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気象ジャーナル

 

地球温暖化

 

地球温暖化は、私たちが現在直面するもっとも解決の難しい環境問題のひとつである。
この問題を解決するためには、

 

  1. 地球の気候システムを理解し、温暖化現象の解明や予測をする
  2. 自然の生態系や人間社会へ与える影響について解明や予測をする、
  3. 地球温暖化を抑制する戦略を立案し実施する


ことが必要である。特に1や2のためには、科学的技術とそれに対する的確な知見が重要な役割を果たしている。このことをもっと認識すべきである。こうした科学的知見をただ聞いて終えるのではなく、そこからより実効的な日常的実践を生み出さなければならない。

 

 

ヒートアイランドと地球温暖化の関連性

ヒートアイランドは一般に、都市と郊外や農村地帯の間に生じる地域規模の気温差であるが、これに対して地球温暖化は、もっと大きな地球規模のもので、地球全体の表面温度が徐々に上昇している現象のことである。ヒートアイランドと地球温暖化の二つは、それぞれ異なった現象である。しかし全く関係がないわけではない。

夏に起こるヒートアイランドは、冷房の需要を増やすことにより、地球温暖化を促進している可能性がある。冷房需要の増加は結果として、熱を閉じ込める温室効果ガスの二次的排出源となっている。ヒートアイランドは、温室効果ガスのみで生じる現象ではなく、都市全体が複合的な原因で蓄熱しなかなか冷めないという現象であるが、それを促す要因が二酸化炭素などの温室効果ガスを多量に排出していて、地球温暖化の主要な原因ともなっているので、ややこしい。そこで、例えば冷房の需要を減らすなどの、ヒートアイランドを緩和するために取られる戦略は、地球温暖化を促進する温室効果ガスの排出も削減することになる。

ヒートアイランドが地球温暖化と並存して発生することは、地球温暖化の長期傾向を研究する科学者にとってこの問題を複雑にさせている。この解決案とは、ヒートアイランドを正確に測定し、地球の温度記録(履歴)からヒートアイランドの影響を取り除くことである。

 

 

温室効果ガスの増加

そもそも地球が温暖なのは温室効果ガスが存在するからで、これが度を超して増加傾向にあるために、地球温暖化として問題になっている。
温室効果ガスとは、熱を閉じ込めるガスである。自然に発生する温室効果ガスには、水蒸気、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、オゾン(O3)などがあり、フッ素、塩素、および臭素を含む数種のハロゲン化合物の中にも、温室効果ガスがあるが、大部分は、人間の活動と産業活動の産物である。

人間の活動は、ほとんどの温室効果ガスについてその存在量を加速させている。
CO2、CH4、N2Oは大気中で自然発生するものの、その大気中濃度は人間の活動により影響を受けている。産業革命以前の人間の活動は、温室効果ガスを大気中にほとんど放たないものであったが、今日では、人口増加、石油などの化石燃料の燃焼、森林破壊を通じて、私たちは大気中に多量の温室効果ガスを放出している。
産業革命以前(1750年頃)に比べると、CO2、CH4、N2Oの温室効果ガスの濃度は、それぞれ31%、151%、17%と増加してきている。(IPCC 2001d)。この増加が、地球の大気の化学構造を変化させ、地球の気候システムに影響を与えてきたのである。

 

主な温室効果ガス

名称
特徴
構成比
二酸化炭素 固形汚物、油・天然ガスおよび石炭などの化石燃料、木と木製品、などの燃焼により大気中に放出される。温室効果ガスのうち最大の量を占める。 64
メタン 石炭、天然ガス、石油などの生産時と輸送の際に排出される。また、都市のごみ埋立地での有機性廃棄物の分解や畜産事業で家畜の起毛が分解する際にも発生する。 19
亜酸化窒素
自動車燃料の燃焼時に発生するが、農業用土壌管理・産業活動の際にも排出される。
6%
フロンガス

代替フロン
クロロ・フルオロ・カーボン(CFC)、ハイドロ・クロロ・フルオロ・カーボン(HCFC)、ハイドロ・フルオロ・カーボン(HFC:代替フロンとも呼ぶ)の3種類がある。いずれも自然には存在せず、工業製品として人工的に作られたガスで、エアコンや冷蔵庫の「冷媒」やスプレー缶のガス、産業用洗浄剤、消火剤として使用されている。CFCは1996年に全廃され、HCFCは2020年に全廃予定、HFCは京都議定書で削減対象に指定されている。 10
ペルフルオロカーボン(PFC) ハロゲン化合物。温暖化係数が高く、京都議定書では削減対象に指定されている。アメリカの国家温室効果ガス目録にも含まれている。 その他の1%
に含まれる
六フッ化硫黄(SF6) フッ素と硫黄とからなる化合物。京都議定書では削減対象に指定されている。アメリカの国家温室効果ガス目録にも含まれている。

