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文 小出兼久 2008.06.10

 

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「雨」を集めることは、誰に文句を言われることもなく、無料であるし、シンプルで素晴らしい考えだと思う。しかし、実際に雨水タンクを使っている人々でも、まだまだこの大きな資源を最大限に利用していないという現実がある。例えば、写真のような簡易的なものはともかく普通の天水桶であっても、激しい豪雨の時には、かなりの雨水をオーバーフローさせてしまっていることはないだろうか。簡単で、より低コストで、効果的な、雨水集水計画を創造するにはどうしたらよいだろうか。

水不足はこの時代の至る所に持ちあがっている。開発が進み人口が増加する中で、ある時は干ばつのために、またある時には、多くの地域で余りに沢山の水を使うために、水不足が発生する。そしてその結果として、緑について言うならば、芝生や庭への灌水に用いるために雨水を集める雨水タンクを、縦樋の下に置こうという話があれこれ沢山でてくる。
しかし実際のところは、約200リットル入る樽が2個あったとしても、それは利用可能な雨水全体からしてみれば十分に多い量ではない、ということにどれだけの人が気づいているだろうか。
少し手を休めて考えてみよう。ホースを用いて200ℓの雨水タンク2つに水を満たすのにかかる時間と比較すると、庭の灌水をどのくらいの時間行うことができるだろうか。一般に2.5cm程の降雨があったとすると、幅9m長さ15mほどの屋根を備えた家から流れ落ちる雨の量は、3420リットル以上になる。どうしてこれを全部利用しようと考えないのだろうか?

実現の可否はともかく、その位の意気込みで再度検討をする必要があるということだ。
次に、タンクが一杯になったらオーバーフローや漏水をせずに、屋根から庭へと雨を移動させる低コストで効果的な方法の一案を記す。

 

  1. まず最初に、家やガレージ屋根からの流出を樽または貯留タンクへと向けるために、縦樋を延長させて加工する。場合によっては、下水管へと直結していた縦樋を分断、タンクに併せてカットしつつ加工する。

  2. 次に、流れるのが速いソーカー・ホースを作る。使い古しのガーデン・ホースを数本利用する。均等間隔(30cm程度)にドリルで穴を空け、タンクとつながない方の末端にスクリュー・オン・キャップ(ねじ込み式の蓋)をはめ込む。
    (注:この設備は、園芸用品店でよく売られている多孔性のソーカー・ホースの類が機能するのに十分な水圧を持たない恐れがあるので、手作りの穴あきホースをつくるのである。)

  3. 次に、地域のDIY店に向かう。ここで購入する物は、タンクから水を外へと流すための直径7~8cmのバルクヘッド取付器具と、その先に付けて、複数のホースをつなぐためのマニホルド(多岐管)部品である。どのようなものか分からない時には、スケッチなどを使って、作りたい設備の構想を示せば、大抵のスタッフは、何が必要であなたは何が欲しいのかの手助けをしてくれるはずである。

  4. タンクにバルクヘッド取付部品を取り付ける。市販の雨水タンクの場合は、すでに小さな穴が栓付きで空いているかもしれない。その場合は、その側にこの排出口(バルクヘッド部品)のための穴をあける。位置は、樽の底近くにしたほうが、最善に機能する。その結果、タンク目一杯に水が溜まり、その圧力はソーカー・ホースを通して水を押し出す力となる。

  5. タンクに穴を空けてバルクヘッド取付部品を付けたら、次に、マニホルドにそれをつなげる。その先にホースをつなげ、ホースの末端には、エンドとして、スクリューオンキャップを取り付ける。

  6. 2でつくったホースを5でタンクにつなげたら出来上がり。このホースは、今度、雨が降った時に、それを使って灌水したい菜園や芝生など庭のどこへでも敷くことができる(もちろん長さと相談であるが)。そして、できれば、ホースからしみ出た雨水が植物の根域へと注がれるように、土壌のホースからの雨水の保持を助けるように、菜園の畝や苗床の地表は中心に向かって浅めの窪地になるようにレーキでかいておくとよい。

  7. 雨が降るのを待つ。

 

注)
・こうして作った設備によって、もし余りにも多くの雨が菜園や庭に流れ込み、余剰水が害を与えるならば、ホースの差込口に開閉弁を設ける。また、分流器を使って縦樋から庭の外へと雨水を導くこともできる。
・大雨の時、最初の何回かは、タンクとホースから眼を離さないようにする。もし、もっと速く水を流したいならば、ホースにより多くの穴をあける。逆に、水が流れ出るのが速すぎて浸食の原因となっている場合は、ダクトテープで穴の幾つかを巻いて閉じる。
・この他に言えることは、雨水の集水については、やはり、集水をしながら学び、改良をしていくということであろう。

 

 

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