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 >> 製品考察


ゼリスケープに関わる商品・資材をクローズアップ。今何が流通し何が求められるのか。
利益追求ではなく、使用者と創り手、そしてこれからの環境を考えた情報をお届けします。


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■第1回 雨水タンク    

まだ梅雨は終わらないが、もうすぐ水不足の夏がやって来る。この雨、無駄にせず利用できないか。ということで、今回は日本の市場に出ている雨水タンクについてまとめた。用途、規模などで異なるが、大きく分けて地上設置型と地下埋設型に分けられる。

[地上設置型]
仕様:ポリエチレンが多数、他ステンレス、ゴムシート(袋状)、オーク樽などの貯水タン
   クに雨樋から水を溜め、満杯時はオーバーフローさせる。
容量:一般家庭向きでは200�P〜350�Pが主流、業務用では、750�P〜1,000�P程度のも
   のか、小型タンク連結して敷地の許す限り増やすこともできる。
設置:小型のものは専用の架台やブロックなどの上に置き雨樋をつなぐだけの簡単施工。大
   型のものは若干の基礎工事が必要。基本的にやや高所に設置して下部の蛇口から水を
   出すので、ポンプは不要。
用途:庭への水やり、洗車、一部では非常時飲用水
価格:30,000〜200,000円/1基 連結したり別注の場合は規模に応じて。
長所:既存の庭に素人でも設置が可能。水栓がないベランダにも有効。手動なので電気代も
   かからず、故障などトラブルが少ない。
短所:設置場所=容量に比例するので、環境に応じて必要な水を全て確保するのは難しい。
   長雨だとほとんどオーバーフローし、日照りだとすぐなくなり、水道水との併用が基
   本。容量が比較的大きいものは外観上の問題があり、ガーデンアクセサリー的なもの
   は容量があまりに小さい。

[地下埋設型]
仕様:ポリエチレンタンクを直接地下に埋設するか、遮水シートの上にプラスチック製の空
   隙のあるコンテナ状滞水材積み重ねたものを地下に埋設する。家庭用の浄化槽を転用
   してもできる。ポンプで汲み上げて使用する。
容量:タンクは600�P程度からあるが、コンテナ式のものは広さと深さに応じて拡張が可能
   なので、車1台分のスペースで3,000�Pから、公園や施設において10万�Pの確保も
   可能。
用途:家庭用水として庭、洗車、トイレ、その他工業用水、農業用水、防災備蓄用水、池や
   噴水などアメニティ用水、雨水流出抑制など。
設置:敷地開発時の施工工事が必要
価格:十数万〜数百万円程度
長所:施工完成時にはタンクが表面に出ないので、敷地の有効活用が可能。用途に応じて規
   模を変えることができる。
短所:既存の建物・敷地に導入するには制約が大きい。敷地・施設計画時に導入するのが前
   提。貯水層に入るまでの水の濾過が不可欠。貯水量が多いため、水質保持の工夫が必
   要。ポンプが故障すると使用できない。一度施工すると貯水層内のメンテナンスは不
   可能。

企画・文:森山晶子