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気象ジャーナル

 

気候変化への人間活動の影響は依然疑わしい


地球物理学者が気候変化について考える

 

by S. Fred Singer S.フレッド・シンガー 1999年4月20日


 

 

序文

気象科学が原理的に焦点とするのは、確かに大気科学と気象学である。しかしその主題は、物理学や化学、生物学などの他分野同様、地球科学の他分野を多く含むため大変に複雑である。この複雑さは、気象科学を魅力的なものにしているが、論争の的にもしやすくしている。さらに気象科学は、新しい事実と分析が次々と出現し急速な変化が進行中である。人間の活動のせいで気候が変化しているのではないかということに対する一般市民の関心は、大変高まっているので、最終判断はできないが、それについて述べることにする。

 

過去の気候変化について言及し、また、未来を思索するために最も広く引用される試案は、IPCC 気候変動に関する政府間パネルによって作成された一連の報告書である。 1990年に出されたその第一次評価報告書では、大循環モデル(GCMs)によって計算されるように、気候記録は、人間が増やした温室効果ガス(GH)の影響により予測されるものと「広く一致している」との結論が下されている。 1996年に発表された第二次評価報告書は、このことにはもはや触れない代わりに、「証拠の調和は、世界気候には識別できるほどの人間の影響があることを示唆する」という結論に達するために、過去に見逃した要因である人間が発生させた大気中の硫酸塩エアゾールについて紹介することが必要であると知った。[ IPCC、1996、4ページ]。

 

政策担当者にとって、要約中のこのあいまいな声明は、何百人という気候科学者によって報告書中にまとめられたデータとモデル結果の巨大な編集物を全く正当化するものではない。科学者たちの重要な仕事(500ページ以上に及ぶが索引が無い)は、政治的に協議された5ページの要約に皆の関心が集中するなか、社会の大半では無視された。IPCCの結論に懐疑的な人々は、人間の影響について言及した声明を、取るに足らないものとか、無意味なものと見なしている。その一方で、メディアや多くの政策専門家は、その便利な公式を歓迎し、それをやがてくる気候大災害の科学的立証と見なした。


実際、IPCCによる声明は多くの方法において自明の理である。確かに、 世界気候でなく局地気候のいくつかの特徴上には、人間の影響があるにちがいない。 しかし、重大な疑問は、モデル計算の結果を裏づけるような証拠があるかどうかである。それがないのならば、GCMsに基づく将来の温暖化に対する予測は、信憑性があるといえない。

 

以下は、気候科学の現在の状態、それは気候モデル結果とどのくらい関連性があり、人間の活動が大気中の温室効果ガスの濃度を増加させ続けると、将来何が起こると予測されるのか、ということに対する私見である。否認されてもかまわない。個々の著者によるこの複雑な問題の簡潔な処理は、必然的に一定の事実を重要なものとして選択し、証拠の他の部分は不適当か証明されていないものとして拒絶している。 それでもこのような処理は、不確実性というぬかるみにはまって抜け出せない委員会の報告書と比較すると、一貫した物語を提供しているという長所を持っている。さらに、それは論争に格好の話題を提供し、議論に進捗がなくても、これにより、少なくともデータ収集と理論的な作業に傾ける努力を増やすことになる。

 

証拠の展望

気候変化の問題は、最も重要かつ測定が容易な指標である気温以下、すべての様相において気象観測に基づかなければならない。一方で、私たちはデータを取りはしてもその多くは議論をせずに、満足してしまいがちである。また一方で私たちは、取り戻せない過去については深刻な情報不足に見舞われている。 例えば、温度計を使用する個体温度測定は、始まってからわずか300年であり、北半球で記録をとるようになったのは1860年ごろからである。また、気象衛星が全体の7割を海洋が占める地球全体をカバーするようになったのは、ごく最近1979年からである。それまでの私たちは、年輪や海洋堆積物、アイスコアなどの大昔の気候を我々に教えてくれる代用データを増やし続けていたのである。

 

