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分科会「庭から水=資源エネルギーを考える」2003年3月22日
於:国立京都国際会館
講演者:
○小出 兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA 日本ゼリスケープデザイン研究協会 代表理事
○ウィリアム・ウェンク ランドスケープアーキテクト,FASLA, アメリカコロラド州デンバー市
○ダニエル・ウィンターボトム ランドスケープアーキテクト,ASLA ワシントン大学ランドスケープアーキテクチャー学部助教授
提言と約束
提言
日本ゼリスケープデザイン研究協会は、現在のあるいは将来に起こりうる水不足を解消するために、庭から都市計画までのすべてのランドスケープ計画に、水保全の手法を盛り込むことを提言する。水保全の手法とは、(1)上水の一滴一滴を効率的に利用する正しい知識と技術、(2)適切な灌漑の導入、 (3)雨水やストーム・ウォーターなどの新たな水資源の確保と利用を意味している。私たちは、ラン ドスケープにおけるこうした手法の標準化が、私たちの生活環境空間を快適で持続可能なものにし、より良い環境を次世代へと残すことを可能にすると確信する。また、水問題の解決に向けた環境と教育の取り組みは重要性である。このためランドスケープの側面からもこの取り組みを続けることを進言する。そして、次回の世界水フォーラムの場には、私たち以外にも多くのランドスケープ・アーキテクトやランドスケープ関連産業からの参加を期待し、またその必要性を提言する。
約束 円滑で効率的な水保全ランドスケープの実現には、地方自治体・地域コミュニティ・公共教育施設・民間企業などの意思決定機関、排水や土壌・土木などの技術、ランドスケープアーキテクト・建築家というデザイン、によるパートナーシップの確立が約束されなければならない。
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長期的目標: ・ すべての敷地空間における雨水やストーム・ウォーターの保全量を0から30%程度に引き上げ、敷地にかかる全上下水道使用量の20%削減をめざす。
・ランドスケープに係わる人々のパートナーシップが、いずれの地域においても誰もが無理なく応用できる、機能と美を備えた持続的再生可能モデルを生み出し、敷地空間における水保全を推進する。
短期的目標: ・意思決定機関・技術・デザインのパートナーシップにより、今後3年の間に日本の全都道府県において教育的デモンストレーションガーデンを1つ以上設置する。
・日本ゼリスケープデザイン研究協会は、各国ゼリスケープとの連携を強化し、皆が適した形でゼリスケープの各種情報を享受できるような環境を日本において整備し、ゼリスケープ技術の向上を図る。
目標達成のためのツール:教育的デモンストレーションガーデン その中には、下記項目の解決案が提示される。
・ 正しい灌水システムの導入
・ 雨水収穫と再利用の促進
・ 耐乾性植物の選定指標
・ 土壌・浸透舗装材など水保全用資材開発
・ 水保全・機能・美のバランス
●上下水道使用量の削減に向けた指標
- 教育的デモンストレーションガーデン施工前後の上下水道使用量をモニタリングすることにより、効率的に水を保全するガーデンモデルの再構築ができる。(具体的には、植栽、土壌、灌水の調整によるガーデンの修正を意味する)
- 植栽維持管理におけるモニタリングにより、地域に即した耐乾性のある植物の特定が可能となり、必要水分量を低く抑えながら美観の維持・向上をはかることができる。
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