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システム・レイアウトと設備

典型的なドリップ灌漑システムヘッド
● システムヘッド(主要部)●
灌漑のシステムは、システムヘッド(主要部)と配水網から構成される。水ため(貯水槽)・ポンプ・フィルター・流量計・圧力計・肥料注入器・圧力調整器・コントローラー+電磁弁が、一般の構成要素である。ヘッド部分の構成はこれはマイクロ灌漑でも変わらない。流量計と肥料注入器については、あれば大変望ましい。特に後者は、果樹や作物栽培ならば必須であるが、ランドスケープでの灌漑ではあくまでオプション設備である。そして、もしシステムを手動で作動させるならば、コントローラーは不要となる。
● 配水網 ●
<基点>
配水網は、大抵はポリエチレン(PE)で作られている管材、管取付器具(コネクター)エミッター、から構成される。配水網の基点は、ヘッドにある電磁弁である。異なる灌漑ゾーンが複数設定される場合には、その数だけ電磁弁が必要であり、マルチ制御のできるコントローラが必要となる。
<フィルター>
フィルターは、エミッターの小さな吐出孔やライザー(引き出し管)の細い管に異物が詰まらないようにするために、マイクロ灌漑システムには不可欠である。フィルターには、基本的に2つの種類、等級別のサンドフィルターとスクリーン・フィルターがある。少なくともどちらか1つのフィルターが必須である。ドリップ潅漑システムは通常、マイクロスプリンクラー灌漑システムよりも多くのフィルターを必要とする。水源が地表水(掘、貯水池)である場合は、両方のフィルター(サンドおよびスクリーン)を併用する。フィルターの選択は、水源の種類、水中の汚染物質の濃度、ろ過水として必要な品質、流量およびコストによって決定する。
エミッターの種類によっても、必要なフィルターが異なってくる。より大きな孔を持つエミッターならば、精度の高いフィルターの必要性は少なくなる。フィルターの設置後は、定期的にバックフラッシング(逆転洗浄)を行う。 バックフラッシングは、手動あるいは自動で行うことができる。
水溶性の肥料は、どのようなものでも、マイクロ灌漑システムに注入できる。肥料に適した肥料混入器を用いて、溶解しなかった物質を削除するために、肥料を注入前に必ず先にフィルターを設置しておく。
<圧力調整器>
マイクロ灌漑システムは、低圧で作動ので、ポンプコストは少なくて済む。しかし代わりに、圧力調整器が必要な場合がある。圧力調整器は、配管(パイプ・チューブ)内の側壁圧力を制御するために使われる。勾配の変化が大きい場所では、複数の圧力調整器を使うのが望ましい。しかし、予め圧力補正されたエミッターやエミッターチューブを使うのならば、分岐管では圧力調整は必要ない。これらエミッターやチューブの種類は「定流量」と書かれているので、それを目安に選択するとよい。
● 敷設 ●
主管となるポリエチレン管は一般に、各畝に沿って地表面に敷かれるか耕作作業を容易にするために地表面下に埋めて使用される。下の図は、アメリカの資料から特徴的な15エーカーのレイアウトを示したものである。多岐管、主管、支管は、通常埋められている。
図の側部(細かい配管)の目的は、樹木毎や植物畝に沿って設置するドリッパーに水を供給することである。果樹園では、新しく植えられた樹木1本に対してエミッター1つというのが適切で、樹木が成熟したらエミッターを追加する。側部は最大の水適用に対して長さをとっておくべきである。
● エミッターの仕組みと選択 ●
ドリッパーは、吐出孔で圧力をかけて少量の水を通過させ、水滴を生じさせる。 スプリンクラーやスプレーは、ドリッパーより大きな面積一帯に水をスプレーするために圧力をかけて水を噴出する。エミッターの吐出特性は、水圧とエミッターの種類に依存するので、目的とコストに応じて選ぶ。
エミッターホースは、ドリップチューブともインラインドリッパーとも呼ばれるが、規則的に密植された条植え作物にふさわしく、単独のエミッター(ドリッパーまたはオンライン・ドリッパー)はその一方で、個々の独立した樹木やまばらに植えられた植栽に適している。圧力補正され、末端まで定流量が保証されている製品ならば、圧力調整器がなくとも拡張できるため、一般の敷地にも適しているし、特に傾斜した地形にふさわしい。ただし、せっかくの製品も最大推奨長を守らなければ、正しく機能しない。
ミスターは、栽培温室のように、外部と隔離された場所の湿度を増加させるのに利用される。 マイクロ(ミニ)スプリンクラーが低圧下で、マイクロ灌漑のなかでは比較的大量散水、大面積をカバーするのに使用される一方、スプレー、ミニスプレーは軽度の水利用に使用され、濡れる面積と形状を制御する。また、アメリカでは、ミニスプリンクラーとスプレーは、果樹園の霜の管理策として、また、りんごを日焼けから護る蒸発冷却としても使用されている。
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