古気候

気候変化問題の見方を増すために、我々は歴史を振り返る必要がある。 過去のデータは正確に世界的ではなく、常に品質が良いとも言えないが、それでも一定の結論に到達することができる。 地球の気候は不変ではなかった。それは、人間の影響なしで、寒くなったり、暖かくなったりしていた。観測された変化は、たいていの場合大きく急激であった。2100年のために気候モデルによって予測されたものよりも大きく、急激な変化である。 有史以来過去3000年、北大西洋の気温は数十年のうちに3°Cも変化している [Keigwin、1996年] 。 一番最近の氷期には、変化はもっと激しかった。 ならば、温暖な時期になるほど気候は安定するのだろうか?確かなことは分からない。しかし、証拠はそれを指している[Singer, 1998] 。

 

何が気候を変化させるのか。 あらゆる種類の理論が提示された。その多くはデータによって裏付けられたものであった。しかしながら、異なる要因が原則的に時間の尺度に重要性を左右されつつ、同時に起こっているのは明らかである。最近の数100万年の間に頻繁に生じた氷河時代(氷期)は、太陽輻射の吸収に変化が起こったことと関係があるーいわゆる天文学的理論とよばれる地球の軌道変化に影響されたように見える。より長期の気候変化は、大陸移動説や地殻構造上の現象に関係があるようである。より短期の変化ー10年単位の変化は、大気と海洋の相互作用と海の循環の変化に起因するように見える。あるいは、太陽の発光(太陽定数)の変化 [Soon, Posmentier, Baliunas, 1996; Lean, Beer, and Bradley,1995]、あるいは雲 [ SvensmarkとFriis-Christensen(1997)]や温度[Friis-Christensen and Lassen, 1991]との相互関係が示唆される太陽の活動(紫外線放射または太陽の微粒子放射)のような、外部要因に起因するかもしれない。しかしまだ納得のいく物理的なメカニズムはない。

 

大気中の温室効果ガスと気候変化との関連性はあるのだろうか?数億年という時間尺度の上では、二酸化炭素は急激に減っている。今から6億年も前のカンブリア紀初頭には、二酸化炭素濃度は現在の値の20倍であった[ Berner(1997)] 。しかし、気候はほとんど変化しなかった。そして、地質年代からは、二酸化炭素濃度が高かった時期でも氷河作用が生じていたことが見て取れる。
数十年あるいは数世紀という時間尺度では、グリーンランドと南極のアイスコア測定から判断されるように、気温と二酸化炭素濃度の間には関連があるように思われる。関連は温室効果ガスメタンにはもっとある。しかしいまだにその因果関係は全く分かっていない。 最近になって、二酸化炭素の増加が、氷河時代の終わりと間氷期という温暖期の始まりに退氷を合図する急激な温暖化から、およそ600年ほど遅れていることを示す、十分な分析が得られるようになった[Fisher 他、1999年]。

 

温室効果ガス(GHG)

過去100年以上にわたる人間の活動によって、大気中の二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスが増加したということは、一般に合意されている。特に、最も重要な温室効果ガスの代表として、二酸化炭素に注目が集まっている。 排出された二酸化炭素の半分は大気中に留まり、残り半分は、海洋と陸上生物圏に吸収され、農作物と森林の成長を促進する。公開された意見は、排出された二酸化炭素の半分は、30年以内に浅い海へと吸収されるという意見に賛成している[Sarmiento, Orr, and Siegenthaler, 1992]。 二酸化炭素の平均滞在時間はおよそ75年くらいだが、「尾」は1世紀以上続くかもしれない[IPCC, 1996, p. 76]。 メタンの滞在時間はずっと短く、わずか12年ほどである。理由は分からないが二酸化炭素の増加率は、ここ10年かそこら、かなり鈍っており、メタンは増加するのを全くやめた[Hansen et al., 1998]。これは二酸化炭素とメタン、メタンは主に人口増加の率に左右されるが、両方の将来の濃度を予測することをとても難しくする。二酸化炭素の排出の見積り方法は、エネルギー・シナリオに応じて大いに変化する。これらは、人口増加と経済成長によって決定されるだけでなく、化石燃料の入手可能性ー技術と価格の強い作用によっても決定される。
多くの「専門家」がとても驚いているのは、容易に利用できる低コストの資源が枯渇しつつあるまさにその時ーここ20年の間に、石油の価格は低下していることである。いつ頃大気中のGHG濃度が過去の産業レベルの2倍になるのかについては、かなりの意見の相違がある。推定では、為す術がないと言われる2050年からそれている[Gerholm, 1992; Linden, 1999]。




