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環境、気象、経済、政策など地球上で起きている様々な事項や現象について、ゼリスケープをよりよく理解するための専門用語を、事例を交えて解説します。 ************************************************************** 第8回 人口問題
人口増加とはすなわち、水の問題でもある。WHO(世界保健機構)によると人間らしい日常生活を送るには最低5リットルの水が必要といわれているが、日本や米国など先進国では一人1日300リットルの水が使用されている。これは、生活用水など国内で直接使用されるものだが、その他に他国で生産された物を輸入して国内で消費される仮想水(バーチャルウォーター)は、日本が輸入した農畜産物を「水」に換算すると、年間640億トンにも昇るといわれている。 貧困の増加、食糧不足問題などが発生しているアジア、アフリカなどの開発途上国では、人口の爆発に伴う食料需給の増加にこたえて、食料供給の増加をはかる国際農業研究機関によるプロジェクト研究が、1960年以降各地域に設けられ始められた。これらは、作物の品種改良によって単収の増加をはかることで栄養不足や飢餓状態を改善しようとするもので、「緑の革命」と呼ばれている。これら、高収量品種の開発と灌漑基盤整備、化学肥料、農薬の使用を伴った栽培技術は、その後の土地生産性を著しく改善した。これにより1967年以降アジアでは慢性的な食料不足からようやく開放される望みが持たれた。 しかし、ある程度土地生産性が向上しさらに人口増加が起きると、土地の扶養力を上回る収量増大のために、さらに大量の化学肥料などを投入し土壌荒廃が起き始めた。今日の食料に事欠く人々にとって、明日の収穫のための土壌保全など無意味である。貧困の程度が深刻な地域では、その化学肥料の投入も出来ず、本来土壌保全のために還元されるべき家畜の糞さえも燃料として使われている実態もある。これらの循環では、食糧危機の深刻化や環境破壊を招くのは時間の問題といえ、今後の世界の食糧需給を展開する時、人口の増加や経済成長、農業技術進歩、農業政策など、これまで食糧需給を規定してきた諸要因の動向を見直すだけではなく、地球環境問題への配慮が必須となってきている。 環境面からとらえると、地球温暖化に伴う気象分布の変化により、酸性雨、熱帯林消失、砂漠化などの土壌・植生の変化などが顕著となり、これらが食糧需給に大きく影響を与えている。 今後この自然や耕地に対する負荷を軽減し、現在8億人いる飢餓や貧困の人々の食糧需要に見合う食料を供給することが農業の基本的な目標であるが、それには貴重な資源を効率的に利用すべく、環境と作物とを適切に管理・操作することによって達成できるものと考えられる。これは、都市緑化についても同じことがいえ、持続可能な環境を守る上で、バイオマスを活用した資源利用、土壌の劣化の防止、水を有効利用する方策を確立することが必要である。
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企画:森山晶子 |
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