Vol.223「低影響開発(LID)」

2009年度版:環境新聞連載(全14回公開中)

第7回;雨水と都市環境の管理

雨水汚染と合流式下水道からのオーバーフローを減少させるために最も重要なことは、都市環境で生み出される雨水流出の量を減らすことである。雨水を管理するために現在使われている方法の多くは、不浸透性という根本的な問題には取り組まない。典型的な分流式システムに集められた雨水は、放出される前に何の処理も施されない。例えば、処理が提供される実例もあるが、その場合は、浮遊物質、ゴミ、浮破砕物(いずれも固体)を取り除くために、濾過系統の処理で構成されている。溶存している物質と栄養分などは、都市の雨水では処理が難しく、洗い流しや浸食、他の雨水放出による物理的影響を緩和することはほとんど果たされていない。処理能力は雨水に関連する水質汚染を減じるには、甚だ効果のないものである。

米国では、ほとんどの自治体の雨水排出は、水質汚染防止法(CWA)と国家汚染物質排出防止システム(NPDES)の下、点源として規制されている。しかしながら、管末端での処理と、許可する自治体もある点源排出を制御する策は、多くの場合、都市の雨水は大量であるという理由から非実用的であり、組織化して集約された施設が都市部に存在する。都市雨水に対するこれら許可制度は、自治体に雨水管理計画とBMPの実践を求めている。こうした管理方法は、特定の汚染物質除去条件に代わり典型的に利用されているものである。「性能に基づく」標準は、一般に必要とされない。また、この最小制御方法は十分にコンプライアンスされている。不明瞭その結果、都市の雨水への許可に対するコンプライアンスは、水質改良へと結びつく必要はない。

実際に雨水汚染を減らす計画を発展させている地方自治体があるのは、彼らは、その隣接するユニークで価値のある河川や湖沼のために、あるいは、飲用水供給を保護する需要のために、それを行うように動機づけられているからである。積極的で革新的な雨水計画を行っている自治体は、チェサピーク湾や五大湖、 ピュージェット湾のような繊細で重要な水体の周辺に位置するところが多い。連邦の規制は、その場所の汚染濃度が水質基準を満たすよう、汚染物質の一日当たり総合最大負荷量(TMDL)を減らすことど、水質制限水路を識別することを州に求めている。が、この汚染負荷の減少は、効果的な雨水管理計画へは、多くの場合加えられていない。地方自治体は、合流式下水道からのオーバーフローを短長期的に減らす戦略の実施を要求されている。しかし、已然として、莫大な量のオーバーフローが発生し続けている。

CWAは、未処理汚水の乾燥した暑い季節の放出を禁止し、雨天の合流式下水道オーバーフローの放出制限と固体ゴミや浮破砕物の排出の制限を求めている。連邦の規制は、さらに、地方自治体に対して、雨天時のオーバーフローを最小化し、また水質基準に対応するのに必要なインフラストラクチャーの調整方法などを詳述する長期のオーバーフロー制御計画を展開することを求めている。長期制御計画は主として、 雨水の合流式下水道への影響を管理することに重点を置いている。CSOsの緩和は高価である。2000年の清潔な流域ニーズ調査(Clean Watersheds Needs Survey)は、CSOs制御のための投資には、560億ドルが必要であると予測している。合流式下水道の分離と深い貯留トンネルの建造という2つの方法は、現在、CSOs制御のために取られる代表的な方法である。合流式下水管を分離すること、雨水を合流式下水道への流入口へ接続させないこと、雨水を新しく設置した分流式下水管へ導くこと、にかかる費用は、下水の分離1フートにつき500から600ドル、または、合流式下水道を分離するために1マイルにつき、260万ドルから320万ドルかかる。下水の分離は、CSOs放出と未処理汚水の放出を除去する一方で、未処理の雨水放出量を増加させる。深い貯留システムは、雨天の時の合流式下水道の余剰フロー急増を保持するために作られる何百万galの貯水容量を備えた大きな地下トンネルである。このシステムは、結局、合流式下水道からのフロー率沈下のために、溜めた汚水を最終的には都市の処理場へと導くものである。この深い貯留トンネルは、大規模に作られ、適切に運営しているならば、著しく雨天時オーバーフロー放出量を減らす。しかしながら、この深い貯留トンネルには、構築するのに年月がかかり、また、非常に高価であるという問題点がある。

都市の中には、(5に概要を述べるように、何億または数十億ドルの費用を投じて、深い貯留トンネルのプロジェクトに着手することを計画しているところもある。

合流式あるいは分流式下水道システムによる、現在の雨水管理は、開発パターンや不浸透性表面という問題よりもむしろ、大雨量という症状に焦点を当てている。都市の雨水流出を捕らえて保存し、その水質を改善しようとすることは、多くの場合、不浸透性表面を縮小し溶浸と濾過を最大にするため戦略を通して端緒に発生する雨量を減らすことよりも、より困難でより割高である。

しかし、自治体レベルでは、これらの技術が再開発や進行中のインフラストラクチャー取替え作業の中へと受け入れられるならば、コストは減少させることができる。

包括的な雨水管理プログラムは、不浸透性の表面を最小化し、雨水をナチュラル・プロセスのように管理するために使われている。

これらの「グリーン」な手法は、多くの場合、現在の雨水とCSOs制御策ほど割高でなく、しかもより効果的なのである。

 

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