低影響開発の実践的手法

リッドで何をすればよいのか、具体的な要素については、以下のものがあげられる。

一部重複をしている内容もあるが、このページと低影響開発のキー戦略、低影響開発の仕組みとを併せて参照すれば、リッドのよりより理解に役立つことと考える。

●植物の保存・群生・散在

開発敷地内の既存植物の中で、重要な役割を果たすと思われる植物は、保全または安全な場所に移植する。降雨は、植栽の場所に導き植物が利用できるようにするのが、一般に、最も効率的で最も効果的な雨水管理の方法である。群生あるいは散在させた植栽エリアは、LID=敷地内雨水管理の実現にとって共に重要である。

●雨の庭　レインガーデン

植栽エリアはすべて雨の庭とも言えるが、それを一歩進め、雨を積極的に活用していると皆に認識させるものを雨の庭（レインガーデン）と呼ぶ。庭やガーデンと認識させるのは、設計者の力量に左右されることもある。これは、低湿地+水チャネル、浸透性プランターに大別される設置パターンがあるが、降雨処理目的の装置であると同時に、LID促進のための教育・啓蒙装置であり、降水の輸送・循環システムの一部を担いつつ、自身は独立してバイオレメディエーション作用を発揮する。
敷地内どこでも設置できるし、設置すべきである。中央分離帯や街路の植栽マス、宅地によくある道路と外壁の間の狭い植栽エリアにも、土壌に合った植物の選択から始めれば、作ることができる。

雨の庭は魅力的なだけでなく、汚染物質を処理する。

●土壌改良

堆肥を土壌に加えることは、単に植物にとって好ましいだけでなく、LIDの視点からも好ましい。なぜならば、堆肥は工事による土壌圧密を防止し、土壌の水浸透力を向上させ、浄化にも役立つからである。

●透水性舗装

透水性舗装は、透水性コンクリート、同アスファルト、各種舗装材、さらにグリッド状の升目を芝生や砂利で埋めたインターロッキングなどがある。水の浸透を可能にし、汚染物質を水から取り除く。その利点は、水の地下への浸透を可能にし、水から汚染物質を取り除くことにある。LIDには欠かせない資材であるが、これだけが降雨流出管理ではない。

●緑化屋根

緑化屋根を設ける。緑化屋根は、防水層、防根層、排水層、用土、植物で構成され、むき出しの通常の屋根に比べると、降雨流出の遅延、エネルギー効率の改良、屋根寿命の延命といった効果があり、さらに、生物の生息環境を提供し、屋上庭園のように時にレクリエーション装置としての役目も果たす。

●屋根からの降雨集水

一般屋根においても潅水やトイレ洗浄*、非常用飲料水への利用のため、降雨を集水するシステムを設置する。これは、流出を減らすだけでなく、上水使用量を抑制したり、地下水の涵養にも貢献する。

*建築的承認が必要（日本）

●基礎の最小掘削

代用の建築基礎を地盤面あるいは地盤面の上に打込み杭とコネクターで作れば、広範囲な掘削の必要をなくし、土壤圧密を縮小することができる。

資料） (c)Puget Sound Action Team, office of the govemor , State of wathingoton.