小出兼久からのメッセージ

ランドスケープアーキテクトに必要なものは何か

 

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ランドスケープアーキテクトの取り組む仕事は、さまざまな分野に影響する。それゆえ我々は、有意義で機能的な場所を創るという意図を以って、異なる規模の屋外空間の分析と設計を行っている。

 

また我々は、都市の計画設計と生態学とが交わる点に焦点をあてる。そうして、その時代固有の複雑な社会と環境の中で、審美的な挑戦を盛り込んだプログラムを作成しようとするのだ。このプログラムは都市の生態学的設計を重視するもので、自分なりの環境保全に対する挑戦とでも言ったらいいのだろうか。インフラストラクチヤ―と文化の複合的融合や人間と環境衛生の共存に主軸を置いたものである。

 

ランドスケープアーキテクトとは、卓説した文化がもたらす不朽の業績と緑を尊重しつつも、敷地の公私を問わず道路・排水システム・駐車場などのインフラストラクチヤ―について、構成要素から構造の完成まですべてを計画する者である。必要とされる教養は、美観設計の技術、社会発展と環境倫理に関する知識、景観設計それ自体の技術、ナチュラルプロセス(自然排水システム)に関する広範な知識、設計史の認識、さらには他の人々と協力するための技術などである。

 

我々は、地域が持つ遺産に対して都市空間を設計することで、社会から疎外された社会集団を巻き込み、実験的デザイン行動主義を実践する。環境上の不公平を精査し、社会から疎外されたコミュニティと景観を愛する人々の利益を擁護するようにつとめる。自らが行ったデザインあるいは構造プログラムが先駆的な物となることを願いながら、同時に、その環境の元々の敷地を復元するために必要な実用技術はなんであるのか考察する。ランドスケープアーキテクトはこうして、インフラストラクチャー以外にも、庭や広場、運動場などでも身体と精神の癒される場所を造ってきた。

 

ランドスケープアーキテクチャーは、人間と野生生物の生物プロセスの熱望と要求を、地球に対して果たすような環境を創り出すことである。それは、都市の市街地の設計から生態系の復元まで広範な業務をカバーする職能であり、各敷地とそれぞれの影響力、その近隣と地域範囲のシステムが、都市やその周辺一帯では働く。我々は、場所と時代の両方を鑑みつつ、自然保護のために動いているのだ。

 

ランドスケープアーキテクトは、科学と芸術の知識を統合する。社会とナチュラルプロセスを対応させ、また、人間の利益と環境上の利益を共に保全しようとして計画を行っている。

 

我々はアメリカのランドスケープアーキテクチャーを実践しているが、アメリカのランドスケープアーキテクチャーは、19世紀の都市公園運動から強い影響を受けている。ランドスケープアーキテクトは歴史上、広域公園システムに対して、また、都市のオープンスペースの創造に対しても重要な役割を果たした。フレデリック・ロー・オルムステッド(Frederick law Olmsted Sr.)のようなランドスケープアーキテクチャーの黎明期の先駆者たちは、社会思想家であり都市空想家であると同時に、技術を持つ専門家であった。彼らの見解では、景観とはレクリエーションと楽しみの源であるだけでなく、社会を改良しようとする動機であった。

 

翻って今日の我々はどうであろうか。
我々は、都市を生態学的設計の場と考えている。ランドスケープアーキテクチャーの特定領域に照準を合わせている。それは、都市あるいは都市化による環境の荒廃と急速に成長する開発の両者に対して、人間その他の種の健全性と福利が向上するよう設計するものである。ランドスケープアーキテクチャーは、その環境把握力を明らかにして生態学的設計に取り組むことで、市街地開発に対して累積した影響を及ぼすことができるのである。

 

我々は現在、低影響開発に大きな関心を寄せている。それは端的に言って雨水管理の問題である。ランドスケープアーキテクチャーのプロセスに敷地からはじまる自然資源の再生と雨水の管理という側面を加えることで、ランドスケープアーキテクチャーという職能の本質に対して公衆がもっと理解を深めるてくれることを目指し、また、成長し続けるこの職能の可能性を見定めようとしているのだ。

 

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日本ゼリスケープデザイン研究協会は水保全のランドスケープを推進する特定非営利活動法人です。