グリーンインフラストラクチャ―による都市における水循環の再生

 

 

グリーンインフラストラクチャーは、主に道路や広場などの比較的大面積な舗装面から流れ去ろうとする雨水を集めて地中へ浸透させるものである。その大きさは集水(排水)面積の大きさによって変化し、その外見はオーバーフローによる冠水などの二次災害を防ぐために設置場所によって変化する。多くの場合、交通量が少ない道幅が狭い道路ほど、より自然ふうの設計となる。そして、使用する植物と土壌は、処理すべき流出量とその場の環境、グリーンインフラ自体の規模に応じて変化する。

 

雨水汚染のなにが問題となるのか

 

雨水汚染が問題となるのは主に二つの側面からである。一つは舗装などの地表面から流出する雨水の量や速度が増加したことによって生じる悪影響についてであり、もう一つは流出した雨水中の汚染物質の濃度が問題になる場合である。この二つの問題は、都市における敷地開発を今後どのように行うか、という問題に直接関係する。雨水汚染は、生息地の損失をはじめとした都市の環境における諸問題を拡大や増産し、特に、都市の水域における水文学的機能の変化や水質の変動をもたらす。また、都市部での浸水(洪水)を増加させ、水生生物の多様性を低下させる。さらには、我々の健康や経済、社会福祉に影響を与えるだけでなく、河川や水域における堆積物や岸辺の浸食をも増加させる。

 

表1 硬質舗装面を流出した雨水に含まれる可能性のある汚染物質

種別
物質 亜鉛、カドミウム、銅、クロム、ヒ素、鉛
有機化学薬品 農薬、油、 ガソリン、 油脂
病原体 ビールス、バクテリア、原生動物
栄養素 窒素、リン
生物化学的酸素要求量(BOD) 芝の刈草、落葉、炭化水素、ヒトおよび動物の排泄物
堆積物(沈殿物) 砂、土壌、シルト
塩類 ナトリウム塩化物、塩化カルシウム

 

都市でグリーンインフラストラクチャーを推進する

 

グリーンインフラストラクチャーは、我々の水源を雨水流出による悪影響から守ってくれる。街の経済成長を維持しながら、次世代のための水源を確保してくれる。人口増加や経済成長を達成する一方で、水源を確保し水質を維持し生活の質を向上させるという目的をグリーンインフラストラクチャーは支えてくれる。そのためこの需要は今後ますます増えるものと考える。しかし、グリーンインフラストラクチャーとは実は、自然が実践していることの模倣にすぎないのである。成熟した森林に降った雨の多くは大地に浸み込み、汚染物質は土壌の自浄作用で取り除かれる。ここでは雨は植物の生長を助ける恵みとなり、さらには河川や湿地、地下水となる。あるいは幾分かは蒸発し、再び雨になる、それが自然の水循環である。この水循環を今こそ都市の中で再生させるべきである。それがこのままでは自然を消費する一方である我々の使命ではないか。

 

 

記事協力:EPA