第2回:
トウモロコシを育てる
文:小出兼久 2008.7.5

常盤における、この夏のヒット作物として間違いない、よだれが出るようなトウモロコシを作る時ではないか?と、ひそかに思っていたことが実現した。しかし、トウモロコシ、されどトウモロコシ。そのトウモロコシは、18度以上の暖かい土を必要とするために、初夏が主要な植え時であるようだ。
そこで、トウモロコシについて調べてみると、長く収穫できるようにするためには、早生種と中晩種の両方を植えるとよいことがわかってきた。常盤の台所のコラムは、先人たちが残した知識と近代農業を見定めながら学ぶことにしている。
今後ぜひ試したい品種
自然受粉の品種
従来の味の自然受粉の品種は、急速に砂糖を澱粉に変換するので、熟したら、ちょうど良い頃合いを見計らって性急に収穫しなければならず、時間が経つと味も落ちやすい。肥料については、概して、ハイブリッド種よりも少なくて良く、種は1年保存することができる。
甘いハイブリット種
甘さが増強されたハイブリッド種は、甘さが1週間以上持続し、その特徴である、柔らかい肉質は豊かな味と結合している。
非常に甘い品種
非常に甘い品種は、凍ると、非常に甘くてサクサクした粒を生み出すそうだ。この品種は交雑授粉を防ぐために、他品種のトウモロコシから少なくとも約9m離して植えなければならない。交雑受粉してしまうと、その味がだいなしになるからである。
この他に、甘いハイブリッド種と非常に甘い品種の 相乗効果的な両者のバランスを持っている品種もあるようだ。
この文章の最後に掲げた図表には、品種の大まかな分類、各々の特徴と栽培情報を記載しているので、あなたもいつか植えるトウモロコシを夢見たならば、そこでトウモロコシのタイプと品種をチェックするとよい。
植える時期
植え付けの方法
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土壌を耕した後に、 刈り取った芝か腐葉土、完熟堆肥などを約3cmの厚さで入念に鋤込んでから、高窒素含有の有機肥料(ラベル指示に従う)を一緒に入れる。
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トウモロコシの種は、3cmの深さで10cm毎に離してまき、最小でも60cmごとに3列の畝にする。
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芽が出た後、早生種ならば、苗と苗の間隔が20cmまで離れるよう間引き、中生種と晩生種ならば、30cmの間隔まで間引く。
収穫と貯蔵
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穂が太って実がいっぱいの感じがしたなら、それをつかみ、先端近くの皮をむき、指のつめで粒に穴をあけてみよう。牛乳のような汁がでたならば、収穫の準備ができている。
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トウモロコシの収穫は、穂が冷たい朝のうちに行う。収穫したら、直ちにそれを冷蔵するか、クーラーに入れて、氷でそれを挟む。圧力式の缶詰機器で缶詰にしてもよいが、大部分の人々は、速くて便利なので、冷凍にする。トウモロコシの穂軸から粒をもぎ取って冷凍すれば、場所もとらない。
種の保存
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大部分の品種は複雑なハイブリッドであるので、種を保存して、再度栽培しても良い結果は期待できない。
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従来の自然受粉の品種の種は保存できるが、その場合、外皮が黄褐色になるまで、完全に穂を乾燥させる。
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さらに、手の間で穂をよじって2、3の穀粒が落ちるようになるまで、屋内で乾燥させる
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涼しくて乾燥したところならば、種は最高で2年保管できる
病害虫の防止
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灰色おびた茶色のオオタバコガの幼虫は、トウモロコシの毛と粒を食べる、元は、未熟な穂の先端の中に卵を産み付ける蛾の幼虫である。この食害を抑えるには、噴霧器で、新しい穂の先端の中に、5、6滴の植物油をかける。
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ほとんど虫のつかない作物にするには、細菌の有機的な(Btとして知られている)殺虫剤をその油に加えて噴霧する。そして、オオタバコガの食害が少ないときには、傷つけられた先端のみを切り取ればよく、例えば、『Argent』のような外皮の隙間がタイトな品種は、被害は比較的少なくてすむようである。
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「黒穂菌」と呼ばれている菌類の病気にかかると、穀粒が黒くなり、ふくらんで、ゆがむ。感染した穂を削除することによって、その蔓延を制限することができるが、黒穂病のしみは、実際には食用可能で、ごちそうとしてメキシコで珍重されるが、料理されると、マッシュルームそっくりである。
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晩生の品種では、3 cm位の長さのしま模様のイモ虫がよく見られる害虫だが、早くに熟す早生の品種は、めったにこのイモ虫の被害を受けない。このイモ虫(ヨトウガの一種)は、ヤドリバエなどの益虫によって殺されるが、スピノサド系(土壌放線菌が産生する天然物由来の)殺虫剤を使うこともできる。
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また、タヌキなど野生動物は、トウモロコシの成長をしっかりと観察しており、完熟するやいなや夜間に急襲する。このような動物から、完熟間近の穂を保護するには、穂を軸にヒモで縛り付ける。
栽培情報
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土の窒素供給を促進するために、ソラマメ類か別のマメ科植物の被覆作物を先行して植え付ける。
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暖かくなり、被覆作物が刈り取られて鋤込まれた後、1、2週間したら、トウモロコシの種をまく。
