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 >> 月例研究会レポート


JXDAの月例研究会とは、毎月テーマを設け、専門知識を持ったメインスピーカーが提供する情報や研究成果をもとに、情報や意見、アイデアを出し合い、目標に向かって行動を起こしていくものです。

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■11月度研究会 2003年11月26日実施
メインスピーカー:小出兼久(ランドスケープアーキテクト
ランドスケープと気候

ランドスケープにおいて今まであまり取り上げられることのなかった、しかし大きく影響する「気候」について研究する第2弾。(以下はその要旨)

1.大気の断面図/水の循環図 

○図から見えてくるもの
上図は、大気の断面図および水の循環図である。これらについて説明を行った。
ここから導き出されるものは、ランドスケープ空間は、それ自体が切り離されたものではなく、大気や大地、水とつながっているということである。そのことをデザイナーや施工者、つまり私たちは考えたことがあっただろうか。真の環境を考えたデザインとは、これらに対する配慮のあるデザインであることは言うまでもない。

○気候を知るための基礎 ー天気図を書くー
ランドスケープが地域固有のものであることの背景に気候が深く関わっているのは言うまでもないことである。が、私たちは気候の何を知っているのだろうか。
気候・気象・天気・・・まずは言葉の整理から始める。

気象とはある地点や地域の、気温・湿度・降水量・日照時間などを総合した大気の状態である。 そして総合する時間の長さによって言葉を使い分ける。

ある時刻や2〜3日間の程度の期間の大気の状態を言うときは・・・天気
数日から3ヶ月間程度の期間の大気の状態を言うときは ・・・・・天候
1年をリズムとして繰り返す長期間の大気の状態のうち、場所に固有でよく現れやすい状態を・・・・気候といい、北海道の気候、東南アジアの気候などど使い分ける。

ランドスケープと気候という関係は、突き詰めると、1日1日のその地方の天気と大地との関係になる。日毎移り変わる天気を記録するのが天気図だ。天気図を読むあるいは天気図を書く、ということをひとつ経験してみるのもいいのではないか。ここで、スピーカーより天気図記入の勧め(資料)が手渡された。
天気図はラジオ気象通報にしたがって、日本式天気図記号をもちいて天気図に記入していくものである。始めはなれないが、初心者でも1日に1枚程度書いていれば、1カ月もすると大体書けるようになるそうである。

○水は足りているのか・足りていないのか
ここからは、全員で意見の交換をしあった。そのテーマは「水はあるのか、ないのか」
である。共通の認識としては、「あるけれども、有効利用できていないのではないか」
というものであった。その障害となっているのは、

  • 富の偏重
  • アクセスの困難さ
  • 浪費

と思われるが、水はあるのかないのか。
最新のレスター・ブラウンの書籍『プランB』では、地下水位の減少を人類が初めて直面する事象で水の生産性をあげなければならない、と訴えているが、これと同様の帰結をしているようでありながらも、その環境危機意識に真っ向から対立するのが、デンマークの学者ビョルン・ロンボルグ・著『環境危機をあおってはいけない』である。小出氏により、2つの所説がかいつまんで紹介された。

[まとめ]
ランドスケープアーキテクト、造園家、建築家、クライアント・・・。それぞれ関わる形態は変われど、ランドスケープという空間に関わり影響を及ぼし、そして影響を受ける人々である。いうなれば、すべての人はこの空間に某かの影響を及ぼしまた影響を受けている。その空間を、今まではあまりに「切り取った部分」としか捉えてこなかったのではないか?空間は連続する、物理的にも時空的にもである。それならば、建築的視点だけでなく、やはり環境的視点というものがもっと認識されていいはずだ。そしてここで問題となるのは、「環境的」とはどういうことなのかと問う姿勢である。これがJXDAの活動指針であることはいうまでもない。

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文・松崎里美