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ランドスケープの多様性を形成するために

 

都市の分水界の特徴を知る

アメリカで分水界と言えば、地上水がすべて地域の河川に注ぐようないくつかの大きい流域から構成されているものである。我々はこの分水界の特徴を述べるとき、一般に、森、畑、農場や湿地などについて考慮するが、分水界の境界に入っている都市や大都市について考慮しようとしない。より大きい河川の分水界のように、都市の分水界は、土地表面を囲んで排水するものである。

首都のコミュニティがそこにある河川の衛生に対して必要不可欠な役割を演ずる一方で、人々の日常生活自体は、必ずしも河川と繋がるものではない。地元の川や支流へと流れ込むクリークや流れは何百さらには数千とあるのだが、それらは、地下で配管されるか、コンクリートの水路として地上を流れるか、あるいは、硬質舗装面からストームウォーター拘留池へ導かれるか、大規模下水管によって都市の下をはるか遠くまで動かされて深い地下汚水溝に送られるか、のいずれかである。あるいは、他に、開渠のままで、コミュニティパークや大規模な住居の複合体(コンプレックス)や都市の分譲地を通って流れ出るかもしれない。

地元の流れの回廊は、人々が非常に必要とする娯楽用のオープンスペースと同じくらい重要な、野生生物の生息地を提供してくれる。流れの回廊とはつまり、自然と共に設計された水路のネットワークであり、土地の排水と一緒になって流れる、都市の分水界の顕著な特徴である。都市の分水界の中で、土地を計画し景観を創り出すことは、我々の生態系の健全さを左右する。アメリカの幾つかの州では、植物と野生生物の多様性を保持し、汚染を防止するランドスケープを保全ランドスケープ(Conservation Landsape)と呼んでいる。

 

庭のない場所でのランドスケープやガーデニング

都市居住者は、否が応でも適切なランドスケープを選択しなければならない場面に直面するかもしれない。問題は、スペースがないのではないか?、ということである。言い換えれば、スペースがない最初からあきらめてしまってはいないか?ということである。例えば、あなたがアパートの居住者であるならば、自分の持つ景観や庭が、小さいとか取るに足らないものであると考えるかもしれない、しかし、それがどんなに取るに足らない空間に見えたとしても、実際のそこは、人工の環境から抜け出してホッとできるような可能性をもつ素晴らしい空間なのである。

何ができるか・・・

壁に這わせようとつる性植物の鉢植えを追加しただけで、空間に色とテクスチャーが加わり、劇的になる。
小面積の庭の良いところは、改良に労力も費用もそれほどかからないことである。小さな庭であっても、アパートのような半公共空間ならば、ランドスケープやガーデニングは、そこの全ての人が共有できる視覚的な美を加える作業となる。それによって、より住みよい都市をあなたが作っているともいえる。まずはその自覚を持つことだ。

また、小さな庭に合うのは、非常にポータブルな仕様かもしれない。植物のどんな種でも、そのほとんどがコンテナ(鉢)で栽培することができる。そして、そうすれば、あなたが移動したいときに移動することができる。
もし、庭をコンテナ主体に構成するならば、わずかな労力と費用でその見た目を全く違ったものに換えることもできる。一度植え込んだコンテナであっても、コンテナの配置を変えたり、高低を付けて置いたり、違う鉢に植え替えたりすることで、全く違った外観になる。そしてその時に植えるものは、できるだけ自生種を用いると良い。

都市のランドスケープにとって、もうひとつ予想外の利益はヒートアイランド現象である。最近皆がやっきになっているのは、ヒートアイランド現象をなんとか植物で抑えられないか、とただそればかりであるが、ヒートアイランドには違う側面もある。それは実際、園芸時期を延ばすものである。ヒートアイランド現象によって、市街地は、春には速く暖まりやすく、秋には夏の熱をより長く保ち続ける傾向がある。このような現地の状況は、しばしば微気候と言われるが、賢いランドスケープであるならば、生長期を飛級し、冬が来るまでの外のランドスケープをより長く景色を楽しむことができるのである。都市の気温があがれば、微気候が以前と異なれば、今までの植物が育たなくなることもあり、また、今までと異なる植物がよく育つことにもなる。要はいつも、全方向的な視野を持って臨むことである。