※色付き表示は構成比のトップ3を表す。

 

ひとくちに温室効果ガスと言っても、種類によって大気から熱を吸収する能力は異なる。HFCとPFCは、ほとんどの熱を吸収する特性を持っている。

 

 

我が国の温室効果ガス排出量は>こちら


地球温暖化の影響

かつて気候変化はすべて自然に生じていた。しかし産業革命以降、我々は農業や産業手段の変化によって気候と環境を変え始めた。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、過去100年間に地球全体の平均気温は0.3度〜0.6度上昇し、そのために海面は10〜35cm上昇したと報告されている。

このまま温暖化が進み地球規模で気温が上昇すると、何が起こるのだろうか。もっとも困るのは、海水の膨張や氷河の融解による海面の上昇と、気候メカニズムの変化による異常気象の頻発である。この2つは地球の自然生態系への影響を及ぼすが、もちろん私たちの生活環境・基盤に大変な影響を及ぼす。その一例を次にあげる。

水不足または洪水
地球温暖化により気候が変動すると、水資源の分布に影響する。きわめて重大な影響である。
現在でも水資源は地域的に偏在しているが、それがさらに顕著なものとなる。乾燥地ではさらに干ばつが進み、多雨地域では洪水が増加する。世界的な水の需給バランスは崩壊し、水資源を持つ者と持たざる者の格差がより深刻な問題となるため、それぞれの地域にあった水対策が必要となる。

すべての生命を支える水の危機は、私たちの生活基盤である農業や他の産業活動を根底から変えてしまう。そこで従来の水不足と水害対策だけでなく、それぞれの産業で対策を立案し実行する必要が生じる。 ランドスケープもまたしかりである。もちろんそうなる前の予防が大事であり、ゼリスケープはそのコンセプトにそうものである。

 

沿岸域の水没
温暖化で気温が上昇すると、海水の膨張や氷河などの融解により海面が上昇し、沿岸域の低地は水没や海岸線の侵食、淡水帯水層への海水進入などの危機にさらされる。国土の消失や台風・高潮の被害の増大といった深刻な影響が、海抜の低い南国の小島などに襲いかかる。
日本では、仮に海面が1m上昇すると、海面(満潮水位)以下の地域がそれまでの2.7倍(2,300km2)に広がり、人口410万人、資産109兆円が危険にさらされると試算されている。


絶滅する種の発生と増加
温暖化により動植物の自然分布に変化が生じる。気候がより暖かくなると、動植物は生存のためにそれまでの適地を捨てて北や高地に移動しなければならなくなる。そこに適地を見いだせるのかどうかという都市環境とのかねあいの実際的な問題と、時間的な問題とが推測されている。例えば樹木が種子をとばして分布を広げる速度は、一年に40m、最高でも約2kmと言われており、温暖化により約1.5〜5.5km/年で気候帯が移動すると、その変化に追いつけずに行き場を失うかもしれない。つまり、温暖化のより速い進行により、絶滅する種がでてくると考えられている。


疾病死亡率と伝染病危険地帯の増加
温暖化による夏の気温上昇と高温期間の長期化は、熱射病の発生率や死亡率を増やすと考えられている。また、死亡率の高い熱帯性の疾病(熱帯熱マラリアなど)の発病地帯が、気候変動により温帯にまで広がると推測されている。日本もその範囲に入る可能性がある。


公害の増加
気温の上昇は、大気中の光化学反応を加速する。そこで温暖化により、多くの都市の大気中光化学オキシダント濃度(いわゆる光化学スモッグ)が増加し、健康への影響が拡大すると予想される。

 

 

地球温暖化の影響はどこでも同じように均等に現れるわけではない。
気温の上昇は、赤道に近い低緯度地域よりも高緯度地域ほど大きくなり、降水パターンは全体に細かく変化する。あるところは豪雨であるところは干ばつと、地域による差が大きくなると予測されている。また、短時間で局所的な異常な集中豪雨といった小規模なものから、突然の冷害、異常乾燥、エルニーニョのように、より長期的で大規模な現象も増加する恐れがある。こうした変動の影響は、経済的、技術的事情から対応策を講じることが難しい開発途上国において、より大きくなると考えられている。

INDEX
人間が豪雨をより激しいものにしている
気候変化への人間活動の影響は依然疑わしい
気候変化に関するよくある質問と回答
地球温暖化に対する大気科学者からの声明文
2005年:地球の気候と温暖化の接点
温室効果ガスの主要排出国と京都議定書
ヒートアイランド
ヒートアイランド測定
●地球温暖化
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