気温データ

1100年頃の「中世温暖期」、そして数世紀の「小氷期」が続き、また1880年頃から1940年頃までは、地球規模で気候が暖かくなったというとことには皆が合意している。ここ最近の温暖化の原因について意見の合致は少ないが、人間の影響はほとんどないと考えられる。

 

1880年頃から1940年頃にかけての世紀初頭の地球温暖化は、「大気中に存在する化合物から明らかに人間によって引き起こされた変化と関連する」[Jones、1998年]。

 

 

この結論は、第2次大戦後は産業活動が急速に増大したまさにその時であるのに、1940年から1975年は気候は寒冷化した、という事実によって裏づけられるようである。この寒冷現象と観測された温室効果ガスの増加を結びつけるのは困難である。この矛盾を説明するため、1996年のIPCC報告は、以前は無視していた石炭の燃焼や他の工業活動から生じる硫酸塩エアゾールが、日射の一部を反射する直接的な冷却効果に注目し、焦点をあてている。しかし、「顕著な人間の影響が見られる」という結論を裏づけるためのこの説明は、もはや根拠があるとはみなされない。[Tett et al., 1996; Penner et al., 1998; Hansen et al., 1998] 気候モデルに取り組む第一人者たちは皆、エアゾールフォーシング(エアゾール強制力)は気候モデルの他のどの作用よりも不確かだということに同意している。気候モデルには、それよりもずっと大きい硫酸塩エアゾールが雲を増加させることで生じる間接的冷却効果や、産業上の燃焼やバイオマス燃焼による炭素煤煙と、土地開発から生じる鉱物粉じんの全く異なる光効果は、まだ組み込まれていない。

1979年以降、温度測定は論争中にある。一方、従来の温度計による地上観測は、ほとんどの気候モデルGCMsが予測した半分以下の、10年につきおよそ0.1°Cの上昇を示している。他方、気球による高層大気観測(ラジオゾンデ観測)からの独立したデータ同様、衛星データは、低対流圏において1979〜1997年では温暖化の傾向を示さずに、却ってわずかに寒冷化を示している [Christy and Spencer, 1999]。
グリーンランドのアイスコア上での直接的な温度測定は、1940年〜1995年の間、寒冷化傾向にあることを示している [Dahl-Jensen 他, 1998]。したがって、地表データは「都市ヒートアイランド」という温暖効果に汚染されているのかもしれない。この仮説を立証するデータがいくつかあり、 [Goodridge、1996年]、立証しないデータもいくつかある。[Peterson他、1999年] 。

 


人間の生活が地表面の温度によって影響されるのは確かに真実であるのに対して、GCMは対流圏の観測よって最も検証されている。 GCMはまた、約250ミリバール:12 kmまでの高度とともに増加する温暖化傾向を予測しているのだと気づくべきである [Tett他、1996年] 。それは地上、気球、人工衛星などにかかわらずすべての観測が明らかに不一致である中、10年につき、0.5°C上昇することを予測している。

 


気候モデル

モデル結果と(衛星観測、地上観測に係わらず)温度傾向の観測との間に生じる大きい矛盾は、説明を必要とする。世界で20かそのくらいの気象モデルが、専門家のグループによって開発されているが、彼れらの間でもその主要な矛盾要因については意見が異なる。それらの「気候感度」(GHG強制力が2倍になるための温度増加と定義される)は、1°Cと同じくらい低温から5°Cと同じくらい高温まで変化するが、IPCCは従来の範囲を1.5°C〜4.5°Cとしている。気候モデルを相互比較することにより、主な不確実性は、雲の処理方法と関連があると証明された[Cess et al., 1990, 1996]。雲は空間的に分解できないので、いくつかの流行で指標化されなければならない。多くのモデルでは、雲は温暖化を促進するが、他のモデルでは、雲は冷却効果を生じる。気象モデルの状況は、大気圏で最も重要な温室効果ガスであり放射性強制力の90%以上に影響を与えている水蒸気(WV)に関してさえ、混乱するものである。現在の気候モデルにおいて、水蒸気はポジティブ反応(フィードバック)を生じるととられており、それゆえCO2増加による温暖化効果を増幅すると考えられている。誰もが、CO2の増加や他の原因によって生じる温暖化はより多くの蒸発を生み、したがって、水蒸気濃度がより高くなることにつながるということに同意する。しかし、それは上の対流圏での水蒸気濃度であり、 反応がポジティブであるかどうかを決定する境界層でではない[Lindzen, 1990; Spencer and Braswell, 1998]。この点に関しての見解は広く異なるが、必要なデータが手に入るまでは、この状況が続くだろう。

