用可能な水は再利用するのが、正しい方法である。そのために選ばれたのが、中水というほどほどに汚れた水であった。
ウッディ・アーヴィングという米国開墾局(ここは資金の一部分をエルパソ・リサーチセンター研究に提供している団体なのだが)のエルパソ本部のプランナーは、地域が干ばつに遭っていて、すべての地表水が影響を受けていると言う。
「水は、リオ・グランデ・リバーを通してテキサス南西部へと流れている。その源流はコロラドにあるが、ここからの融雪水は10年の間減少の一方である。他方、都市は川に沿ってすべての機能を発達させている…」と、アーヴィングは話す。これは川がいかに我々の生活と結びついているのかということを示している。
ところで、中水とは典型的に、衣料洗濯機、浴槽、シャワー、シンクなどから生じる汚水と定義されるものであるが、一般に、台所の流し、食器洗い機、トイレからの汚水はそれには含まれない。そして、中水は、油脂、食物の小片、毛髪、洗剤、医薬、個人医療物などの汚染物質を含んでいるかもしれない。もっとも、これらの物質のうちのほとんどは、生物分解可能なものである。が、しかし、いくつかのナトリウム・ベースの物質は、土壌構造を劣化させるので、特に、雨の少ない乾燥地域ではランドスケープを潜在的に害するような中水となることがある。
石けんと洗剤協会が実施した1999年の研究によると、アメリカの家庭の約7%が中水を再利用していた。
水環境研究財団(WERF)は、カリフォルニア、アリゾナ、アイダホ、ネバダ、ニューメキシコ、サウスダコタ、ユタ、テキサス、ワシントンを含む西部の州と南西部の州において、再利用可能な排水の再使用のための包括的なガイドラインや規則を開発したと報告している。
中水を使う事に伴って皆が関心をもつ領域は、人間の健康に対する潜在的脅威と植物、土壌化学、微生物学における長期の影響などである。しかし、この分野の研究は、未だ限られたものしかない。
水環境研究財団(WERF)による2006年の研究は、ランドスケープ潅水と研究が必要である特定の地域に対して中水を使う事に対する長期的な影響についての知識状況を検討したものであった。現在の中水は、調整機関によって汚水と認定されるほどの判定基準を上回る糞便の大腸菌群を含むために、中水による潅水はランドスケープ(造園)に限られている。
水環境研究財団(WERF)は、微生物の数が実際に、健康障害の正しい指標となるかどうかに関する論争があると述べている。
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