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■第6回 壁面緑化
屋上緑化・壁面緑化は都市におけるヒートアイランド現象の打開策として注目されている。
2001年の東京都の条例以来、多くの施工がされながら研究と課題が大いに残る屋上緑化はまたにして、今回は壁面緑化を取り上げる。壁面緑化は周囲から見られやすく、インパクトが大きい。また施工面でも、防水や耐荷重など建築構造の問題がない。しかし、美観を保ちかつ壁面緑化のメリットを享受するには、構造、植物、メンテナンスを考慮した上で施工をする必要がある。
[壁面緑化のメリット]
壁面緑化とは、住宅・マンション・ビルなどの建築物、塀、擁壁などをつる性植物や地被植物などで緑化することをいう。屋上緑化と壁面緑化の大きく違うところは、部屋から眺めることができたり、道路から眺めることができることで、より不特定近隣の多くの人が楽しむことができることである。
◯都市環境の改善効果
植物の蒸散機能によるヒートアイランド現象の緩和、空気の浄化
(CO2、NOx、SOxの吸着等)
◯建築物の保護効果
紫外線や酸性雨による劣化防止、火災延焼の防止
◯省エネルギー効果
建築物の断熱性能の向上
特に、植物の水分の発散作用、単純に日陰ができることでの夏場の
温度の低下が期待できる。
◯アメニティ向上効果
景観の向上、生理・心理的快適感、新たな空間の創出、宣伝・集客効果
○ 防音効果
植物そのものにも若干の防音効果があるが、壁面に直接取り付けた植栽基盤の 素材が防音効果があり、かつ遮音壁を背後に取り付けると鉄道・道路などの防 音壁のほか、機械室の防音、店舗の装飾にも利用でき、遮音板との組み合わせで壁面高さ2m、115dB(デシベル)の鉄道騒音を想定すると、10dB以上の騒音低減効果が期待できるといわれる。
[壁面緑化手法]
壁面緑化の手法として、登はん性の植物を使い緑化する方法、壁面に植栽基盤を取り付ける方法、植物を上部に配置して下垂させる方法という3つの方法が取られているが、場合によっては組み合わせて施工される。
1.壁面登はんタイプ
吸盤や付着根のあるつる性植物壁面を登はんする植物によって緑化する。
用途:建物外壁、道路の擁壁、遮音壁、橋脚
植物: 吸盤や付着根のあるつる性植物(アイビー、セイヨウキヅタなど)、巻きつる(フジ、スイカズラ、カロライナジャスミンなど)、巻きひげ(ブドウ・トケイソウなど)・巻き葉柄(クレマチスなど)の他、つるバラやブーゲンビリアのような誘引することで伸びるつる性植物
補助資材:
直接外壁を這わせるということもでき、この場合登はん用の補助資材は不要である。 道路の擁壁にはコストの安いこの方法が採られている。
一般の建物が外壁では、壁面が傷んだり、樋の中まで植物が入り込んで詰まったりといった問題も発生するので、外壁に植物が巻き付きやすい補助資材を取り付けて登はんさせる方法が多くとられている。登はん用資材には、メッシュパネル、ワイヤー、パンチング鋼板、ラティス等などが用いられる。
植栽方法:
直接外壁近くに登はん性植物を植え、建物外壁を覆う方法は、灌水の手間も少なく簡単であるが、外壁の高さと大きさ、日当たり、方角などによって均一に覆うことが難しい場合もある。以下2.3.で紹介する下垂タイプや壁面植栽タイプと併用することで早く緑化ができる。
業者による相場価格:
補助資材使用 ¥15,000/�F程度(人件費・諸経費除く)
2.下垂タイプ
上部に設置したプランターなどに、付着根のない下垂性植物を植え下部に向かって壁面を緑化する。
用途:建物外壁
植物:ビンカマジョール、ハイビャクシンなど下垂性植物。先の登はん性つる植物も用いられるが、下垂させるとあまり生育がよくない場合がある。
補助資材:
外壁保護のための資材は不要だが、屋上や窓辺などにプランターなどのコンテナを置くスペースとその固定が必要である。灌水は人力で行うこともできるが、手間を省くため底面吸水や灌水システムが導入される。
植栽方法:
植物の下垂する長さは植物の性質と環境による。壁面全体を緑化しようとするならば、ある程度の間隔でプランターを配置することが必要になる。この方法だけでいくならば、窓辺緑化の延長として考えたほうがよく、小樹木など上方向の緑化とも組み合わされる。他の緑化方法と組み合わせることで壁面緑化の効果が現れるものと考えられる。
3.壁面植栽タイプ
金属フレームやコンクリートブロックなどの構造体を壁面に沿って作り、そこに土壌などの植栽基盤を入れた上で緑化する。
用途:建物外壁
植物:セダム、ハイビャクシン、リュウノヒゲ、コケ、タイムな どのグラウンドカバー、ペチュニア、バーベナなどの花苗
補助資材:
フレームの中に植栽基盤を入れて植物を植えたパネル状のものを、壁面に固定する。 植栽基盤の中身は、軽量人工土壌、ピートモス、ヤシ繊維、スポンジなど。壁面全体を施工と同時に緑で覆うことができるが、垂直面に何層にもパネル を重ねて植栽する場合、灌水には特に注意が必要である。灌水システムを導入する場合、構造フレームの中にあらかじめビルトインするが、植栽基盤、植種、環境によって乾燥度合いが大きく変わるので、給水ラインの回し方と灌水量、時間は現実にあった設定をしなくてはならない。施肥も灌水システムで行う。
業者による相場価格:
¥18,000〜¥95,000/�F程度(人件費・諸経費除く)。下垂タイプによるハンキングバスケットと組み合わされたものも含まれる。緑化の密度と重量によって金額は大きく変わる。
[メンテナンス]
