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気候変化に関するよくある質問と回答
by S. Fred Singer S.フレッド・シンガー 1999年4月20日
Q)気候は安定しているのか?変動しているか?
A)気候は安定していない。数千年の間ずっと、季節の移り変わりとともに変化している。気候は、気温以外にも、雨、雪、干ばつ、豪雨、台風など、さまざまな指標を含んでいる。
Q)気候変化には、長期的な傾向があるのか?あるとすれば、それは温暖化なのか、寒冷化なのか?
A) 傾向はある。しかしそれは、どの期間を抽出して分析するのかによって異なる。例えば過去100年の範囲では、地球の気候は温暖化傾向にある。しかしこれを過去50年の範囲に区切ると、温暖化の傾向にあるかどうかはっきりしない。むしろ1000年前よりも寒いくらいである。また、この過去50年間に限って言えば、ハリケーンの発生頻度も下がっている。
Q)人間の活動は気候に影響を与えているのか?
A) 与えている。農業生産の増加と都市の成長は、局地気候に激しい変化を与えている。都市の成長とは、増加する人口と増加する産業活動などで、これは気候に世界規模の影響さえ引き起こしている。現在、寒暖の差は穏やかになり、成層圏は寒くなり、ハリケーンの発生回数は減っているが、これらはすべて人間が大気に与えた影響ゆえと考えられている。
Q)石油、ガス、石炭などの化石燃料の燃焼が増えると、気候を温暖化にするのだろうか、それとも関係がないのだろうか。
A)1940年以降の気象衛星、年輪データ、温度記録などはすべて、大気中の二酸化炭素濃度が上がっていても、気候が温暖化していないことを表している。
Q)温暖化により、海面上昇や熱帯病蔓延のような気候災害は起こるのだろうか。
A)科学者の多くは、温暖化の影響により海面が下降すると予測している。水蒸気は容易に雪になり、グリーンランドや南極で降雪し、氷の層を厚くする。しかし、気候が温暖化していないならば、両者に直接の関係はなくなる。病気は、人間を媒介に、あるいは蚊によって広まるだけだろう。
Q)地球温暖化は、悪いことなのか?よいことなのか?
A)両方の側面がある。もっとも、温暖化は寒冷化よりは明らかに好ましいことで、特に農業には有益である。人間に対してはどうかというと、歴史上の痕跡はすべて「小氷期」(1300-1850)の生存は困難であり、たとえ不作で人々が飢えていたとしても、その前の中世温暖期(10-14世紀)のほうが、人々は裕福であったことを示している。
Q)私たちは気候温暖化について、何か対策を講じることができるのだろうか?
A)気候変化を食い止めることはできないが、変化に影響を与えていると考えられている大気中の二酸化炭素の増加を抑制することはできる。温暖化の抑制には、二酸化炭素の排出量を世界規模で60〜80%削減しなければならない。これは、運搬、加熱、空調と電気使用など、すべての段階で排出削減を行わなければならないことを意味するが、それは人々の生活に対して、特に、発展途上国で巨大な悪影響を及ぼすことになる。
Q)では、エネルギー使用量を60〜80%削減するにはどのような方法があるのか?
A) 2つある。1つは、徹底的に人口増加を抑制することでエネルギー使用量の増加を抑制すること、もう1つは、エネルギーを配給制にするかエネルギー税をかけることで使用量を抑制する方法である。前者は、誰がエネルギーを消費し誰が消費しないのか、消費の高低を政府と官僚が決定することになり、エネルギーの政治的な配分を意味することになる。これは現実には実現不可能である。エネルギー税も例えば、1ガロンに付き3ドルのガソリン税を取ると仮定すると、同様に受け入れ難い提案である。
Q)私たちは経済を破綻に陥れ人々を困難にさらしてまでも、温暖化を阻止すべきなのだろうか?
A)このような問いかけは誘導尋問である。気候温暖化は今は遠くに見える重要でない問題かもしれない。しかし、人間の活動に影響する恐れがある。また、逆に、次の氷河時代が身近に迫っている証もある。地質学者は、現在の間氷期(暖候期)がまもなく終わるだろうと語る。ことによると地球温暖化は、凍結の運命から私たちを救うのかもしれない。
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JXDA注)これだけを読むと(?)と感じるところが少なくないが、このQ&Aの元の論拠は気候変化への人間活動の影響は依然疑わしいや地球温暖化に対する大気科学者からの声明文に示されているので、併せて読むと理解が深まる。この著者は地球温暖化懐疑論者または地球温暖化は有益だ、人間の影響はほとんど関係ないという主張をする科学者の代表として有名な人である。このような主張をもつ科学者がおり、他方IPCCのような温暖化脅威論が存在する。後者が世界の趨勢を占めるが、この対立なかなか興味深く、まだ続いているようである。後日また紹介する。
(注)JXDAは地球温暖化懐疑論者を養護も否定もしない立場
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