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環境、気象、経済、政策など地球上で起きている様々な事項や現象について、ゼリスケープをよりよく理解するための専門用語を、事例を交えて解説します。 ************************************************************** 第6回 バイオマス
もともと生物(bio)の量(mass)のことであるが、今日では再生可能な、生物由来の有機性エネルギーや資源(化石燃料は除く)をいうことが多い。基本的には草食動物の排泄物を含め1年から数十年で再生産できる植物体を起源とするものを指す。エネルギーになるバイオマスの種類としては、木材、海草、生ゴミ、紙、動物の死骸・糞尿、プランクトンなどの有機物がある。バイオマスエネルギーはCO2の発生が少ない自然エネルギーで、古来から薪や炭のように原始的な形で利用されてきたが、今日では新たな各種技術による活用が可能になり、化石燃料に代わるエネルギー源として期待されている。 バイオマスの燃焼などにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2であることから、持続的な使い方をすれば、バイオマスは大気中のCO2を増加させない特性を持つ。石油や石炭などの化石資源からつくられるエネルギーや製品をバイオマスで代替することで、CO2排出量を削減し地球温暖化に貢献する。 また、化石資源のサイクルが一方通行の使い捨てであるのに対し、バイオマスは太陽、水などの自然の作用により、持続的に再生が可能な資源である。例えば、「なたね」というバイオマスを例に挙げると、次のようになる。転作田に菜の花を植え、なたねを収穫・搾油してできたなたね油を家庭や学校給食に使い、搾油時に出た油かすは肥料や飼料として使う。市民が協力して廃食油を回収し、石けんや試験的に自動車など燃料にリサイクルする。そして大気中に排出されたCO2は菜の花を栽培することで吸収されるのである。 エネルギーとして利用可能になったバイオマスには、次の3つの種類がある。
このバイオマスエネルギーの活用の増進を目指して農林水産省が策定したのが、「バイオマス・ニッポン総合戦略」である。 地球温暖化防止の取り組みとして二酸化炭素の排出源である化石資源由来のエネルギーや製品を、カーボンニュートラル(二酸化炭素の増減に関与しない)という特性を持つバイオマスで代替すること、また、循環型社会の形成、農林漁業・農山漁村の活性化、競争力ある戦略的産業の育成などの期待が寄せられている。同戦略によると、2010年までに廃棄物系バイオマス全体の80%、未利用バイオマス全体の25%以上の利用を目指すとしている。 各国のバイオマスエネルギーがその国の総エネルギーに占める割合は、1999年時点でスウェーデンが一番多く16%、次いで米国3%、ドイツ2.2%と続き、日本は0.9%の使用率である。 ランドスケープの中にエコロジカルな視点 これからの住宅・公共施設そして都市計画においても、ランドスケープ計画に廃棄物を出さすに栄養素を循環させる完全廃物リサイクルの考え方が求められている。 これは以前からある概念であるが、人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系であるパーマカルチャーにも繋がるものである。パーマネント(permanent 永久の)とアグリカルチャー(agriculture 農業)をつづめたものであるが、同時にパーマネントとカルチャー(文化)の縮約形でもある。その狙いは一生態学的に健全で,経済的にも成り立つ一つのシステムをつくり出すことであり、長期にわたって持続しうるシステムでもある。 これは、 自然のシステムの観察と一昔からの農業のやり方の中に含まれている智恵、そして現代の科学的・技術的知識によって実現する。 またより大きな目で、地球としてランドスケープを捉えた場合、世界で森林が伐採、消失し、表層土の侵食などにより荒廃地化している状況の中で、生物多様性の低下,バイオマスの減少,地力の低下が顕著であり,自然生態系の環境保全機能としてもCO2の吸収源としても劣化が進行しているという、危機的状況が明白である。従来のように森林を断片的に修復するのではなく、ランドスケープレベルで修復しなければ地球的な環境危機は回避できないレベルに来ている。長期資源利用を目指した生態系の保全・管理 を目指すためには、生態系機能を解析・整理したうえで、科学的な裏付けによる管理基準(評価指標)を設定し、 森林認証制度やランドスケープ管理に対して、積極的に働きかける必要があろう。
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企画:森山晶子 |
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