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バイオレテンション技術の流域に対する利益

 


汚染物質のろ過

バイオレテンション域の土壌と植物によるろか装置としての機能は、物質的、生態的、化学的処理プロセスによって汚染物質を除去する。バイオレテンション域に集まった表面流出水には汚染物質が含まれることが多く、その量を減らすことは、敷地から出る汚染雨水の水質、最終的には近隣河川の規定の水質目標を達成するために、必要なことである。

たとえば、アメリカ・メリーランドを含むいくつかの州は、チェサピーク湾への栄養物を含む表面流出水を40%削減する方向にむけて努力することに同意している。
現在メリーランド大学は、汚染物質除去に関するバイオレテンションセルの効果を定量化するために、プリンスジョージ郡環境資源課及び全米科学財団と提携して、数多くのラボとフィールド実験を実施している。

日本ではまだ研究が本格化(現在JXDAで試験中)されていないため、ここにメリーランド大学の研究を紹介すると、一般に、適切に設計され造られたバイオレテンションセルは、卓越した重金属除去を成し遂げられることがわかってきた。この技術を利用した典型的な結果として、わずかなぶれはあるものの、銅(Cu)亜鉛(Zn)、鉛(Pb)について90%を超える削減を期待することができる。実験では、亜鉛と鉛については、実に98〜99%もの除去率が達成されている。

 

全ての金属除去─それは吸収・吸着と推測されるが、大抵はバイオレテンションシステムの表層の数インチ内で起こっている。そして、そのプロセス中で最も大きい役割を果たしていると信じられているのがマルチの層である。重金属は、強くこの中の有機物質と提携する。他方、リンの除去は、バイオレテンションセルの深さとともに直線的に増加するが、およそ2〜3フィートの深さで最大約80%の除去に達するようである。このリン除去のメカニズムは、土中のアルミニウムや鉄、粘土鉱物などの上にリンが吸着するのではないかと推測されている。TKN(窒素)除去も同様に、深さに左右されるように見えるが、研究間の除去率は、他の物質よりずっと可変的であった。セルから排出された水からの平均除去率は、およそ60%である。また、バイオレテンションセルの下部からとったサンプルからは、アンモニアの削減は70〜80%達成されている。さらに、硝酸塩の除去についてであるが、硝化反応があることで硝酸塩が存在すると思われる幾つかの事例においても、バイオレテンションセルによる硝酸塩の除去は非常に可変的である。

 

現在、メリーランド大学の研究グループは、脱窒とそれにより硝酸塩除去を促進するよう、高くした暗渠管の下の好気性/嫌気性と変動する地帯を、バイオレテンションセル設計に組み込む可能性を模索している。

これらの研究は、市街地では重金属が主要汚染物質であるため、適切なマルチ層をもつ浅いバイオレテンション装置が推奨されるのではないかと指摘する。しかしながら住宅地の場合には、重大な汚染物質は主に窒素とリンと思われるので、それに応じて、約2〜3フィートに達するより深いバイオレテンションセルが必要となると指摘している。

 

他の重大な汚染物質もバイオレテンションセルによって処理される。例えば、溜池になっている場所では、表面流出の速度が遅くなるので、水中を浮遊していた固形物が下へと落下し、沈殿が生じる。ヴァージニア大学の現地調査では、これによって、全浮遊物質(TSS)の86%、化学的酸素要求量(COD)の97%、油と油脂の67% の除去ができると指摘している。さらに、メリーランド大学の研究所メディア・コラムでは、バイオレテンションセルの潜在的な全浮遊物質と油/油脂の除去率は98%以上を示している。


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