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> 最新号 | ||||||
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| >> 世界ゼリスケープ事情 | |||||||
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太平洋園芸センターの ゼリスケープ・デモンストレーション・ガーデン |
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太平洋園芸センター(HCP*)は、バンクーバー市を南下したツワッセン港からフェリーにて1時間半。庭園都市として名高いBC州都ヴィクトリア市を有するバンクーバー島にある。ここは長らくイギリス統治下にあり、その街並みは見事に植栽・管理が徹底されており、人々の緑に対する意識の高さがうかがわれるところである。有名なブッチャート・ガーデンもあるが、私は、ブリティッシュコロンビア州政府水・土壌・大気保護省のボブ・ブラウン氏の強いすすめで同センター(HCP)のゼリスケープ・デモンストレーション・ガーデンを訪れた。 ヴィクトリアの市民団体によって企画・発案された同センターは、1978年に州政府からの$75,000の助成金を元に、園芸教育施設として設立される予定であった。が、計画開始早々から、民間の寄付金集めがままならないばかりか、税収減による州の追加助成金拠出打ち切り・敷地寄贈の反故が起こり、計画は一旦は白紙にもどされた。その後、敷地の問題が長期リース契約という形で解決すると、それまでの少数の有志による粘り強い努力に地域住民が応え始め、草の根レベルによる寄付やボランティアによって、小さなウィンター・ガーデンが造成されたのである。現在ではそれを核にして、周囲にミックス・ボーダー、自生植物、耐乾性植物等、各種目的別のガーデンが作られ、総面積103エーカーの敷地となっている。そして、運営する市民団体はセンターと同名のNPOになり、理事会、専任の職員、地域の業界団体やボランティアによって構成され、会員総数は1300名を超えている。運営費には政府予算、業界団体からの寄付、会費や自助努力による収益金が充てられている。 デモンストレーション・ガーデンを訪れる人々の目的は多種多様で、太平洋園芸大学の単位習得(10ヶ月講座)を目的としたプロの卵から、自邸の庭を作るにあたっての参考にとガーデンを訪れる人たちまでいる。しかし、その多様性に応えられるように、各ガーデンにはそのテーマが明確に示されている。なぜ、自生植物を多用することによって、不必要な灌水や化学肥料の使用を減らすことが出来るのか。そして生態系の保全につながるのか。彩りの乏しい冬の間、如何にして葉、茎、樹皮など用いて美しいデザインを実現しうるのか等が、わかりやすく目の前に示されているのである。 私にとって 数あるガーデンの中でも出色であったのは、へザー・ガーデン。有機肥料を与えた適度な湿度の弱酸性土の下で、生き生きと見る者の目を楽しませる。混植にエリカ類の品種を選択し、年間を通じて彩りが失われないよう綿密に計画**されている。なめらかな起伏の中に描き出された色彩の調和は、是非とも学び取り入れたいものであった。 *HCP……Horticulture Center of the Pacific |
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取材/写真:平松宏城 構成:JXDA |
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