Vol.206「低影響開発(LID)」

2009年度版:環境新聞連載(全14回公開中)

3回;環境戦略

環境戦略というより、このグリーンインフラストラクチャーは、雨水と合流式下水道(CSO)汚染の根本的原因に取り組むことである。雨や雪から転化される流出によるこうした汚染は、我々の健康を脅かし、遊泳や魚を釣る場所である海岸の閉鎖や、生物の生息環境の悪化に責任を負っている。水質基準は、恐らく、効果的な雨水とCSからの排出を管理せずには、満たすことができない。開発区や都市の中に、立ち木や植生、湿地などとして保全されていた緑や、わざわざ作られたオープンスペースなどのグリーンインフラストラクチャーは、こうした汚染をその発生源で食い止めるための戦略である。

都市のランドスケープは、大面積の不浸透性表面である、道路や建築物を伴う。不浸透性の表面は、環境を通る水の移動を著しく変える。米国では、1億エーカー以上の地帯が開発されているが、開発とスプロール現象の増加比率は、人口増加よりも早くなっている。そして、都市の集中化に伴って発生する水質への否定的な影響は見過ごせない問題であることがわかる。

グリーンインフラは、都市集中化の影響を防ぐために、降水を阻止して雨が不浸透性の表面から集められどこかへと運ばれるよりむしろ、それを浸透させることを可能にするために利用され始めている。

毎年、米国の都市部に降る雨と雪は、大量の雨水流出と合流式下水道のオーバーフローを引き起こしている。およそ10億人が影響をこうむるという。こうした流出の縮小は、水路へ放出される汚染の量を抑制し、雨水と廃水のインフラストラクチャーに対する圧力を取り除く。多くの都市は、グリーンインフラが、放出された雨水の一定を減少させたり、あるいは、流出水の合流式下水道に入る量を減らし、従来の雨水や下水道管理策と比べて、価格的に競争できることで、負担を減らすことができる。だらに、環境利益として、大気の質の改善、ヒートアイランド現象の緩和、都市の美観向上が上げられる。さらに、グリーンインフラは、土地開発アプローチの代替戦略ともなる。グリーンインフラを用いた新しい開発は減少する一方の敷地開発にかけられるコストや従来のインフラストラクチャーのコストよりも、構築に、多くの場合よりコストがかからない。そしてこのような開発は、多くの場合、環境アメニティーを売り物とする開発業者にとっても魅力的である。グリーンインフラの柔軟性と分散性は、敷地に特化した規模で、雨水管理策を提供するよう、開発地区を改修することを可能にする。そして、個々の敷地から街全体の計画まで、いずれの規模においても、再開発に統合することができる。

しかし、それにもかかわらず、グリーンインフラストラクチャーを普及させる試みは、障害に直面している。そのひとつが資金の問題である。雨水と下水道管理を十分に行うためには、経済投資が国中で必要である。グリーンインフラは、多くの場合、雨水や下水道管理策の従来の方法に比べてコストもかからないものであるが、地方自治体の中には、この代替手法を試みようとはせずに、現存の従来の制御方法においてのみ、投資することに固執するところがある。一般に、米国においても、清潔でより環境的に魅力的な方法で、地域社会を脅かす水質汚染を減らすための戦略を推進するために、リーダー的役割を果たすのは、地方の意思決定者と組織はである。NRDC(米国)は、地方の意思決定者にグリーンインフラを使うことを推進するような数々の政策を段階的に進める一方で、例えばLID等の使用目的を促進するためにもグリーンインフラを利用している。

政策の段階は次のとおりである。

1.グリーンインフラストラクチャーとともに開発を行い、汚染管理を行うことを念頭に置く。新規開発計画の中に緑地を作り、現存の植生を維持する。

2.合流式下水道オーバーフロー制御のために、長期制御計画の中へグリーンインフラストラクチャーを組み込む。LID、雨の庭などの計画も推奨する。これらグリーン技術は、インフラストラクチャーの改修や更新の計画へも組み込むことができる。

3. グリーン設計を促進するために、州や地元の雨水規則を改訂する。その政策は、不浸透性の表面を縮小して、植生を保護し、水質改善を提供することに重点を置かれるべきである。

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