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トウモロコシの種はすぐに発芽する。しなければ、腐っているということである。
最高の発芽には18度以上の暖かい土が必要で、種をまく前に、一晩種をきれいな水につけるとよい。
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ハイブリッドのトウモロコシは、大量の施肥によって密な間隔で成長するように育てる。植物に窒素を供給し続けるために、植え付けの前に肥料を与えて、さらに、高さ30cm位になった時と、房(花)が現れた時に再び、綿実や血粉のような高い窒素肥料を与えなければならない。
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トウモロコシが、 突発的な夏の雷雨によって吹き倒されたとしても、快晴の日が2、3日続けば、元に戻る。
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ほとんど成熟した苗が曲がって育っても何の害もないが、しかし、植物自らが支えきれない時には、支柱を立てる必要がある。「ロッジング」と呼ばれているこの問題を防ぐには、雑草に鍬を入れる度に、植物の土台の上に盛土する。
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トウモロコシを小さい庭に合わせる最高の方法は、こんもりと盛土した丘に6〜8つの苗を植えて、早生の品種を育てることである。すると、風が花粉を運ぶとき、トウモロコシは授粉されるが、このような小量の植え付けで、大きくて粒がぎっしりつまった穂を確実に実らせるためには、トウモロコシの房飾りのような花から、灰色がかった花粉を集めて、それを日に1、2回、絹糸のような花の上へ振りかけることである。(人工授粉)
台所で

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トウモロコシは、風味を保存するために、収穫したら直ちに冷却する。調理方法としては、丸のままでゆでたり、蒸したり、焼くのもよいし、粒だけを取り出してもよいし、クリーム状につぶしてもよい。
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トウモロコシを、缶詰や冷凍のコーンで見るような粒状の状態にするには、2、3分の間熱湯に付けて穂を湯むきし、それから、粒を切り離す。
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クリーム状にするには、生の穂から粒を切り取るが、これには、トウモロコシの穂軸に残る牛乳のようなジュースをこすり落すために、スプーンを使う。
進化するトウモロコシ
甘くて美味しいトウモロコシを別名スイートコーンと呼ぶ。 この「スイートコーン」という言葉は、実際は、たくさんの異なる品種を含む幅広い句である。
さあ、この夏、あなたの庭地を耕し−そして、あなたの味蕾を目覚めさせなさい!この素晴らしいトウモロコシの収穫によって・・・といいたいところだが、今年はもう遅いだろう。
是非来年はチャレンジしてください。
下の図表はタイプと品種によってスイートコーンを分類したもので、それぞれに対する説明とと最適の栽培条件をまとめてある。
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早生のハイブリッド
65〜75日で生育
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小さい品種は、1.8mほどになり、1つにつき中くらいの穂を1、2個つける。
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冷たい気候の地方や小さい庭園で栽培するには、最善の種である。
十分な水と肥料が必要で、それにより、高品質のものを生産することができる。
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'Early Sunglow',
'Fleet Bicolor',
'Spring Treat',
'Sugar Buns'
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主な季節ハイブリッド
75〜90日
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強健でずんぐりした品種で、一般的に1つにつき2つの大きい穂をつける。
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最も風味が良く、最も生産的なのがこのグループ。
平均的な土壌で成長するときには、窒素を高く配合した有機肥料を、苗が30cmに達したときと、穂から房が現れたときの2回与える。
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'Argent',
'Bodacious',
'Illini Xtra-Sweet',
'Marai Bicolor',
'Miracle',
'Montauk'
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自然受粉の在来種
75〜90日
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最高1.8mになるが、様々な大きさのものがある。1つにつき1、2つの穂がつく。
穀粒が熟するにつれて、砂糖質は急速に澱粉に変わる。このため、成熟間近になったら、毎日穂をチェックする。
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このような古い品種をハイブリッドより少ない肥料で成功させるには、広い間隔で植える。
高い細長い支柱を設けるとよく、これは莢豆のトレリスの兼用にもなり、また、そこを透過してできる陰はカボチャや冬カボチャにうってつけである。
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'Black Aztec',
'Double Standard',
'Golden Bantam',
'Luther Hill',
'Texas Honey June'
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