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雨水集水システムの構成

雨水集水システムは次の6つの部分から構成される。

 

  1. 集水部
  2. 配水管
  3. 初期雨水除去装置
  4. 貯留槽(タンク)
  5. 逆流防止装置
  6. 水処理

1. 集水部:雨水を集める表面(屋根・屋上)

雨水は、トタン屋根、粘土瓦、スレート屋根などの屋根から集めることができる。
このとき注意することは、屋根材や屋根塗料に鉛が含まれていると、弱酸性の雨の成分が鉛を分解し、雨水を汚染したり、屋根を傷めることである。このため、鉛が含まれる材料や塗料を屋根に用いることは避け、不安があれば集水を止める。また、竣工から長い月日が経っている場合には、長期利用により、コンクリートの中性化やそこに使われている金属類の腐食も生じてくる。このため、いったん雨水の貯水利用を始めたら、屋根や屋上の定期的な点検が必要となる。繰り返すが、鉛については、鉛が含まれる材料を経由する雨水の利用は避ける。細かく言えば、樋のハンダ合金にも鉛が使用されていないかどうか確かめる。また、ある種の合成アスファルト材料、アスベスト、屋根板、コンクリート瓦と鉛の混じった塗料は汚染物質を浸出し水質に悪影響を与えるので、こうしたものを使った屋根も雨水集水には適さない。

 

2. 配水管:樋と縦樋とルーフドレーン

屋根に集まった雨水は、ルーフドレーンや樋(とい)と縦樋(たてとい)を通って、配水管へと運ばれる。この樋と縦樋と配水管には、継ぎ目なく成型されたアルミニウムや鋼、PVC材を利用する。傾斜を合わせ、縦樋から雨水貯留槽まで集水する雨量を最大限にするよう備え付ける。集水配管の入り口となる屋根・屋上にはルーフドレーンが必要である。ルーフドレーンは、茶こしをひっくり返したようなもので、金属かプラスチック枠の中に約6ミリのワイヤーメッシュが入っていれば良い。樋の手前にこれが付いていれば、目に見える大きさのごみや汚染物質が、雨水配管(樋・縦樋)に流入するのを防ぐことが出来る。ただ、長の日には、目詰まりも発生するので、定期的に清掃をしなければならない。また、もし近くに樹木がある場合には、落葉が樋に流れ込まないように、落葉に対する遮壁を樋の全長に沿って設置する(ワイヤーメッシュでその部分の樋を被うなど)。

 

3. 初期雨水の除去装置

降り始めの雨(初期降雨)には、大気中の粉塵や汚染物質が多く含まれていたり、屋根を伝い流れる時に、屋根に付着したゴミや汚染物質を一緒に取り込んでいたり、清潔な状態と言えないことが多い。この初期降雨については、屋根・屋上・樋の置かれたの環境によって、取り除かずにそのまま貯留槽に溜まるにまかせて良い場合と、貯水を汚染から守るために排除する場合がある。例えば、交通量の激しい地域の屋根・屋上や、屋根材質に問題があるときには、ルーフドレーンを通過した雨水は、物理的な汚染物は除去できても、まだ化学的汚染物質に汚染されている可能性がある。そのため、この場合は初期降雨は除去して、中盤からの雨水を貯めたほうがよいことになる。初期降雨を捨てることにより、ルーフドレーンが不完備でも、雨に先立って屋根にすでに溜まっていた鳥の糞や落葉も除去することができる。

初期雨水の除去装置は、タンクの底を引き出しのようにして、最初に溜まった雨水を捨てられるようにしたり、配水管を分岐させて、ひとつに小さな初期雨水用の溜まりを作っておき、一旦このスペースが満タンになったら、それ以上の水は、貯留槽へと接続された縦樋を流れるように接続するような、雨水センサーとそれによって流入経路を切り換えられる電磁弁がついているシステムにするとよい。このスペースには、次の降雨までに空にすることができるよう、底に栓や小さな管を付けておく。

初期降雨を捨ててしまうと、集水できる量はそれだけ少なくなる。例えば、降水量4ミリ/日以上から集水するとすると、このうち0.5ミリ/日を初期雨水として排除する。これは言い換えると、屋根面積100 m2ごとに40リットル取り除く計算になり、降雨量のおよそ6~10%を削除すると考えればよい。

4. 貯留槽(タンク):地下・地上、建物の壁上に設置

雨水を貯留するのが、貯留槽(タンク)である。今は、プラスチック、鋼、コンクリート、ファイバーグラスなどさまざまな素材で出来たものが手に入る。もちろん、既製品でなく、清潔な浄化槽タンクや、樽などの何か廃材的なものを二次利用してもよいのだが、耐久性と耐水性があり、不透明で内部が滑らかで清潔であることが、良いタンクの条件となる。蒸発と蚊の繁殖を防ぐためにふたが必要で、このふたは、昆虫、げっ歯類、鳥が侵入したり、容易に開閉出来て子どもが遊ばないような工夫が必要である。そしてタンクは、内部に藻が繁殖しないように、日陰の涼しい場所に置くようにする。必ずオーバーフロー管を接続し、定期的清掃もやりやすいように、いざというときには開口部が広いものが望ましい。尚、タンクをどのくらいの高さに置くのかは、水をどう使うのか、ポンプにより揚水をするか重力方式かによって異なる。地下埋設のタンクには、地上型の第一次タンクとポンプがセットで付くのが一般的である。また、大きさは次のものに依存する。

  • 雨水利用量

  • 年間降水量、日別降水量、降雨パターン、降雨強度

  • 集水面積

  • 必要とする供給面での安全性

  • 上水代替率

 

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