Vol.220「気候変動対策とランドスケープアーキテクト」

2017年10月20日にカリフォルニア州ロサンゼルスで開催された全米ランドスケープ協会
(ASLA)の年次総会で、マーサ・シュワルツ・パートナーズのプリンシパルマーサ・シュワルツと
、カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするCMGランドスケープアーキテクチャーのパメラ・コンラッドは、ランドスケープアーキテクチャーの業界が地球温暖化を反転させることに積極的に貢献するよう促した。彼女はまた、その週の初めにカナダのモントリオールで開催された世界デザインサミットで、「地球のためのデザイン」に焦点を当てた世界的な専門家のパネルにも参加していた。以下はそのパメラ・コンラッドの主張である。

ランドスケープアーキテクトは、地球温暖化を反転させるために実際のところ何をすることができるのだろうか?それは確かに難しい作業だが、ランドスケープアーキテクトは温暖化の解決に関与
し、貢献する必要がある。私たちはランドスケープアーキテクトという、持続可能で世界を変える解決策を生み出すために、複雑な課題を処理して合成することのできる独自の資格を持っている。地球温暖化の影響に景観を適応させることに加えて地球温暖化の原因を緩和する、あるいは温暖化への対抗策を設計することによって、気候変動との戦いにおいて重要な役割を果たしている。

では、どうすればいいのか

「景観」とは、私たちを建物から分離するものである。そして、それこそが私たちの達成しようとしていることと建築との違いのすべてである。景観とは伝統的に植栽されており、そのため、建築にはすることのできない炭素を封鎖する力を持っている。ならば、ランドスケープアーキテクトは建築の代わりに、中立ではなく「ネット・グッド(純善)」を行い、気候変動との戦いに貢献することができるのだろうか?その答えは「はい」であるが、このグローバルなイニシアチブに参加したいのならば、私たちは、自らの貢献度を測定する必要がある。

地球上での私たちのプロジェクトの影響を改善するには、景観のカーボンフットプリントをよりよく理解する必要がある。 AthenaやGaBiといった建築用の炭素量計算機は存在するが、ランドスケープアーキテクチャー用のそれは公表されていない。私たちの仕事は建築とは明確に区別されており、それゆえ、カーボンフットプリントを追跡し、集合的な目標を設定するために、自らの職業に特化したカスタムの炭素量計算機を必要としているのである。

プロジェクトのカーボンフットプリントを把握するのに必要なツールを見つけられなかったので、私は簡単な炭素量計算機を作成した。それは、ソース (材料/工事に組み込まれた炭素――プロジェクトによって排出された炭素)、吸収源(樹木、植物、湿地など炭素を貯められるもの)、コスト(グレーディングや継続的メンテナンスによって排出される炭素)を考慮した3つの部分からなる構造を使用する。次に、ソースとコストを加算して吸収源を減算することで、プロジェクト単位のランドスケープカーボンフットプリント*を求めることができる。

(*私は科学者でもライフサイクルメトリックの専門家でもなく、単に私のプロジェクトが世界に与える影響を理解したいと思っているランドスケープアーキテクトにすぎない。最高の炭素量計算機でも+/- 25%の精度である。それを念頭に置いてほしい)

 

私は、この計算機を作成し、それを使って3つの異なるプロジェクトでこれを用いるというプロセスを経て、次のことを集めた。

  • 高度に処理された材料(プラスチック、スチール、コンクリート)からの炭素排出量は高い
  • 木材、再生利用木材、持続可能な収穫をされた木材などの自然の要素は炭素を具現化していない。
  • 可能であればリサイクルされた材料を使用する(スチール、アルミニウム)
  • できるだけ多くの樹木や植物を植える――あらゆる規模の森林を組み込む
  • 他のカーボン吸収源もつくる
  • マングローブや干潟、海草などの沿岸湿地帯は、熱帯雨林の5倍の量の炭素を隔離することができる。 (Drawdown、 Hawken、2017)
  • 竹は草本類であるので、何千年もの間、土壌に炭素を貯蔵することができる。 (Drawdown、 Hawken、2017)
  • グリーンルーフは炭素を隔離し、またエネルギー需要を50%削減することができる(Drawdown、 Hawken、2017)
  • コンクリート中のセメント質置換材(スラグ、フライアッシュ、シリカフューム)を最大量で使用する
  • 材料を減らすために創造的になる――自然の湿地と透水性舗装を使用して配管を制限する
  • オーバーグレーディング(過剰な勾配緩和)は二酸化炭素の過剰放出につながる。炭素を土壌の中で保つ。これについては、再生農業の実践を研究することによって、もっと知ることができる。
  • 都市計画では、「緑化」が課題である。垂直なぶどう棚や庭園、あるいは屋上について考えてみる。
  • 私たちが、製品の製造者に自社製品のカーボンフットプリントを提供するよう求めれば、私たちはこれをプロジェクト全体のカーボンフットプリントに組み込むことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつか設計や材料の変更を行うことで、プロジェクト全体のカーボンフットプリントの大幅な削減を実現することができ、建設中に排出される炭素を相殺するのに必要な時間が分かるようになる。私たちの公園プロジェクトの場合は、いくつかの単純な動きによって、200トンの炭素が大気中に放出されることがなくなった。そして、おそらくこのことよりももっと重要なのは、このプラザの敷地で、植栽面積を5%から10%に増やすだけで、放出された炭素を相殺するのにかかる時間を100年以上短縮することができたことである。

この演習では、ランドスケープアーキテクトが感覚的な経験だけでなく環境に影響を与えることが明らかになった。 コストの見積もりと同じように、プロジェクトの終生を通じてより洗練されたツールと一定のカーボントラッキングを使用することで、プロジェクトのカーボンフットプリントを大幅に削減することができる。 私たちの仕事を通じて排出される炭素量を減らすことができるだけでなく、自分たちのフットプリントをすぐに相殺すればするほど、プロジェクトが大気から温室効果ガスを追加的に隔離し、地球温暖化を反転させることにより早く寄与することができる。

今日まで、ランドスケープ用炭素量計算機はテストを必要とするベータ版となっている。 その目標は、このツールを改良し、あらゆる場所のランドスケープアーキテクトがアクセスできるようにすることである。 これが利用可能なレベルになれば、私たちはこのグローバルな戦いの中であちこちの場所に関わる職業として自身の目標を設定することができるのである。

 

 

 

 

 

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