 

都市の野生生物のために水を準備する

水保全の技術を行うことによって、都市の野生生物に水を準備する。自然な水源の枯渇や、季節的な水不足によって、水は地域の住民にとって重要であるが、それは他の生命にとっても同じことである。直接水まきしたり、のどの渇いた鳥や蝶のためにバードバスを置いたり、浅い皿に水を満たして置くのは、単純であるが効果的である。すると、野生生物があなたの庭を通り抜けるようになる。
カエル、カメなどの水生の種のためには、小さいガーデンプールを実のなる自生の木・潅木のすぐ近くに置くとよい。さらに用心深い動物には、藪などの身体の隠れるところの近くに、水を用意する。
どのような方法であっても、野生生物に水を提供すると、楽しく報いられるだろう。時には、必要に応じて掃除をしたり、くみかえて清潔なものにしておくと尚よい。

 

お金をかけないランドスケープやガーデニング

どこに住んでいても、驚くほど廉価な予算で、状況に合ったランドスケープやガーデニングを行うことはできる。例えば、ベランダやバルコニーテラスは、ガーデニングをするのにもってこいの場所で、コンテナに植えた木や潅木から、鉢植えのつる性植物や球根、樽(たる)に植えた野菜やハーブなどいろいろなことを可能にしてくれる。
小さい泉水庭園やウォールガーデンも、小空間で成功する方法である。適切な日光と規則的な灌水がある限り、野生生物にとっても人間のとっても、避難所となるであろう素晴らしい小さい庭となるはずである。極端な例かもしれないが、あなたの造った庭が野生生物にとってオアシスとなることや、異どこかの地で絶滅や絶滅危惧に見舞われる野生生物の生息地を回復するということを考えることは、決して無駄にならない。

コンテナガーデニングを制限するもの。それは、あなたの想像力のみである。空想の産物によって、コンテナが、豆、エンドウ、需根作物などのつる性作物、果樹とブドウ、キャベツやレタスなどの野菜畑になる。コンテナガーデニングならば、それが1年中可能である。冬になったら、植物を中に入れ、霜の危険が去ったらまた外に出せばよい。野菜を育てるために苗と庭仕事の道具に使ったお金は、やがて何倍にもなって、夕食のテーブルを飾る新鮮な食物となって、還ってくるだろう。

その他に、一石二鳥の方法として有効なのは、バードフィーダーとハンギングバスケットを兼用して掛けること、ウィンドーボックス(プランター)に、台所で使うハーブを植えて窓の外側に掛けること、プライバシーを守る遮蔽を植物を使って行うこと、木製のラチスやトレリスの庇を付けてその下に心地よい日陰の庭を作り出すこと・・・などである。

このような庭は、建物に彩りを加えるだけでなく、道行く人が鑑賞に値するほどの魅力と特殊性も与えてくれる。ウォールガーデンは、壁となるものの形や材質にもよるが、トレリスならばハンギングバスケットやつる性植物、グラウンドカバー、登坂する野菜苗を利用することによって、簡単につくることができる、そして水やりは、可能であれば、利用できる壁の近くの樋を利用する。ウォールガーデンは、スペースも殆ど要らない上に、プライバシーを保護し、見たくない眺めなど視覚や音を防ぐ緩衝物ともなる。垂直な庭である。そして、構成も簡単だし作成費用も安い。慎重に計画するならば、建物に屋外を持ってくるように見える、その効果は抜群で居心地もよくなる。さらに、ウォールガーデンの植物は、どんなに小さくても、空気中の汚染物質を吸着させ、閉じ込めるのを手伝って、発散のプロセスによって、空気を冷やす効果がある。

 

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