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マルチとは、土壌面に敷いて土壌を保護し改良するものである
マルチには、有機マルチと無機マルチの2種類がある
<マルチの効果>
○ 地表面からの蒸発を抑制する。
○ 水分の浸透性と通気性を改良する。
○ 地温変動をコントロールする。
○ 浅く根をおろした植物を凍結による損傷と霜による隆起から保護する。
○ 土の構造を改良し保肥力を向上させる。
マルチの種類ー有機マルチか無機マルチかー
マルチには、有機マルチと無機マルチの2種類がある。有機マルチには、ウッドチップ、バークチップ、ワラ、刈り取った芝草、種の殻などがあり、無機あるいは不活性マルチには、雑草防除シート、砂利および岩などがある。
理想的なマルチとは容易に圧縮せず、土中への水や空気の動きを妨げず、火災の危険もなく、ゆっくりと分解するもので、さらに、色彩が均一で、雑草が混じることなく、魅力的であり、風に吹き飛ばされることがないものである。
選択
マルチの選択はその用途に応じて決まる。(表2)
外観が主な目標である場合、無機または不活性マルチ材は最も良い選択の場合がある。
土壌改良が主要な目標である場合は、徐々に分解する有機マルチを用いる。また、費用と市場入手可能性も関連するがその適用エリアの面積について考える。(表1)
例えば、あるエリアが主として1年草の草花に利用されるならば、有機マルチを一時的に敷いて秋毎に耕転をするほうが、多くの場合実践的である。
マルチの使用時期
マルチは外観を増強し、雑草を抑制するためにいつでも用いてかまわない。マルチがよりよい根の生長を可能にするべく凍らないように地温を一定に保ち、秋の移植を保護するために使用される場合は、移植の後すぐに使用する。
マルチが霜による隆起を減らし、春の生長を遅らせることになる場合は、大地が凍った後に利用する。この種のマルチは、海葱根やクロッカスのような小さな球根を保護し、初春の突発的な出来事に備えてよく用いられる。
マルチの厚さ
雑草防壁シートは単独またはウッドチップ、石、その他の材料と共に使用されるが、ほとんどのマルチの厚さは8~10cmが適当である。ワラ、乾燥した葉、これらと同等の材料は、10~15cmの厚さにする。
マルチの中で特にワラや葉の塊は、げっ歯動物の住処となる場合がある。こうしたマルチを使用する時には、マルチを樹木から15cm以上離して敷く。植物に接触して敷かれると、マルチに住んでいるげっ歯動物が植物の樹皮を噛み、環状除皮や樹木を殺してしまうことがある。また、風が吹くエリアでは、有機マルチよりも砂利や岩のマルチが好ましいと言える。
窒素欠乏を防ぐ
有機マルチが分解する時、マルチに接する土壌に含まれる窒素のある程度は、有機物分解のために使用される。そのため、窒素欠乏が生じる場合がある。植物の窒素欠乏の徴候は、主として下葉の黄変である。これが生じたときには、土壌に窒素肥料を加える。
マルチされた面積のうち9m2ごとに、10-6-4の配分の完全配合肥料を900g、もしくは、硫酸アンモニウムを113gポンド加える。マルチされたエリアでは、「肥料兼除草」の種類の肥料は使用しない。
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表1: 0.7m3のマルチを使って被ったときのマルチの深さ
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| 面積 (m2) |
マルチの深さ (cm) |
| 7.2 | 10 |
| 9 | 8 |
| 14 | 5 |
| 29 | 2.5 |
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表2: マルチの種類と長所・短所
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| 種類 | 長所 | 短所 | コメント |
| 有機マルチ | |||
| カカオ豆殻 | 耐久性がある 暗褐色 |
高価 | コンパクトで、殻のような表面を形成する。もし固い殻を攪拌して砕けば無害。 表面にカビがつく場合がある |
| 砕いたトウモロコシの穂軸 | 終始変わらない色 | 表面であまりにも多くの湿気を保持する場合がある | いろいろな色に染められている。地域により入手の難易が分かれる |
| 刈り取った芝草 | 利用しやすい | マット状にこごるのを防ぐために、薄くほぐして敷かなければならない | マルチとして使用する前によく乾燥させる |
| ホップ | 魅力的な色彩。 不燃性。 |
乾燥しきるまで不快臭がする | 地域のビール醸造所でわけてもらえる場合がある |
| 葉(堆肥にしたもの) | 利用しやすい | あまり魅力的でない | マットを敷いたようになる場合がある。 土壌改良材によい |
| 葉(堆肥にしていない) | 利用しやすい | あまり魅力的でない。 風で飛ばされることがある。燃えやすい。濡れた葉は圧縮して薄いマット状になる |
自然な姿の庭や潅木群に用いるのが1番ふさわしい |
| 有機肥料(麦藁) | やや利用しやすい | 不快臭。雑草種が混在することがある | マルチとしてよりも土壌改良材としてベスト。完熟した熱処理済みのものを用いる。 |
| 新聞 | 利用しやすい | カラーインクと赤インクを使っているページは使用しない | 有機マルチと共に、3~6枚の厚さで使用する |
| ピート(水苔) | 大量ならば やや利用しやすい |
表面が硬くなることがある。吹き飛ばされやすい | 酸性をもつ泥炭であるが収穫源で酸性度は変化する。マルチではなく土壌改良材として利用するのがベスト |
| 松葉 | 魅力的である。圧縮しない | 多量入手が困難である。燃えやすい | 秋に移植した植物の防寒には最適である |
| 細裁断された樹皮 樹皮チップ 太い木片樹皮 |
長持ちして魅力的(チップが一番魅力的である) | 比較的費用がかかる。細裁断樹皮は圧縮することがある | 形式張らない(インフォーマルな)通路に利用する |
| ワラ | 容易に利用できる | 吹き飛ばされやすい。非常に可燃性である。雑草種がよく混在する | 冬に保護を必要としている植物の周囲に一時的なマルチとして使うのがもっとも良い。ワイヤー・メッシュなどで固定する |
| ウッドチップ 削りくず 棒状に剥いだ皮 リサイクルされた屋根板 |
耐久性が長い。利用しやすい | 質感と色が均一でない | 素朴であるがまま魅力的である。容易に圧縮しない |
| 無機マルチ | |||
| 熱処理された粘土の混合材 | 灰色や茶色に彩色されている。砂利より軽く。運ぶのが簡単である。雑草の種を含まない | 高価 | 資材メーカーが幾つか商品を出している |
| 雑草防除シート(織布) | 雑草は遮断するが、空気と水は浸透する。上にウッドチップなどの他のマルチ材料を敷くことで、より耐久性が永続する。作業が簡単である | 高価な物もある。もし、別のマルチで上を覆わなければ、太陽光に曝されて劣化する | 黒いプラスチックシートの代用には適している |
| 砂利・石 | さまざまな色があるので、建築に合致したり建築を補う色を選べる。安価 | 雑草によっては、生育を防ぐことができない | 雑草を防ぐためには黒いシートを下にしく |