 


どの気象モデルも可変する太陽の影響を取り入れてはいない。従来、それは太陽の可変性が単に小さすぎるからだと仮定されていたが、現在この見方は変わっている。たとえ放射照度の変化による放射強制力がGHGsからのそれより少ないとしても、紫外線中の太陽の可変性はずっと大きい。現在、紫外線が引き起こすオゾン層の変化や太陽の微粒子放出(「太陽風」)の変化が、重大な気候変化をかわるがわる引き起こすであろう大気循環や雲の生成に、間接的に影響することを示す証拠が出現している[ SvensmarkとFriis-Christensen(1997)]。気候モデルは一般に、農業用の開墾や、ごく最近では世界諸地域で行われる森林再生による大規模表面でのアルベド変化は組み込んでいない。

 

温度傾向に関連する限りモデルにまだ有効性がないとしても、気候上での某かの人間の影響はすでに顕著である。観測は、北半球では毎日の温度幅は減少していることを示すが、おそらく南半球でも同様だろう。[Karl et al., 1991]. これらは、エアゾールや曇の増加に由来するかもしれない。冬季温暖化についてもまた、証拠がある。しかし、気候モデルが高緯度で予測される温暖化を立証する証拠はない。他方、成層圏の冷却が観測されているが、成層圏の冷却は、進みつつあるオゾン枯渇同様に、CO2の増加からも予測されるものとして現れる[Ramaswamy et al., 1996]  さらに、GCMs気候感度の有効性が実証されるまで、人は将来大幅に気温が上昇するという予測を受け入れることはできない。

 

気候変化の影響

気候が気候モデルの予測どおりに変わるならば、熱帯(低緯度)地方と高緯度地方との気温差が減ることになるから、それを考えれば、ひどい嵐に会うのは少なくなると期待するだろう。気候モデルの計算は、ハリケーン、エルニーニョ現象などの気候振動の増加は指摘していないからである。
IPCCの報告書に述べられている観察に基づく証拠によれば、過去50年にわたってハリケーンの回数も強さも低下を示しており[ IPCC、1996、170ページ]; 今後の温暖化が、目に見えて回数や強度に影響を及ぼすとは予想しない[ヘンダーソン・セラーズほか1998 ]。 エルニーニョ現象についての観察は、まだ決定的でない。

海面についてはこれまでどおり、温暖化は海水の熱膨張と氷河の溶解をもたらし、海面の上昇率を上げると仮定されている。確かに千年単位で見れば、海面は着実に上がっている。しかし、人間の影響を測るのにより相応しい10年単位の尺度で調べると、海面上昇は、気温が上昇する間、例えば1900年〜1940年の気温上昇期間でも、ゆっくりとしたものであることがわかる [Singer, 1997] 。明らかに、温暖化と関連して増加した水蒸気は、結果として極地で氷の堆積を増加させ、それゆえに海面を下げる。この結論は、いくつかのモデリング研究でも、また、氷の堆積の直接観測によっても、裏づけられるようである。したがって、将来の温暖化がゆっくりと進めば、進行する海面上昇も速度を落とし、加速しないはずである。

 

潜在的気候温暖化への経済的な影響

経済学者たちは最近、1996年のIPCC(第三作業部会)の経済的影響 (反対を示したものもあるが、これらの研究のいくつかは、海面上昇についてではなく農業について大規模な損失があることを示した。)に関する評価を再調査した。 再試験はアメリカでは、農業でのかなりの増収を示しつつ、他の経済活動にほとんど影響がないことを示した。
彼らは最終的に、いかなる原因からであれ温暖化は、経済損失よりも経済利益を生み出すと結論づけた[Mendelsohn and Neumann, 1999]。上述の海面上昇に関する新しい調査結果は、まだ広くは公表も議論もされていないが、この結論を強化することになるはずである。

 