目的・工法によってメンテナンスは大きく変わる。直接登はんタイプは最も施工コストもメンテナンスもかからないが、均一で美しい外観を保つにはそれなりの条件と計画が必要だ。商業ビルなどに多用される壁面植栽タイプは、植種や面積によって大きくメンテナンスが変わる。基本的に植栽は植え替えの必要のない多年草を使用するが、灌水システムの構築を失敗すると全てを取り替えなければならないことになる。また順調に育った場合でも植栽基盤は一定のままなので、切り戻したりといった手入れはやはり必要になる。手入れのしやすい部分だけ季節の1年草にして楽しむという方法もある。
いずれのタイプにしても、夏季の水やりなどによる人的・物質的コストのほうが、省エネルギー効果を上回っているといったケースも現実にはあるので、十分な計画とシュミレーションを行う必要がある。
[助成金]
屋上緑化に続き、多くの自治体で壁面緑化施工の際の助成金制度が設けてある。
壁面緑化助成制度
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実施団体・窓口
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施策・事業名称・概要
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中央区土木部公園緑地課
TEL.03-3546-5438(直) |
[花と緑のまちづくり助成要項]
平成6年度〜区内の建築物(民間所有物を対象)の屋上やベランダの全部もしくは一部に緑化区画を造成し、若しくはプランター(1基あたりの容積が50リットル以上のものに限る)を設置し、樹木・草花・芝生等を1m2以上緑化する事業を対象。
工事費、樹木や資材の購入等に要する費用全てを含み、屋上・ベランダ緑化では50,000円/m2、プランターは20,000円/m2、壁面は5,000円/m2の50%を助成し、合計200万円を上限とする。 |
台東区建築部建築課(東京都)
TEL.03-5246-1111(代) |
[建築緑化推進助成制度]
緑化面積に有効緑化係数を乗じた有効緑化面積1m2あたり1万円、上限は30万円とする。
(区建築緑化推進助成金交付要領に基づく) |
北区生活環境部環境課
環境緑化係(東京都)
TEL.03-3908-1111(代) |
[みどりの基金]
「みどりの基金」の積み立て利子により、緑化面積が3m2以上の屋上緑化事業、1m2以上のベランダ緑化事業、フェンスなどを設置した壁面緑化事業、容積が70リットル以上のプランター使用の接道部緑化事業を対象とする。
屋上緑化、ベランダ緑化は1m2当たり5,000円以内を助成し、プランター緑化はプランターの無料貸し出しを行っている。 |
大阪市建設局
花と緑の推進本部緑化課TEL.06-6208-9053 |
[大阪市花と緑のまちづくり推進基金事業]
公共道路に面した民間建造物の屋上、テラス、壁面について200万円を限度として植栽費の1/2以内の額とブロック塀等の撤去費(延長1m当たり6,000円以内)を助成。 |
| (財)東京都公園協会 |
学校、病院等福祉施設、会社等の法人や都市緑化推進事業を推進している各種団体が屋上等の緑化事業を行う場合、事業費の2分の1または1箇所600万円を限度として、都市緑化基金の年度内予算の範囲で助成を行う。
(東京都都市緑化基金設置要項、同助成金交付要綱に基づく)。 |
(財)神戸市公園緑化協会
花と緑のまち推進センター TEL.078-351-6736 |
[神戸市緑化基金事業]
(震災復興促進区域内のみ)新たに屋上または壁面を緑化する場合、下記の金額を助成(促進区域以外の半壊以上の住宅を含む)。
・戸建住宅の場合、6,700円/mで限度額100,000円。
・小規模共同住宅の場合、6,700円/mで限度額100,000円。 |
岡崎市開発部公園緑地課
TEL.0564-23-6399(直) |
[岡崎市屋上等緑化事業奨励補助金交付制度]
建物の屋上に常緑の樹木または地被植物を主体とした面積3m2以上の植栽をする場合、または建物の壁面に常緑のつる性植物を主体とした面積3m2以上の植栽をする場合、購入・設置費用の2/3(屋上は50,000円/m2、壁面は10,000円を限度とする)を、500,000円を限度として補助する。 |
その他、各地方自治体にて実施されているので、お住まいの地域で調べてみることをお勧めする。
多くは、壁面緑化面積に対し、一定金額を限度を設けて助成するものだが、中には東村山市のように、壁面緑化のためのつる性植物を無料で提供するといった取り組みもある(限度あり)。
東村山市 http://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/~kakukaweb/040000/hekimenn.htm
また、墨田区では庁舎付属棟壁面に施工各社による壁面緑化見本コーナーを設置している。生育状況や構造が目で見て確認できるので、自分で壁面緑化を施工する場合にも是非参考にしていただきたい。
墨田区壁面緑化見本コーナー http://www.city.sumida.tokyo.jp/~kankyou/ryokuka/okujo/hekimen/hekimen.htm
資料提供:
ハザマ
(株)アルティマ
イビデングリーンテック(株)
入交産業(株)
日経アーキテクチュア
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