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 >> ゼリスケープ技術講座 -灌水システム編-


ゼリスケープガーデンを創造するための基本的な知識・技術の会得を目的とする技術講座。
中でも専門性が高い灌水システムについて、基礎から学んでいきます。

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第6回 灌水制御装置

灌水システムにおける灌水制御装置とはバルブ類、計器類、フィルター、コントローラー、センサー類からなる装置の複合体である。基本的に流量と水圧、灌水時間を制御する役割を持つ。また前回で紹介したフィルターも含まれる。作業の効率化を図るため、灌水自動化の装置や水分量を監視するセンサー等もこの部位に取り付けられる。

灌水制御装置の構成機材
灌水制御装置は、バルブ、計器、フィルター、コントロール、センサーに大別される。それぞれ、用途に応じて数種類がある。簡単にまとめると以下のようになる。

 

バルブ: 管を開閉する可動機構を持ち通水または止水制御する器具の総称である。
元栓
(仕切弁)
制御装置への通水を開始したり停止したりする弁。制御装置の元に取り付ける。
定圧弁
(圧力調節弁)
給水管内の水圧を一定に保つために設ける弁。敷地内に傾斜がある場合、給水管内の水圧に差が生じてしまい適切な灌水が来なくなるため、配水管と給水管の接続位置に設ける。
逆止弁
水流を一定方向に保ち、逆流を防止するための弁。灌水管内の汚れた水が逆流して水源に流入することを防ぐために取り付ける。
空気弁
灌水停止時に灌水管内の負圧の発生を防ぐための弁。負圧が発生するとエミッターの目づまり等の原因になる。
排水弁
灌水管の下流の末端部に取り付け、管内の洗浄や管内の余剰水を排水させる。洗浄弁ともいう。
安全弁
この弁は普段の設定水圧では作動しないが、異常な高水圧がかかると自動的に弁が開き、余剰水を排出して圧力を降下させて灌水管や機器保護する。
以下の2つは灌水を自動化するために必要なバルブである。
電磁弁
制御装置に取り付け、コントローラータイマーからの信号により開閉をする。信号を受ける部分をソレノイドと呼ぶ。この部分の働きによって弁の開閉が制御される。
定水量自動停止弁
弁に組み込まれた積算量水器が作動し、設定された水量が管内を通水すれば自動的に弁を閉じる仕組み。
計器類:灌水システム内の水圧や流量を監視するための機材
流量計
(量水器)
必要な潅水量の確認のために取り付けるが、管内の破損や目づまりを発見するのにも役立つ。
圧力計
適した灌水のために管内の圧力の変化を確認するためのもの。流量計と同じく、圧力の変化は管内の破損やフィルターの目づまりの可能性がある。
フィルター:配管内の水垢などシステムの故障の原因となるゴミを取り除く
フィルター 詳細は前回を参考していただきたい。
コントローラー:タイマー類
コントローラー 電磁弁の開閉を制御する装置。灌水の時間や回数を設定して自動的に灌水をおこなう。商用電源から電源をとることの出来るものから、乾電池式のものまであり、複数の電磁弁を同時にコントロールする制御盤もある。
センサー類:灌水環境を常時計測し、適切な灌水を行うためのセンサー
雨センサー
コントローラーと接続させ、一定雨量を感知すると電磁弁が開かないように信号を送る。これによって灌水面が雨水によって潤っている場合は灌水の必要がなく、水の浪費を防ぐことができる。
土壌水分センサー
電極を地中に埋め込みコントローラーとつなげることで、土壌水分が一定以上になると電磁弁を開かないように信号を送る。ただし参考になる土壌水分は電極を埋め込んだまわりだけなので、埋め込む場所の検討が必要である。


以上述べたような機器が制御装置の構成要素であるが、現実としてこのすべてを灌水装置に含ませるというわけでない。敷地の条件や気象環境、植裁の量や種類によって制御装置の内容も変わってくるが、適切な灌水するための最低必要なものとしては次の5つである。

1.元栓(仕切弁)
2.フィルター
3.電磁弁
4.コントローラー
5. 雨センサー 


接続

接続には、交換や故障の時の取り外しが容易となるように、ユニオンと呼ばれるナット式の組立継手を使って、主管と接続する。


設置場所
制御装置は汚れが入らないように箱に収め、定期的なメンテナンスができるように、管理しやすい箇所に設置する。地中に埋設するタイプと地上部に設置するタイプがある。装置を収納するための専用ケースも市販されている。乾電池ではなく一般の商用電源を使うコントローラーを使う場合は、電源の確保ができる場所であるかを事前にチェックしておく。

参考資料
『Landscape irrigation 』Stephen W. smith
『マイクロスプリンクラーかんがいテキストブック』(社)畑地農業振興会
『土地改良事業計画指針 マイクロかんがい編 』農林水産省構造改善局計画部
『イーエス・ウォーターネット製品ガイド』(株)イーエス・ウォーターネット

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文・美濃輪 朋史