気候条約が最終的にめざすもの

多くの人々が、気候条約の目的は温室効果ガスの排出縮小であるととらえているが、条約の第2条は、条約の最終目標は大気中の温室効果ガス濃度を、気候システムから人類に由来する危険な干渉を防ぐレベルで安定させることであると述べている。
「これが何を意味するのか、あるいは、温室効果ガスのより高い濃度か低い濃度か、どちらがずっと危険と立証されるのかわからない。」[Singer,1998年]
しかしながら、以前気がついたように、気候は暖かくなるほど安定するようである。

 

結論

政府高官は、気候科学は「確立し」「説得力がある」と繰り返し宣言している。 その明白な関連性は、我々が行うことを十分知り、いかなる更なる調査結果も「政策と無関係」で、気候条約の関係者の国際協議にとって重要でなくなるだろうことである。
私の評論は、別な結論で終わる。すなわち、観測で得られた証拠は、上述した問題である温室効果ガスの増加から生じる温暖化はすべて小さく、気候の自然変化上で見つけるのは難しい、それゆえ取るに足らないものである、ということを示している。加えて、温暖化の影響も高くなったCO2濃度の影響も、人間の活動に有益そうで、特に農業にとって有益なようである。さらに、気候条約の最終目標は未だにはっきりしない、つまり、現在の濃度に比べて、GHGの濃度を高くすべきなのか、低くすべきなのかはっきりしない。そして最後に、(先進工業国のGHG排出を平均5.2%カットすることを要求する)京都議定書は、進行する大気中のGHGの増加を大幅に縮小するには十分でなく、したがって気温への効果も微細である。しかし、IPCC報告の冒頭で指摘されるように、現在のGHG濃度を安定させるには、世界規模でその排出を60-80%カットしなければならない。概して国連による討議は、排出の抑制を強調し、大気から海洋ーそれは地球物理学的調査にとって肥沃な地域であるーへと接収される二酸化炭素のことを無視している[Singer, 1997 pp. 84-87]。

 

IPCCは「数々の証拠の調和は、地球規模の気候に対して顕著な人間の影響があることを示唆する」というあいまいな結論に達した。それは、気候の観測記録に付けられた「指紋」ーすなわち、地球規模の温度パターンについて、観測結果と気候モデルによる計算結果は、時間が経過するにつれ関連性が増しているというーに基づいている。しかし、相互関係のこのポジティブな傾向は、完全にわざわざ1940-1990という時代範囲を選択したことによるもので、気温はほとんどの時期で実際には低下していた。違う範囲を選べば、ゼロまたは否定の傾向を生み出すことができた。IPCC報告が引用する人間の影響を裏づけるもう一つの証拠は、南半球の中層対流圏における上昇する温度傾向を示すことに依存している[IPCC, 1996, Figure 8.7.c., p.428]。 もう一度繰り返すが、これは完全に特定の期間選択と関連がある。[Michaels and Knappenberger, 1996]より完全なデータセットならば、反対の結果(北半球のほうがより大きい温暖化傾向がある)が出る。
1996年のIPCCの報告書が出てからは、ますます多くの研究者が、1940年以前の温暖化の多くあるいはほとんどは、自然な要因によるもので、小氷河時代からの回復期にあたるとの見解を採用している。かなりの部分を温室効果ガスのせいにする研究者もいる [Wigley, Jones, and Raper, 1997]。温度上昇のほとんどは、太陽の可変性に起因すると主張する研究者もいる [Soon et al., 1996]。
もし人がIPCCの使う「指紋」を基準として採用する場合、それはIPCCの表8.10[IPCC1996年、p.433]に見て取ることができる。パターンを対比すれば、1900年〜1940年の重大な温暖化の間ネガティブな傾向が見られるので、人間の影響の存在を否定していることがわかる。

おそらく、人間の影響が顕著であるとすることに対する最も強い論争は、1940年から1975年に観測された寒冷化と、(気象観測気球と衛星データでみられた)1979年以降の温暖傾向の不足に起因する。

INDEX
人間が豪雨をより激しいものにしている
●気候変化への人間活動の影響は依然疑わしい
気候変化に関するよくある質問と回答
地球温暖化に対する大気科学者からの声明文
2005年:地球の気候と温暖化の接点
温室効果ガスの主要排出国と京都議定書
ヒートアイランド
ヒートアイランド測定
地球温暖化
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